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『生殖の海』 2023年版 第四章「明けぬ夜の闇」

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『生殖の海』 2023年版 第四章「明けぬ夜の闇」

くらきより冥き道にぞ入りぬべきはるかに照らせ山の端の月

雅致むすめ式部


雨のにほひしるき朝けの玉の緒にひかり添へたるさ緑の風

夢よりもはかなき世にて夢を見よ忘られぬ夢のあとを追ふため

木下こした闇暗き庭にぞ迷ひぬる去年こぞとかはらぬほとゝぎすの音

橘に匂ひをよそへ恋ひられて憂き世を忘る玉の緒のこと

うたかたの夢を見むとすくらきより冥きに落つる我がこゝろから

玉の緒ゝ肌へに刻むはかなさの砕くるまでの夢と知るべく

長きよにみじかき夢の果てを見きそは玉の緒のかぎりなりけり

横雲の峰をつたひてわかれゆく朝花の香におどろかれつゝ

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