歌集『母となる』 第七章「露のあけぼの」~『生殖の海』2024年版~
歌集『母となる』 第七章「露のあけぼの」
すゞしやと閨に夜風をながむれば虫の音すだく秋は来にけり
寝ねかねてやをら押しあくる松の戸にこの比ひとの知らぬ月影
子のなくはと言ひしひとの妻の腹又まろくなるおもしろさ哉
若草の妻子もとより有明も夕べもをぎの上風ぞ吹く
雨まじる嵐にしをれ葛の葉もをぎも波打つ深草の里
なべてみな現しごゝろは失せよかし見ず知らざりしいにしへとなれ
さいはひはあらしに葛のひるがへりむらむら晴るゝ夕暮れの雲
村雨の雲の去りつる秋の野の草のすゑなる玉の夕露
葛かづらかざせる者ゝ首に這ひていのちひとつぶん重き胎まで
この胎に我れよりいのちひとつぶんおもき重みを育める者
葛の葉もをぎの末葉も吹きとほす嵐はやがて秋風となる
その胎にたまのをありしひとの子と語らふ野べの露のあけぼの
梶間和歌歌集『母となる』 ~『生殖の海』2024年版~
序章 にほふマルボロ
第一章 松の緑
第二章 まよふうたゝね
第三章 レモンのマドレーヌ
第四章 明けぬ夜の闇
第五章 海の辺の女
第六章 及ばぬ高きすがた
第七章 露のあけぼの
第八章 草枕
第九章 母となる
第十章 水鳥のつばさ
終章 夢の浮橋
2024年版にはあとがきを用意しておりません。
2020年版のあとがきを無料公開しておりますので、そちらをご覧ください。
過去の『生殖の海』
2020年版『生殖の海』
2021年版『生殖の海』
2022年版『生殖の海』
2023年版『生殖の海』
紙媒体の『生殖の海』2020年版
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ツアーには無事参りましたが、その後の生活もございます。お気持ちとお財布事情の許します方に、ぜひともご支援を頂けましたら幸いです。
ツアーの様子はこちらのマガジンで連載して参ります。どうぞお楽しみに。
今後とも、それぞれの領分において世界を美しくしてゆく営みを、楽しんで参りましょう。
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