『クレカはお荷物!?』〜若者のクレジットカード事情について〜
現実主義と評されることの多いZ世代。クレジットカード(以下クレカとする)使用方法にも他世代との違いがあるのでは?ということで、若者のクレカ事情について会議を行った。
初めてのクレカ きっかけは『受け身』
『18歳になった!クレカが持てる!』と意気揚々とクレカを作りに行く人は少ない。
親に言われたから
上京する際に新幹線の予約が楽になるから
海外旅行に行くためクレカを作らざるを得ない
など受け身の理由で作る人が殆どであった。
では2枚目以降はどうだろうか。
二枚目以降も、上記理由と似通っている。
筆者も、ライブの申し込みをする際に、某有名なチケット会社のクレカを持っておくとチケット抽選の当選率が上がるという理由から二枚目のクレカを作った。
このように、Z世代間では「カードを持ちたい!」という積極的な感情は特に見られないとわかる。
クレカを作ったはいいものの。。。
クレジットカードに執着がないZ世代だが、
実際作った若者はどのタイミングで使用するのか。
一番多く上がったのは「大きい金額を一括で支払わなければいけない時」
若者にとって”大きい金額”というのは電子マネーで支払うのが躊躇われる額。
電子マネーでの支払いは簡単に決済ができるというイメージが若者の中にもあるわけだが、1万円前後になってくると(桁が変わってくると)簡単に決済されることに不快感を覚える人が多かった。
また、上記金額になってくると口座にそもそもお金がないという人も多い。よってクレカでの支払いを余儀なくされるという人が出てくる。
具体的には、まつ毛パーマ、美容院、ネイル、旅館、夜行バスなど。
これらはまあ予想できるところである。
驚きなのは、上記理由と同じくらい
「日常では基本使用しない。ネット通販でクレカ支払いを命じられた時のみ」
「クレカは作ったが使用したことがない」
という意見が上がったことだ。作っても使わないのである。
上述の通り、クレジットカードを差し込んで暗証番号を打ち込むという行為のハードルが高いために、ネット以外での使用を躊躇する若者も多い。
決済手段にもタイパの波
若者はクレカをあまり使用しない。では主な決済手段は何になるのか。
多く上がったのはQUICPay
QUICPayは電子マネーの一種で、スマホの電源ボタン2回クリックで決済可能で即支払えるのが特徴である。
非常にタイムパフォーマンスがいいのだ。
Z世代はとにかくタイムパフォーマンス(以下タイパとする)重視。
効率性を求め、短縮できる時間は短縮したいと考える。
このタイパの考えは決済にも反映される。
財布を出して紙幣や小銭を出すという行為、どころかカードを出すという行為、どころかPayPayの支払い画面を開くという行為まで面倒くさい・時間がかかるという発想である。
また、
「カードは使用しないくせに、カードと紐つけているQUICPayは使用するのか」
と言われるが、そういうことである。
カードを出す行為が面倒なので、カード自体は使用せず、カードと紐つけているQUICPayを使用するのである。
ただあくまで電子マネーというイメージが強いので、口座から即引き落としされるデビットカードと紐つけている人が多いようであった。
筆者もQUICPay愛用者。実際にタイパの良さを感じている。
朝の登校時、毎日バタバタして1分1秒を争っている中コンビニで昼食を購入しなければならない。
現金やPayPayの画面を出そうとしている人を横目に、QUICPayを用い3秒で購入を終わらせるのは非常に気持ちの良いものである。
「AMEXは〇〇な人!?」各カードのイメージとは
クレカを作ってもつかわない。
ならカードに全く興味ないのかと思われるが、一概にそうとも言い切れない。
少数ではあるが「将来このクレカを持ちたい!」という展望がある者もいる。
そして若者なりに各クレカのイメージを持っており、これがまた特殊で面白い。
若者の主な決済ブランドのイメージは以下である。
上記カードイメージを持つ若者達。
では実際自分が持つなら何がいいかと聞くと、様々な回答が返ってきた。
今はほとんどの若者がポイントやタイパ重視の決済をしているが、
将来のカード利用展望は人によって違いがあることがわかる。
おわりに
本会議は、学生だけでなく20代〜50代の会社員も含め行ったのだが、年代による反応の差に驚いた。
学生が「いや俺カード使ったことないんですよ」と発言したことに関して、学生及び20代の会社員は「まあそんな人もいるだろうな」という感じで頷いていたが、30代〜50代の会社員は「えっ?使ったことないってどういうこと(笑)」「えっカード三枚持ってるんでしょ?なんでカード支払いしないの」という感じであった。
この反応の差が全てを表しているような気がする。
Z世代で日常的なカード支払いをしている人は殆どおらず
「今月支払えなかったらどうしよう」という思いが少なからず強い傾向にあった。
しかし、そんな不安を抱きつつも「将来は〇〇のカードを持つ」と決めている者もいる。
よって「カードを頻繁に使わない」というZ世代の特徴は、
Z世代特有の現実思考からきているのか、
まだ若く収入が低いためにこの傾向が強いだけであり、Z世代が30代以降になったら変化が見られるのか、見られるとしたらどのような変化になるのか、というのは不明である。
今後機会があれば、ミレニアム世代、バブル世代が学生だった頃のクレカ使用感はどうであったか、カード利用展望はどのようなものであったかを調査してZ世代と比較をしたい。
それによってまたZ世代のクレカ事情の解像度が上がるだろう。
若者の研究所レポートについて
Z世代の価値観をZ世代が深掘り。“ディープ”な調査レポートを毎月発行。
高校生・大学生による若者のシンクタンク・コミュニティ“若者の研究所”は毎月、様々なテーマに対し、Z世代の思考・価値観・行動の傾向に迫る調査レポートを発行しています。
Z世代は1996~2010年生まれの現在13〜27歳の若者を指し、今や日本の総人口の約14%を占めています。一方、世界全体の場合は約32%といまや、Y世代を上回る人口占拠率です。
日夜、Z世代向けの調査記事などが増え続け、「Z世代をもっと理解しようとするための情報」は溢れています。しかし、「Z世代は〇〇だ」と言われても、なかなかピンとこないことも多いのではないでしょうか。
Z世代の当事者は、個々人を一括りにされることに違和感を覚えることも多くあります。"若者の研究所"では、彼らの行動や価値観をより深く掘り下げるための独自調査を、Z世代自らが発信していきます。
本レポートの著者について
Ono Aone|大野碧音
株式会社バイデンハウス 学生インターン
若者の研究所 学生研究員