お母さんには個室ないの?
本格的な就職活動を前に、様々なインターンシップやら説明会やらに参加している次女。
住環境にかなり無頓着な私と違い(逆にそんな母をもったせいで?)、彼女は豊かなホームライフに強い思い入れがあるらしく、住宅関連の会社を中心に情報収集したり比較検討しているようだ。
そんな彼女がある日不思議そうな顔で、聞いてきた
「お母さんには個室ないの?」
話を聞くと、彼女が経験した会社説明会だかインターンシップの中で家の間取り図からそこに住む家庭を想像するというような課題が出たらしい。その話し合いの中に"お母さんの個室"が出てこなかったようだ。更に彼女の回りにも個室を持っているお母さんはほぼいないらしい。
「お母さんは個室欲しくなかったの?」
そう聞かれて考えてしまった。
今、私には個室はあるが、それはある意味たまたまだ。
「大体子供ができると個室に籠ることなんかできないからねー」と答えたものの、母に個室がないのを不思議に思うという視点にちょっとハッとさせられた。
うちの場合、結婚し、夫婦同室、ベッドも一緒で始まり、子供ができると母子が同じベッド、父(夫)が個室を使うようになった。生活リズムがあまりに異なる夫とは同室は厳しかったのだ。子供が増えその形は続くことになった。
子供達がある程度大きくなるとそれぞれ個室を与えたくなる。おかげで私も1人で寝られるようになったが、個室と言うよりそれはベッド部屋、即ち寝る為だけの部屋だった。
実際は多くの時間、私は子供達が視界に入り、彼女達の視界に入るような場所、要は居間か台所で過ごしていたのだ。
私の場合、1人で寝られることが自分にとっていかに大切かがこの変遷で分かったが、それ以外の理由で個室が欲しいとは思ったことはない気がする。逆に家族それぞれが個室を持つことは私にとっても楽だったのだ。個人の荷物はそこに放り込んでおけば済むから。
離婚する事になり、娘達と私の生活が始まったわけだが、私にも個室を与えたがったのは長女で、譲らなかった。
私はどっちでもよかった。居間で寝て起きても構わないと思っていた。娘はそれを避けたかっただろうか?理由を聞いたことはない。そんなわけで私はたまたま個室を持ったのだ。
私の実家の母にも個室がある。が、半分物置化している。私も置き場がない物は自分の部屋に持ってきがちだ。
間取り図から見えてこないお母さんの個室。世のお母さん達はどう思っているのか。そんなことを考える暇もなく忙しくしているお母さんが殆どかも知れない。個室が欲しいなぁでも難しいな、と思っているお母さんもいるのかも、と思うとちょっと切ない。
次女は言った「私はお母さんになっても個室欲しいな」。
そうなるといいね。
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