フェミニズム・バックラッシュが起きている韓国でなぜ、中年レズビアン映画がヒットしたのか
この原稿を書いている今日、東京は積雪するほどの大雪だ。なんと4年ぶりだという。こんな日に、”雪”を描いた映画について書くことはなんだか不思議だ。今回紹介するのは、1月7日に公開された韓国のレズビアン映画『ユンヒヘ』。韓国に住む2人の母子が冬の小樽へ旅するロードムービーである本作は、娘が母の秘密をとくミステリーでもあり、母が別れた同性愛の恋人と再会するラブストーリーでもある。
韓国のレズビアン映画は興行的に成功しないことが多かったが、本作は2019年の釜山国際映画祭ではフランスのレズビアン映画『燃ゆる女の肖像』などをおさえクィアカメリア賞を受賞し、2020年に韓国のアカデミー賞とも呼ばれる青龍映画賞で最優秀監督賞と脚本賞をW受賞した。さらに、本国では「満月団」という熱狂的ファンまで生み出すほどの成功をおさめたという。(韓国で公開される前、監督は本作に『満月』というタイトルをつけていたが、韓国での劇場公開時に『ユンヒへ』に変えた)
なぜ、この映画が韓国でこれほど評価されたのかーー。その理由を紐解きたい。