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映画日記②1/10~1/19『GATTACA(ガタカ)』など5作品
毎日映画を1本観る!と意気込んだ年始だったけれど、すぐに「ほぼ毎日」になり、「ほぼ3日に1本」「1週間に…」となりつつある。
今回は1/10~1/21にかけて視聴した5作品、『GATTACA(ガタカ)』、『THE GREEN MILE(グリーンマイル)』、『Back in Action(バック・イン・アクション)』、『Stand By Me(スタンド・バイ・ミー)』、『パラダイスの夕暮れ』について感想をメモしておきたい。
『GATTACA(ガタカ)』(1998年5月公開)
遺伝子操作が普及し、健康状態が良く知能・身体能力などが優れている“適正者”が優遇される近未来を舞台とする、アメリカのSF作品。
自然出産で生まれたヴィンセント(イーサン・ホーク)は“不適正者”だが、事故で水泳選手を引退したジェローム(ジュード・ロウ)と契約し、彼に成りすまして宇宙開発企業「GATTACA」に入社し、宇宙へ行く夢を叶えようとする。
不適正者だと人にばれないよう、細心の注意をはらい、信じられないような努力を重ねてきた彼は、いよいよ宇宙行きのミッションにアサインされる。しかし、そのタイミングで上司のひとりが殺されるという事件が起きてしまい、社内の捜査が始まる……という、最初から心臓に悪い展開。
いつも話している英会話講師にこの映画の話をしたところ、彼も観たことがあるそうで、『遺伝子操作が当たり前の世の中で、自然出産を選ぶとしたら、どんな理由だと思う?』と問いかけられた。
その場ではうまく話せなかったけれど、数日間ぼうっと頭の片隅で考えて思ったのは、「(私が親なら)生まれてくる子が何をできて、何をできないかを決めるのは、本人だけであってほしい」ということ。
本人以外の何者も、人がどう生きるかを決めてはいけない。親、社会、そして本人の遺伝子にすらも、人の運命を決定づけることなどできない。
また、こうも思う。人間が人間であるためには、人が社会をつくる必要があり、社会が人をつくるべきではない。
この作品では何度も“適正者(valid)”と“不適正者(invalid)”という言葉が使われるのだけど、何に対して「適正」なのかといえば、それは「社会」に対してである。
どこまでの遺伝子操作なら許容されるか?という議論もあるだろうが、少なくとも私にとっては、この作品で描かれている「遺伝子によって、初めから何かへの道が絶たれる」こと、「遺伝子によって、過度に期待される」ことの両方が恐ろしい。
忘れられない映画になりそうだし、もし周りで観た人がいれば、ぜひ感想を語り合いたいと感じた。
『THE GREEN MILE(グリーンマイル)』(2000年3月公開)
トム・ヒドルストン主演のThe Life of Chuckが観たくて、日本公開を心待ちにしている。その前にスティーブン・キング原作の映画を観ておこうと思い、以前から気になっていた『グリーンマイル』を鑑賞した。
スリラーとファンタジー、ドラマが不思議とバランス良く共存していて、観終わった後、しばらく意識が浮遊していたと思う。
(以下ネタバレもどきがあるので、観る可能性がある方はご注意を……。)
デルのリハーサルをするために看守たちが用意した名目、それを疑わせないためにたくさんの人が協力する場面が一番あたたかく、見ていてつらい。
恐ろしい場面もコミカルな場面もあるが、人それぞれの死について考えさせられる、厳かさが印象的な作品だった。
『Back In Action』(バック・イン・アクション)』(2025年1月配信開始)
とにかく派手なアクション映画が観たくなって鑑賞。
最初は良すぎるほどテンポが良く、「(当たり前だけど)いかにもフィクションだなあ」と感じたけれど、話が進むにつれ、引退して家庭を築いたスパイ夫婦ならではの会話が面白くなっていった。「すっごくリアル」と感じるほど、引退したスパイ夫婦の知り合いはいないのだけれど。
『SHERLOCK』のアンドリュー・スコットが出ていて、邪悪そうで邪悪じゃない、不気味じゃない彼がかえって不気味という愉快さもあった。
キャメロン・ディアスの11年ぶり映画復帰作だそうで、レビューアプリでも復帰を喜ぶ声を多数見かけた。アクションシーンの身のこなしは久々の映画とは思えないキレの良さ。まだ観ていない、過去の出演作もそのうち観ていきたい。
『Stand by Me(スタンド・バイ・ミー)』(1987年4月公開)
名作と名高いことは知っていたけれど、なぜかこれまで観ていなかったので鑑賞。吹奏学部時代、先輩たちが演奏していた同名曲が、どんな映画でかかっていたのか知りたかったからというのもある。
子どもは、大人からすれば「何を考えているかわからない」存在だったり、どうせ気分でものを言うのだからと軽く扱われたりするけれど、子どもは子どもなりに考えているし、感じている。
私には秘密の冒険に繰り出すような友達はいなかったけれど、どの年齢にも、その頃の記憶とセットで思い出すような「元友人」たちならいつでも思い浮かべられる。
クリスを演じたリヴァー・フェニックス、亡くなっていると知って衝撃。おすすめしてもらって前から観ようと思っている『マイ・プライベート・アイダホ』に出ているみたいだから、少なくとも出演作が1つは観られるわけだけれど、今も活躍していたらどんな俳優だっただろう。
『パラダイスの夕暮れ』(1986年公開)
アキ・カウリスマキ監督作品。先日『枯れ葉』を観て彼の作品に興味を持ち、労働者三部作と呼ばれる作品群を少しずつ観ることにした。
『枯れ葉』もシュールさともの悲しさ、キャラクターたちのしたたかさが好きだったけれど、この作品のほうがより自分にはなじんだかもしれない。それはたぶん、登場人物たちの声が好きだから。
あと、主役2人だけじゃなく周りの友人たちがいい。イロナの元同僚がニカンデルを「ダサいけど、ホッとできてクセになるタイプ」と形容したのには恐れ入った。
豊かな人生、空しくない人生とは何だろうと考えさせられる作品。
「不朽の名作」を観る年にしたい
年始はちょっと短めで、静かな映画ばかり観た。今回はシリアスなSFから派手なアクションまでいろいろ。その時々の気分を優先するけれど、できれば今年は「不朽の名作」をたくさん鑑賞したい。
映画だけでなく本もそう。誰だったかSNSで「出会った時が新刊です」と言っていた方がいた。今さらと言わず、気になっている今だからこそ、名作小説・映画には臆さず触れていきたい。
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