Z世代はメンタルが弱いのか?①退職代行サービスの台頭
退職代行の台頭で強まるZ世代に対する偏見
近頃、Z世代は「すぐ仕事を辞める」「飲み会に来ない」「定時退社したがる」「コミュニケーションが苦手」「気が弱い」などのネガティブな偏見が世の中に溢れています。その中、退職代行サービスが登場し、Z世代は「前触れなく会社を辞める」「直接辞意を伝えない」「礼儀を知らない」といった偏見を更に助長させているように思います。実際に、Z世代がどのような動機で退職代行を利用しているのか、個人的な関心を持ちました。
本稿では、拡大している退職代行の台頭の背景を紐解きながら、Z世代の価値観・社会課題に迫ります。
退職代行とは?簡単に会社を辞められる支援サービス
退職代行とは、退職に必要な手続きややりとりを、第三者に委託できるサービスです。退職代行に委託すれば、その瞬間から職場とは一切関わることなく退職ができるサービスです。
退職代行サービス大手EXIT株式会社の自主調査によると、利用者の6割が「メンタルヘルス(心)の不調」を理由に退職代行を利用した、と報告しています。
Z世代のメンタルが弱いことが本質なのか?
上記から退職代行サービスはZ世代のメンタル不調者が主要顧客である、ということが読み取れますが、実際にはどのような経緯があって退職代行を利用したのでしょうか。今回「若者の研究所」にて、退職代行を使ったZ世代・使われた人に対して定性調査を実施し、どのような背景で退職代行を利用するに至ったのか?を探りました。
人員不足による職場環境の悪化
調査の結果、Z世代が退職代行を使う背景に背景には労働人口の減少による人手不足の影響を強く感じる結果となりました。介護・医療事務・建設・物流・運送など、あらゆる第1〜3次産業で起きている人手不足により、職場環境が悪化しているようです。
職場環境の悪化①“辞めさせてもらえない”
“辞めたいのに辞めさせてもらえない”Z世代が退職代行を利用しています。
小規模な事業者においては、採用難により「退職を先延ばしさせたい」「退職させたくない」という心情が読み取れます。一方、退職代行利用者の立場においては、直接辞意を伝えることで退職することが難しい状況下において、退職代行を利用する意向が高まるわけです。
職場環境の悪化②“教えてもらえない”
そもそも、退職代行の利用以前に、なぜ退職をしたいと思ったのでしょうか。上司側にも教える時間的・精神的余裕がない、という職場課題も浮かび上がってきました。わからないことや困ったことを質問したり相談することができない環境が、上司との関係性を希薄化させています。上司に相談できる関係性が成立していない場合、退職意向を代行してもらいたい、という意向が上がります。
次稿では、Z世代の価値観についてさらに掘り下げていきます。
若者の研究所について
Z世代の価値観をZ世代が深掘り。“ディープ”な調査レポートを毎月発行
「若者の研究所」では、高校生・大学生による若者のシンクタンク・コミュニティである“若者の研究所”が毎月、様々なテーマに対し、Z世代の思考・価値観・行動の傾向に迫る調査レポートを発行しています。Z世代は1996~2010年生まれ(現在13〜27歳)の若者を指し、日本の総人口の約14%を占めています。一方で、Z世代は世界人口の約32%を占め、Y世代人口を上回っています。日夜、Z世代調査など、Z世代に関する情報は溢れています。しかし、価値観が多様化する中で「Z世代は〇〇である」と一括りに理解することが難しくなっています。「若者の研究所」は、彼らの行動や価値観をより深く掘り下げた独自調査を、Z世代の当事者から発信していきます。
サービス紹介
「若者の研究所」を運営するWeiden HausではZ世代をテーマとしたコンサルティングを行っています。
マーケティング・ブランディング・消費者調査
組織風土改革
採用広報・採用マーケティング
お問い合わせはこちらから
https://lab.weiden-haus.com/
本レポートの著者について
Kyoka Nakamura | 中村 京香
株式会社バイデンハウス
若者の研究所 | 学生研究員