歌集『生殖の海』 2021年版 リリースのご案内
この記事は2023年8月29日にLINE公式アカウントのほうでお送りしたメッセージに加筆したものです。
2020年に上梓した『生殖の海』の推敲をなぜその後も続けているのか、おもいの一端がこちらで共有できましたら幸いです。
歌集『生殖の海』 2021年版 リリースのご案内
こんばんは。梶間和歌です。
2019年から20年に掛けて梶間が歌集を作り、上梓したことは、多くの読者様がご存じかと思います。
その節は大勢の方に応援いただき、また上梓した歌集をご購入いただきまして、誠にありがとうございました!
ただ、20年5月から現在まで3年強。
なんといっても、「歌塾」講義を1年間手掛けるという経験をあいだに挟みました。
これは本当に意味のあることで、特に後半4ヶ月かけて解説した京極派について。
教えるからには自分でも理解していなければならないわけで、なかなか存在感のある厚さと価格の研究書に圧倒されながら、独学を深めました。
特に、京極派の表面的な特徴より、その特徴を存在せしめた動機や時代背景、完成形に至るまでの試行錯誤のほうを伝えるべく、講義しながら心を砕いたものです。
「新古今の精神を現代に」という私の思想が
「京極派の精神を現代に」
「京極派和歌を詠まなくてさえ京極派の精神で生きることができる。いや、できねばならない」
「永福門院や光厳院のように生きることで初めて、小手先の技術ではない、真の京極派和歌の体現ができる」
と変化したのは、彼らのありように心底感動、共鳴したから。
(京極派の精神について簡単に学べる図書は少ないです。「歌塾」の当該講義をご参照になるにも時間が掛かると思いますし、過去に執筆した「京極派プチガイド」が取っ掛かりとしてお勧めしやすくございます)
そのように変化してゆく私の目に、2020年の歌集『生殖の海』はどうにも、洗練度合いが足りなく見えました。
あれはあれで20年当時の“精いっぱい”です。
20年の段階での“精いっぱい”を出し切ったからこそ、それが幼く見えてしまう21年、22年の私がその後存在し得たというもの。
決して否定すべきものではありません。
が、それが幼く見えてしまう自分になってしまったうえで、それをそのままにしてはおけない。
そういうわけで、『生殖の海』には毎年細かな、また大幅なアップデートを掛けていました。
原型をとどめないほど変更した章もありますし、まったく新しい歌を入れた章も、タイトルを変更した章もあります。
我ながらよくここまで手を入れたなと毎年振り返って思います。
与謝野晶子が処女歌集『みだれ髪』上梓ののち、2度でしたか、改訂版を出していましたね。
「最初のフレッシュな『みだれ髪』のほうが良かった」
「後年の改訂版には勢いがない」
とさんざん言われながらも推敲を繰り返した彼女の気持ちが、及ばずながらわかる気がします。
他者に何を言われようと、自分が「違う」と感じたものをそのままにしておくことは、自分に対して酷であり失礼なのです。
たとえその対象が過去の我が身の分身も同然であり、その推敲が身を斬るに等しい行為であっても。
私家版とはいえ一度出版という大仕事をなしたあと、お金を掛けて追加で出版する気にはなれず、それぞれの年のアップデート版はこれまで紹介する機会を持ちませんでした。
が、このたび「noteで販売すればいい! 」と思いつきまして。
良い時代ですね。時間は掛かりましたが、3年分のデータを公開し終えることができました。
まずはこちら、21年版からご覧ください。
こちらは導入記事なので無料で読めます。
読み物としておもしろく読めるものを書いたつもりですので、特に買わないよという方もぜひ覗いてみてくださいね。
歌集本編ですが、記事未購入でも一部の歌は読めるよう整えてあります。
そちらだけをお読みの方、ご購入くださる方、どちらもうれしいです!
特に2020年版をご購入くださった方には、お手元の歌集と比べて変化を楽しみ、梶間のめざす方向性を知っていただけましたら。
もしかすると、好きだと感じてくださっていた歌がかなり異なる形に推敲されたり、姿を消したりしているかもしれません。
逆に、
「梶間も真剣に取り組んでいるのはわかるけれど、このあたりの完成度に青さが見えるなあ」
と感じていた部分が驚くほど改善しているかもしれません。
この変化、洗練の方向に私自身は迷いもありませんが、それが好かれるかどうかは読者様おひとりおひとりとの相性次第。
私の問題でも、あなたの問題でもない、ただそうであるというだけのことですよね。
「これが21年段階の梶間か。22年、23年版はどうなっているのだろう」
と楽しみに思っていただけるか、
「自分の応援していた梶間と違う方向に変化している……」
と思われるか。
そこを問うのはドキドキするものですね。
ともあれ、まずは2021年版、無料部分だけでもお楽しみください。
22年版、23年版も公開済みですが、こちらは日を改めてご案内しますね。
それでは、また。
梶間和歌歌集『生殖の海』 2021年版
序章 にほふマルボロ
第一章 いまも言ふ
第二章 母として行く道
第三章 風のライヲングラス
第四章 明けぬ夜の闇
第五章 目を開けて
第六章 及ばぬ高きすがた
第七章 いのちひとつぶん
第八章 水底の死
第九章 母となること
第十章 我が暴れ川
終章 ひかりを添へて
2021年版にはあとがきを用意しておりません。
2020年版のあとがきを無料公開しておりますので、そちらをご覧ください。
マガジン単位で買う
7章以上お読みになる場合、マガジン単位でのご購入のほうがお安くなります。
2022年版を読む
2023年版を読む
紙の歌集(2020年版)を買う
京極派についてのプチレポートを読む
京極派について動画で学ぶ
PS.
梶間和歌ってどんな人?
和歌仕事に集中するため、アルバイトを週2出勤に減らしました。
月だいたい4万円の収入になります。
生活と研究、創作のためのご寄付を募っております。
ご無理のない範囲でご支援いただけましたら幸いです。
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歌集『生殖の海』 2021年版
2020年の私家版歌集『生殖の海』の2021年アップデート版です。 2020年版は無料公開・有料販売しておりますが、1年で大幅な変更を施し…
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