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【小説】 とある男の話 滝登りのその先へ(仮) 第1話 「稚魚の記憶」
←前回 ※先に前回の第0話を読んでください。
【 登場人物 】
【 】
ある日 ある所で ある人間が生まれた。
そこは都会から少し離れたいわゆる「ベッドタウン」と呼ばれるような所だ。
別に生きていくのに苦労はしない場所。
何かあるというわけでもないが何も無いわけではない。 そんな場所。
スーパーもあるしコンビニもある。 服屋もあるし電気屋もある。
でもただ「有るだけ」
大きな店は無いし活気のあるような所かと聞かれるとそれは違う。
たいした特産品もないし際立った方言もない。 そんな場所。
何かある様で何もないので、どこか遊びに行くという事になれば電車で10分か20分か40分くらいかけて都会に出かけないと何もできないような都市とも言えない様な場所。
何とも言えないそんな場所で男は生まれた。
男は風水だの画数だの音の響きだの色々と考慮された結果「アイン」という名前が付けられた。
アインが生まれたのは鯉牧(りぼく)家で非常に裕福な家庭だ。
父親は大手出版社の社員で社の間でも一二を争うほどの稼ぎ頭だった。
母親はそこの元社員でカメラマンやリポーターを勤めていた。
非常に優しい両親から沢山の優しさと愛情をそそがれて育っていった。
アインは両親が大好きだったが一つ不満があるとすれば夜になると母親が「ホーキの時間」と言って少しだけ居なくなるのがちょっと寂しかった。
やがてアインは両親から躾の意味と父親も通っていたからという理由で地元ではそれなりに有名な仏教を基本とした考え方を教える幼稚園に入れられた。
平日は幼稚園。 土曜日はピアノも習わされた。
そこの幼稚園はかなり大きく室内の温水プールや広いホールなど色々な設備が整っていた。
そんな少し変わった幼稚園でアインは育っていった。
アインは発想力が豊かでユーモアたっぷりの人間になっていった。
その反面、非常に弱かった。
心も体も。
あまり積極的に人と話すタイプではないし自己主張も弱い。 ちょっとした喧嘩でもすぐに泣くタイプで周りの女子に慰められてる・・・そんな感じ。
だが独自のワードセンスとユーモアで何者も真似できない独自の地位を築いていった。
この天性の才能が後の人生でも大きな武器なっていくことは今は置いておこう。
さて、そんな感じで幼少時代の時は流れてアインは気が付けば小学生になっていった。
前置きが長くなったがここからが紆余曲折の始まりである。
そんな男の物語。
【 】
お疲れ様。
大体説明したけどあとは何を説明すればいいんだろうか。
申し訳ない。 まだ私が生まれる前の話だからこの辺の説明は上手く出来ないんだ。
今回は結構つまらなかったと思うけど・・・
何となくアインのバックボーンを理解してもらうには必要な回かと思ってさ。
極論今回のは読まなくてもいいや
次からが大切なんだ!
彼の物語から目を離さないでいてくれ!
つまらないのは分かってるさ。
最初はそんなもんさ。
だって記憶があんまり無いんだもの・・・許してくれ。
誰にもこの物語は予想できない。
断言するよ。
彼の物語はここから面白くなっていく。
少し待っていてくれ。
私 と 彼 と あなた はこの物語を紡いでいかなければならない。
今は理解できなくてもいいさ。
じゃあ、また会おう。