全て倍速視聴!?Z世代ならではのサブスク利用法とは
若者の研究所では、月に一回、学生研究員が集まって学生会議を開催しZ世代の価値観を分析している。9月のテーマは、「動画系配信サービス」。若者は、どんなことを求めてサブスクを使っているのだろうか。
Z世代とサブスクリプション
Z世代のみならず全世代を通して、多くの人が利用している動画系配信サービスのサブスクリプション。NETFLIX、AmazonPrime、U-NEXT、Disney+、DAZNなど、さまざまな動画サブスクが存在する。試しにNETFLIXの世界における利用者数を調べてみると、以下の引用の結果が出てきた。
統計を見ると、世界中で2億5千万人以上もの人々がNETFLIXに契約していることが分かった。
また、日本でも上の引用のように、インタビュー回答者の約半数の人が、動画配信サービスを無料で利用し、サブスクリプションも約3割の人が利用していることがわかる。コロナ禍を経て、動画配信の受容は拡大し続けている。私たち若者も、日常的にサブスクで映画やドラマを見ている。
では、Z世代の若者はどのサブスクを利用することが多いのか?圧倒的に多かったのは、NETFLIXとAmazonPrime。これは予想通りの結果だった。全世代を通して、この二つのサブスクは利用されていることがわかるだろう。
見ているコンテンツもZ世代ならでは!というものは多く上がらなかった。強いて言えば恋愛リアリティーショーぐらい。
利用するサブスクや視聴するコンテンツは、世代ではなく個人の好みや興味によると考えられる。ただ、視聴の際にZ世代らしい特徴が表れていた。
倍速視聴をするタイパ重視のZ世代~Z世代の「タイパ」とは~
Z世代らしい動画視聴の特徴。それは、倍速である。「Z世代は倍速で動画を見る」というのは、Z世代感度の高いこの記事の読者の皆さんも一度はきいたことがあるのではないだろうか。実際に、学生会議に参加してくれた学生のうち約6割以上の学生が、動画を倍速視聴していると言っていた。
実際に、基本的に倍速視聴をしている学生研究員に話を聞いてみると、上記のようなことを言っていた。倍速をすることができるかどうかが、視聴する際の重要ポイントになっていることがわかる。
では、なぜ倍速視聴がしたいのか。理由を聞くと、1人の学生研究員は、映画にしろドラマにしろ、「冗長なシーンで飽きてしまうから」とのこと。情報量が多い現代社会で、140字以内のツイートや、1分以内のTikTokから情報を集めるZ世代は、2時間を超える映画もできる限り時間を短くしてしまう。制作者への冒涜だとわかっていても、等倍速だとどうしても飽きてしまうのだ。伏線回収や、映画の雰囲気、結末などが掴めたらそれで映画を鑑賞した気分になれるという。
また、他の学生研究員は、「友達との話題作りのため」に映画やドラマを鑑賞するそう。そのため、なんとなくストーリーが掴めれば十分だから倍速にしているらしい。自分が好んで見ているというよりは、流行っているから、友達に勧められたからという理由でコンテンツを視聴している。「とりあえず見た」という事実が重要なのだと話していた。
ここから分かる、動画視聴におけるZ世代のタイパとは、「できる限り短い時間で流行や話題作りのためにコンテンツを視聴した事実を作ることができる」というものだろう。次から次へと流行や話題が切り替わるZ世代。倍速視聴という手段を使うのは、必然なのかもしれない。
映画館は高級フレンチ、サブスクはファストフード?
学生会議の中で、映画館で見たい映画と家で見たい映画が全く違う、という学生がいた。話を聞くと、映画館では文学的な映画が見たいそう。具体的には、奥行きがあり、考察しがいのある難しい部類に入る映画。見た後、しばらく余韻に浸る映画。または、サブカルチャーっぽさがある映画。
具体的な映画名を聞くと、今は『ナミビアの砂漠』という映画が気になっていると話していた。彼女は、家ではこのような映画が見られないそう。むしろ、頭を使わなくて、2倍速にしてもあらすじを追うことができて、単純明快な映画を好んで見ている彼女。なぜ、映画館では真逆の映画を見るのか尋ねたところ、「映画館で見る映画と、家で見る映画は全く別物」と言っていた。
理由を聞くと、映画館は非日常であるからだそう。チケットを購入し、携帯の電源を切り、2時間映画の世界に没頭する。常に携帯の画面を見て、騒がしい世界にいるZ世代にとって映画館は異空間なのである。そんな非日常の中では、普段自ら視聴しない映画も、また違った気持ちで楽しめる。よくわからなくても、チケットも買ってしまったしとりあえず最後まで見てみようとなる。非日常空間で、非日常な映画を楽しむことが彼女にとっての映画館の楽しみ方なのだ。
つまり、映画館は非日常の高級フレンチであり、サブスクは日常のファストフードと言える。映画館では普段見ない映画を楽しみ、サブスクでは自分の好みのコンテンツを視聴する。学生の1意見ではあるが、Z世代らしい映画の楽しみ方なのではないだろうか。
おわりに
今回はZ世代の動画系配信サービスの利用について書いてきた。やはり、Z世代らしいと言われる利用の仕方をしている学生が多いが、その中でもそれぞれ個性的な楽しみ方をしていた。多様化しているZ世代。Z世代と一言でくくることができない私たちの世代を、今後も追っていきたい。
若者の研究所について
Z世代の価値観をZ世代が深掘り。“ディープ”な調査レポートを毎月発行
「若者の研究所」では、高校生・大学生による若者のシンクタンク・コミュニティである“若者の研究所”が毎月、様々なテーマに対し、Z世代の思考・価値観・行動の傾向に迫る調査レポートを発行しています。Z世代は1996~2010年生まれ(現在13〜27歳)の若者を指し、日本の総人口の約14%を占めています。一方で、Z世代は世界人口の約32%を占め、Y世代人口を上回っています。日夜、Z世代調査など、Z世代に関する情報は溢れています。しかし、価値観が多様化する中で「Z世代は〇〇である」と一括りに理解することが難しくなっています。「若者の研究所」は、彼らの行動や価値観をより深く掘り下げた独自調査を、Z世代の当事者から発信していきます。
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本レポートの著者について
Watanabe Aiko|渡邊藍子
株式会社バイデンハウス 学生インターン
若者の研究所 学生所長