つよさの友人
からだが熱くてしょうがない
迷いは距離を超えて
ふるえるものをふるわせるから
からだが熱くてしょうがない
あなたはあなたを超えて
悲しみを 慈しむから
からだが熱くてしょうがない
存在は 喜びを超えて
静けさを 分け与えるから
出会うことによって学ぶのであれば
出会いがくれるのは 問いなのだろう
問いが求めるのは 解ではなく
問いの意味を問う わたしなのだろう
傷ついた者は 傷を治そうとする
でも傷が求めるのは 治癒ではない
わたしが傷にしてあげられる 唯一のこと
それは痛む理由を 忘れないことだ
つよさとは なんだろう
よわさとは なんだろう
語られるとき 彼らは何を思うのだろうか
はざまにあるものは 何を語るのか
希望とはなんだろうか
つねに歓迎され もてなされる
彼らは何を思うのだろうか
希望に友人は いるのだろうか
何かしてもらったら ありがとうだと
何かしてしまったら ごめんなさいだと
そんな決まりを ひとつひとつおぼえてきた
今わたしは 決まりを超えたい
傷つけた人に ありがとう
傷つけたわたしに ごめんなさい
痛む理由を 忘れようとしたから
わたしは あなたを傷つけた
気づかせてくれて ありがとう
痛む理由を 忘れようとしたから
わたしは 人を傷つけた
大切な人を傷つけさせて ごめんなさい
希望にはきっと 友人がいるだろう
迷いという名の隣人
後悔という名の同志
彼らに光は当たりにくい
けれど希望という名の英雄は
彼らがいなければ 生まれなかった
拍手を浴びる陰で 自分に照明を当てている
友人がいることを 希望は誇りに思う
痛みがなければ 自分はいないのだと
わかって自分を 輝かせる
希望が人に愛されるのは
希望が友人を 愛するからだ
からだが熱くてしょうがない
それはきっと 贈られたから
贈られたときは なんと言えばいいのだろう
ありがとうも ごめんなさいも
自分の出番ではないと ほほえんでいる
からだが熱くてしょうがない
風がわたしを冷ましてくれる
冷めても 温度はなくならない
揺れる葉をながめ 熱を思い出す
つよさが何か わからない
よわさが何か わからない
ただ からだは正直だ
芯からやってくるものを 逃しはしない
わたしが何かほしいとしたら
それはつよさではなくて 熱なのだろう
熱のないつよさは いらないのだろう
熱という友人を愛する そんなつよさがほしい
冷めてもなくならない 熱を誇りながら
つよくいられる自分を
支えるものを知りながら