雑感:45歳定年説
どうも!おはようございますからこんばんわ!まで。
大なり小なりざわつかせるキラーワードは瞬く間に広がる物ですね。
45歳定年制
詳細は後で書きますが、サントリーホールディングス(HD)の新浪剛史社長が、9月9日,オンラインで開催された経済同友会の夏季セミナーで「45歳定年制にして、個人は会社に頼らない仕組みが必要だ」と述べた。というニュース記事( https://news.yahoo.co.jp/articles/826c60eb0139c3e50565fdb77102f74f2212f6b9 )がきっかけで炎上となった話題ですが、今回はこれをテーマに書いてみたいと思います。
1.そもそも定年って?
読者の皆さんの中にはしきりに定年延長というキーワードをニュースで聞いたことがある人もいるかと思います。まずは、そもそも論として定年制度って何?という部分から始めてみたいと思います。
定年が制度として確立していったスタートの歴史は諸説あるようですが、大体が1887年(に制定された東京砲兵工廠の職工規定)~第一次世界大戦の辺りと言われています。当時は現代のような労働法制があるわけでもなく、民法(明治民法)に基づいて契約を結んでいたため、労働者が色んな会社へ渡り工の如く写っていましたが、第一次世界大戦後に大企業で新規学卒者定期採用制度が確立されていき、長期スパンでの雇用を前提とした体系へと変出していった結果として、55歳定年制を確立しその時点で労働市場から引退をしていくという仕組みが確立していきました。(参照: https://www.somu-lier.jp/column/extension-of-retirement/ ,『日本の雇用と労働法』濱口 桂一郎 (著) pp68~70)その後、定年の年齢は少子高齢社会等をはじめとした社会変化に伴う年金財源の逼迫や健康寿命の増進に伴う高年齢者層の就労意欲の増進等々色んな要素が相まって、60歳,65歳,今は70歳まで定年が延びるのでは?という議論にまで至っています。
2.45歳定年制の背景
冒頭でご紹介しましたサントリー新浪剛史社長の45歳定年制発言について、これがSNS上でなかなかな炎上をしてしまったため、翌10日の記者会見で次のように釈明をしています。(参照: https://news.yahoo.co.jp/articles/826c60eb0139c3e50565fdb77102f74f2212f6b9 )
「45歳は節目で、自分の人生を考えてみることは重要だ。スタートアップ企業に行こうとか、社会がいろんなオプションを提供できる仕組みを作るべきだ。『首切り』をするということでは全くない」
節目と言うと聞こえが良さそうに見えるとけど、だれがどう見たって首切りにしか見えんやん?社会的な意義を説いているように見えて実は会社だけが得をしてるんとちゃうん?と思ってしまいます。
3.凄い人にならないと生き残れない社会?
ここからは私なりに想う事を書いていきます。まず1つ想うのはこの45歳定年が指し示す未来の1つに、凄い人にならなければ生きていく事はできないぜ!と言っているようなもんじゃね?という事です。
45歳という年齢は、新卒で入社してから一環として働いている人にとって社内において出世レースの第一ラウンドが終わって人によっては第二ラウンドのゴングが鳴り始める辺りなのかな?と思います。仮に、新浪氏が釈明の中で言っていたスタートアップ企業に行こうとか、社会がいろんなオプションを提供できる仕組みを作ったと仮定しましょう。同一企業内でしか働いた経験しか無い人が再び同一業界の同職種で再び働ける確証はなく、スタートアップ企業経営者の年齢層は45歳時点で定年を迎える人達が歩んできた時代背景とはまるっきし違い、その当時には価値・サービスとして存在しえなかった物だって存在します。
最近では1976年に米ボストン大学経営大学院のダグラス・ホール教授が提唱し、日本では法政大学の田中研之輔教授らが推奨しているプロティアンキャリアのように、組織内キャリアから個人のキャリアへという文脈へ移ろいつつはありますが、もし仮に45歳定年を導入するのであればその辺のキャリアを考える事を手助けする仕組みが無ければ、気づかぬ内に出世レースの前線にいて気づかぬ間に45歳を迎えて、蓋を開けたら私出世レースから脱落していた😿みたいな状況を生んでしまう可能性があると想うのと同時に、出世レースを制するにしても脱落するにしても凄い人で居続けなけば労働市場では生き残れないの?と思ってしまいます。
4.少子高齢社会の爆進?
上記画像は総務省統計局が実施している平成27年実施の国勢調査(上・下)から引用したデータとなります。この統計データは少子高齢社会といわれる少子の背景を如実に表したデータだと思います。勿論この背景には夫婦の意思決定で子供を持たないと決めたとか、不妊関係の病気等様々な事情はあると思います。その1つに収入があるのではないかと思います。
上記画像は厚労省が実施している2019年国民生活基礎調査からの引用となります。平均所得金額以下が2019年の調査で61.1%いるという状況を鑑みると、自分自身のキャリアを見つめなおす余裕は果たしてあるのでしょうか?まずは目の前の生活だと思います。そして45歳定年制が一種のガラガラポン装置という認識で広まってしまったら、今以上に結婚や子供の部分で足踏みしてしまう可能性があるのではないかと私は思います。
5.最後に
今回はここで筆を置きたいと思いますが、今回の新浪氏の発言(失言?)はある意味では人生100年時代における労働市場の出入りに関する考え方・政策に一石を投じる可能性はあると思います。ただ、大なり小なり社会への影響を持っている新浪氏が発言をしたという点が不用意であり、まずは新浪氏が社長をしているサントリーからやってみたら?というのが正直なところです。
はぁ、これでまたまた生きづらい世の中になるんでしょうなぁ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?