若者が就職先に求めることとは?
人権意識の強い若者たち
現代を生きるZ世代の若者たちは、人権意識が非常に強い。本レポートで言う人権意識とは、「自分は商品である」という意識だ。若者は、自分という商品が働いた対価をしっかりもらえることを重要視している。たとえ残業が多くても、働いた時間分給与が支払われるのであれば働く、という姿勢の若者が多い。これは若者にとって「自分の時間を売っている」という感覚が強いと言える。若者にとって自分は商品であり、就活は自分という商品を売り込むこと、給与は自分という商品を売った対価としてもらう対価だ。この若者の価値観は、自己価値を高めたり、自分の価値をわかりやすく示す自己ブランディングにも繋がるものである。
そんな人権意識の高い若者たちが新卒就活の際に重要視する3つの条件とはなんだろうか?
ネームバリュー:自分の優秀さを映し出す鏡
まず1つ目に重要視される条件がネームバリューだ。就職先は一種のステータスであり、自分を映す鏡のような役割も果たす。大手企業に就職すれば、自分の優秀さが客観的事実として残る。就活は自分の優秀さを端的に示すことができるイベントのひとつである。
実際、サークル内で同期の就活が落ち着いてきた頃には、同期たちがどこに内定をもらっているのか、内定はいくつあるのか、などといった話題は頻繁に会話に現れる。そこで自分がある程度のレベルの企業に内定できているかどうか、相対的に確かめるのである。
さらに、就活生は「〇〇業界はこんな人が行くイメージ」というなんとなくの見解を持っている。その人自身へのイメージと、企業へのイメージがマッチすることで、「この人はこういう人」というイメージがさらに強くなるのだ。
給与:自分という商品への対価
2つ目に重要視されるのは給与である。これは、前述した「働いた対価として受け取るべきもの」という意識からくるものであり、みなし残業代や薄給にも関わらず重労働を強いられるブラック企業などへの嫌悪感は強い。「バイト先の店がとても忙しくて大変なのに、時給と見合っていなくて辞めたい」と大学の飲み会で愚痴を吐く人も多い印象だ。アルバイトであっても、正社員であっても、働きに見合った給与が支払われることを常に意識している若者たちにとって、働く企業の仕事内容と給与のバランスがきちんと保たれていること、それが人権意識の高い若者たちにとって重要なのである。
さらに、家賃補助などの福利厚生が充実している企業は就活生から人気である。金銭としての給与ではなく、福利厚生として受け取ることができる対価も重要視されている。
社風:自分が心地よく働くことができる環境
Z世代の若者は、就職先の社風が重要と考えている。自分の性格に合う社風であるか、一緒に働く上司や同僚は気の合う人たちなのか、就職する前に丁寧に確認している若者が非常に多い。これは、1週間のほとんどの時間を過ごす企業の中で、嫌な思いをしたくない、せっかく働くなら快適に働きたいという考えを持つ若者が多いからである。
例えば筆者は、比較的自由で上下関係があまり厳しくなく、のびのびとした環境で働きたいと考えているので、始業時間や勤務中のルールが厳しい企業は就職先として考えていない。自分が志望している企業が本当にイメージ通りであるのか、自分とその企業が合うのか、OB訪問をして内部の話を聞いたり、その企業で働いている社会人の先輩に仕事の話を聞いたりもしながら確認するのが常である。
また、友人には内定者懇親会などに参加し、同期と性格が合わなさそうだと思って内定を辞退した人もいる。
若者は、「自分が嫌な思いをせず働くことができるか」という視点から企業を選び、その結果社風を重要視している。
まとめ
ネームバリュー・給与・社風の3つの条件を重要視しながら就活をしている若者たち。その裏には、「自分は商品である」という人権意識が隠れていた。今後も、若者の価値観を追っていきたい。
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本レポートの著者について
Watanabe Aiko|渡邊藍子
株式会社バイデンハウス 学生インターン
若者の研究所 学生所長