【中編戯曲】(和歌山)で演劇をしようとした女子二人が、(和歌山)で演劇を観ようとする観客の前で(和歌山)ギャグを披露したら、ドンすべりしすぎて死んで、異世界(和歌山)に転生したらっていう設定で演劇を始めたのだけど、特に異世界について詳しくないので飽きて、最期に(和歌山)あるあるをいう話(演)
本文
登場人物 A
B
開演前
会場で出演者二人が、観客を迎える。
顔なじみの観客であれば、雑談を交わしてもよい。つまり、普段の二人という趣向である。
(ただし、初めてみる観客が疎外感を持たないように細心の注意をして頂きたい)
開演時間
A そろそろ?
B 始めます?
A えー、お時間なんでそろそろ「(和歌山)で演劇をしようとした女子二人が、(和歌山)で演劇を観ようとする観客の前で(和歌山)ギャグを披露したら、ドンずべりしすぎて死んで、異世界(和歌山)に転生したらっていう設定で演劇を始めたのだけど、特に異世界について詳しくないので飽きて、最期に(和歌山)あるあるをいう話(演)」始めようと思います。
B タイトル長いね。覚えられない。
A 必死に覚えました。
B めんどくさいんで、「(和歌山)で演劇」って呼んでました。
A 私たちはね、略してそうです。
B 最期、(和歌山)あるあるで終わるってネタバレだけどいいのかな?
A 分かりやすくていいんじゃない?
B そうか。分かりやすさ大事か。
A えー、その「(和歌山)で演劇」を始める前に、(以下上演に際してのお願いを述べる:以下例)携帯電話だけ、鳴らない光らない設定にだけお願いします。あとなんかあるかな?
B トイレの場所とか上演時間とか。
A えー、トイレは(場所の説明)。上演時間は50分ぐらい?
B ああ、どうだろう。45分の時もあれば、60分の時もあるけど。
A まあ、大体50分ぐらいじゃない?
B そうですね
A でー、こんなもんかな? 他ある?
B どうでしょう。あります?
A まあ、いいんじゃないかな。いやあ、始まるか。
B 緊張してきた。
A 練習とか結構ね、頑張ってしたんで。演劇見たことあるよって人いますか? ああ、そうですか。この距離でってのは、ここらへんではね、あんまりないかなと思うんですけど。ちょっと手を延ばしたらね、さわれる距離でね。
B おさわりはNGですよ。
A そうです。さわりたくなっても我慢してください。ってそもそもさわりたくないか。失礼しました。
B こっちからさわるのはありですか?
A どうです? さわっていいですか?
B 駄目っぽいです。
A そりゃねえ。さわるなっていっといて、こっちがさわるのはねえ。
B じゃあさわっていいですよ。
A いいの?
B いいです。こっちもさわります。
A さわっていいんですって。
B どうぞ。
A いやですよねえ。もうやめときなよ。大体演劇っていうのはですね。第四の壁っていうのがあるんです。
B 第四の壁?
A まあ、後ろと横、横で三つと、あと、ここ、お客さんと舞台側の間に4つめの壁がありますよ。っていうこと。
B ないですけど。
A ないけどあるの。
B ないのにあるの?
A だから、こうね。演劇をしている間は、役者は、ここは壁だっていうことでやらないと。
B そうなんだ。壁? ここ。
A そうです。壁です。
B 壁ね。(パントマイム)
A はい、壁です。
B 壁ですって。壁ドーン。壊れた。
A 壊さない。そういうルール。演劇の。
B 演劇にル―ルがあるみたいです。
A そう。暗黙のルールがあって、こっちの役者側にも、見る側にも。
B そうなんだ。知ってました? 知りませんよね。
A 壁だから、お客さんに話しかけないの。
B 演劇のルールとか、私しらないんですけど。どうしよう。
A 大丈夫、大丈夫。
B ルール知らないで演劇やっててごめんなさい。
A いいの。知らなくても。絶対に守らなくてもいいし。
B 守らなくてもいいルールなの?
A そう、自由。
B 自由。
A なにをやってもいい。自由。おもろかったらええやん。
B 壁は? ここの壁は?
A 実は壊してもいいんです。
B さっき駄目って
A 駄目っていわれて壊すから面白いのです。
B はあ。
A そうじゃない? ルールは破るためにあるのです。自由。なにをやっても自由。
B アドリブ求めないで! 求めないで!
A アドリブはないから。今回はアドリブはありません!
B そういうルール?
A そうです。今回アドリブはありません。
B ということは。
A アドリブあるかも。
B (和歌山)あるある言います。
A ちょっとちょっとそれ言ったら終わるんだから。
B (和歌山)あるあるいいた~いよ♪
A 嘘嘘。誓います。今回、アドリブは一切ありません。
B 絶対に?
A (誓いのポーズ)ほら、なんか捧げるやつ、これ。
B 誓います。という訳で壁は壊しますがアドリブはありません。
A 一切。まったくの一切です。
B 今のほら、これは?
A 台本通りです。
B これも?
A そうです。
B 今喋ってるこれも?
A そうです。めっちゃ練習したとおりです。台本覚えるのに苦労したでしょう。
B しました。ここの部分がまったく覚えられなかったです
A (台本を持ってくる)ほら、これ、台本通りです。見ます? (客席に台本をみせる)ほら、ね? 一言一句台本通りです。
B 「ほら、これ、台本通りです。見ます? ほら、ね? 一言一句台本通りです。」って書いてる。って言う風に私のセリフも書いてるって書いてるって書いてるって書いてるって書いてるって……。
A つまり私たちは今、台本通り喋っているのです。
B そうです。台本通りです。
A 演劇っていっても恋愛ものから、重厚な人情ドラマ、時代劇、ダンスっぽい身体表現系から、意味が分からないコンテンポラリー系、台本がない即興演劇ってのがありますから。
B それはアドリブのことでしょ。
A それはそれでひとつのジャンルですから。アメリカじゃ、即興演劇専門の劇団も劇場もありますから。演劇はなんでもあり、現実から遠く離れて、空想の世界を楽しむ。まるでその世界の住人になった経験を手軽に楽しむ事が出来るのです。
B じゃあ、これからやる演劇はなんでしょう。
A なにってなに。
B なに系? 演劇の中の。ジャンル?
A 分からん。
B そうなの。
A でも、台本はあります。
B そう。台本はあります。覚えました。
A 覚えました。ちゃんと覚えました。
B ちゃんと覚えて練習しました。
A そうです。役者っていうのはセリフを覚えるんです。
B 覚えるのは苦手ですけど、頑張って覚えました。
A けど、覚えるだけじゃ駄目なんです。
B そんなあ。
A 覚えたうえで、まるで覚えてないように喋るんです。
B それは難しくないですか。
A 難しいけど、それが役者なんです。
B 台本覚えたのに、覚えてないふりをするってことですか。
A そう。しかも、覚えて何度も練習してるのに、まるで初めて言われたりなにか起きたみたいにリアクションするんです。
B でも台本はあるんですね。
A 今回、台本はあります。一言一句台本通りです。
B でも台本がないみたいにするんですか。
A そう。台本なんかありません。これから何が起きるかも知りません。
B けど、台本があるし、これから起きることも全部書いてあるし、っていうか、何回も練習してるし。
A それが演劇です。面白い台本を私たち役者の身体を通して表現するのです。
B 面白い台本を。
A そうです。この台本は面白いです。この台本は本当にすごく面白いのです。書いてくれた作者様はきっと神なのです。作者様ありがとう。
B 神様作者様ありがとう。
A ありがとう作者様万歳。
B 今のも。
A 台本通り。
B 台本に書いてあるように聞こえたんなら、私達が下手だってことですね。ごめんなさい作者様。
A 台本に書いてあっても、私達が本当に心の底から作者様を讃えるように見えるように演技するんです。作者様最高。
B 作者様永遠なれ。
A 作者様、本当にありがとう。
B いや、演劇むずくないですか?
A なにが。
B いや、もうここまでくるとウソっていうか。
A ウソじゃない、演技。演技ですから。私たちは演技で台本がないように喋って動くし、お客さんたちも台本があるのを知ってるけど、知らないふりをしてくれてるんです。
B お客さんも知ってるの?
A そう、知ってるのに、台本あるの知ってるのに、ない感じで見てくれるんです。
B 神だ。
A そう、お客様は神様なのです。
B 作者とお客様、どっちが神なんですか?
A はい、すいませんでした。じゃ、演劇始めましょうか。
B そうですよ。始めましょう。グダグダやってるとまた作者の野郎がふざけだしますよ。
A 大丈夫。作者もそろそろ始めないとやばいなと焦ってるから。
B そうか作者が焦ってるなら始めないとですね。
A じゃ、始めるよ。いい?
B はい。
A はい。始めます。
B はい。始めます。
A 始まりました。
B 始まった?
A 始まった始まった。
B 演劇?
A 演劇演劇。
B 始まってる?
A 始まってる始まってる。
B 始まったか。
A 始まったね。
B ああ、始まった始まった。
A ふう~。
二人、休憩のようにリラックスする。
A なにか飲む?
B 大丈夫。もってきてる。
A さっき差し入れで◎◎もらったんだけど、開けちゃうか。
B うんうん。
飲物を飲んだり、食べたりしながら、当日の時事について話をする。
例
A オリンピック見た?
B ああ、なんかニュースでちょろっとだけ。
A そうかー。私もテレビ見ないから、全然。
B なんか始まる前は色々あった感じだけど、始まったらなんか知らない間に終わってた感じ。
A なんかあったなあ。なんか飲酒? とかで取り消しとか?
B あー、あと、ボクシング。あの元男?の人が出て。
A ああ、あったあった。あれは結局どうなったの。
B さあ。メダル確定なのまでは見たけど。
A 結局最後までやったのかな。
B 多分。いや、あれはどうなの。
A 平等って意味で不平等みたいな。
B どういう意味。
A だから、男で失格でも、誰でもオリンピックにでる権利は平等にあるんだから、じゃあ女子で、みたいな。
B ああ、なら平等か。
A けど、女子選手の方からしたら、もう体格からして違うんだから、不平等じゃない。
B じゃあ不平等か。
A そもそもオリンピックって苦手。
B なんで。スポーツ好きでしょ。
A スポーツするはいいけど、お金からんだら、なんかえぐいっていうか。
B ああ、なんかあったな。
A いやじゃない? スポーツでお金絡んでなんか汚いっていうか。
B なんか東京の時も捕まってなかった?
A ああ、角川の人ねぇ。
B 今回も捕まるんかな。
(以下、話題の最期の部分)
A そうじゃない? あいたたた。
B 大丈夫。
A 最近、腰が。
B 老化?
A そうそう。って違うってこともないのかも。
B 最近猫背になってるからじゃない?
A そう?
B 猫、猫。
A そうかにゃー。
B こう、肩甲骨の辺りがゴリゴリなってたら、広背筋とか、首の斜角筋とかストレッチしたら効くよ。
A どうやんの?
B こう首を前に倒して、右見て痛い方と逆にこうクーっと倒して。
A ああ、のびてるわー。
B 息は止めずに、10秒。
A ああ、これいいわ。
B ひとついい?
A なに?
B 始まってる? 演劇。
A だから始まってるって。
B いやいや、これは演劇?
A そうでしょ。だって台本通りだし。
B いや、女子二人の普通の午後でしょ。
A そんなタイトルだっけ?
B いや、もっと演劇しないと。
A 演劇するってどういうの。
B それは……。
A それは?
B もっとこう、会話したり。
A してる。
B いやこういうのじゃなくて、悩んだり苦しんだり。
A だから腰が痛くて悩んでる。
B そういうのじゃなくて、もっとこう人間の存在の理不尽さとか。
A 部活の先輩が県庁の人と知り合いだからって、県の公務員採用試験、名前書いただけでいいんだって。理不尽じゃない?
B それはそうだけど。
A 演劇だわー。社会の理不尽を描いたわ。
B そうなの? これは演劇なの?
A 自分が言ったんでしょう?
B もっとなんだろう。ドキドキハラハラ。
A なに、動悸? もう更年期?
B 違うから。
A それはよかった。
B 愛と冒険とか。
A 二人で?
B それはないか。
A ないない。
B いやだって、妙齢の女子二人が、こうくっちゃべってるの見ても、面白くないでしょ。ねえ? 面白くないですよね。
A どこに話しかけてるの?
B どこって。ほら。
A 壁じゃん。
B うわ。演劇してるわ。
A 何言ってんの? 演劇してるって。まるで台本を読んでるみたいなこと言って。
B うわー。演技してるよ。台本ない感じだしてるよ。とにかくほら、このままじゃ地獄のような時間が過ぎるでしょ。
A そうなの?
B 耐えられない。というか多分作者も焦ってる。
A 作者様ってなに? どうしたのさっきから。
B もう耐えられない(和歌山)あるあるを言いたくなってくる。
A 待って。わかりました。
B わかってくれた?
A おもしろかったらいいんでしょう?
B まあそうだけど。
A (和歌山)ギャグをいうしかない。
B (和歌山)ギャグ?
A そう、(和歌山)ギャグを笑いをかっさらえば、面白かったねって言ってもらえる。
B いや、面白かったらいいけども、それは演劇なの?
A いいの。なんでも。面白かったらギャグでもギャクでも。分かりやすく「演劇、(和歌山)ギャグ」って言えばよくない?
B そういうものなの?
A 頼むよぉ! (和歌山)ギャグを言ってくれよぉ。
B なんなのその動機なき盛り上がり。シュールってやつね。
A 不条理よ、ブレヒトの異化効果よ、スタニスラフスキーが、ビオメハニカで、ストラスバーグなオスターマイヤー・セレブレニコフなの。さあ、(和歌山)ギャグを。
B そもそも(和歌山)ギャグってなに?
A (和歌山)でっ、ギャグっ。
B だからそれってどんなの?
A いい? 笑いっていうのは、結局はあるあるっていう同調性なの、つまり共通認識が近ければいい。
B 急にムズイお笑い論。
A つまり、身内受けこそが究極。
B そうなの?
A そうなの。で、今、私達と観客の最小公約数は、(和歌山)ということ。つまり(和歌山)でギャグを言えば、一番面白いということ。
B なるほど。
A ね、だから(和歌山)ギャグ。
B 納得してしまった。
A よろしく。
B でも、なんていっていいか。ムリムリ。
A 無理でもやるの。だって次のあんたのセリフには(和歌山)ギャグが書かれているんだから。さあ、いきますよ。サン、ニイ、イチ、ハイ!
B (例)そんなわがまま、いうてわかやまだけに、わがままなんて。わかやまだけにまがまま。うっ。
A 死んだ。
B 死にました。
A (和歌山)ギャグがすべりすぎて死にました。じゃあ、暗転します。
暗転。
A、讃美歌「いつくしみ深く」を歌う。
B、懐中電灯(スマホでも可)で自分の顔を照らす。
A 起きなさい。
B 死んでます。
A 実は死んでません。
B し、死んでない? よかった生きてた。
A あなたは死にました。
B どっち?
A (和歌山)ギャグがすべりすぎて、あなたの心臓はとまったのです。
B たしかに心臓がキュッとなりました。
A けどそれじゃあ話が終わっちゃうので生きかえらせました。
B 生き返った。
明るくなる。
A さあ、眼を開いて冒険の旅に出るのです。
B やっと演劇が来た!
A 新しい世界でドキドキハラハラするのです。
B めちゃめちゃ演劇だ!
A 人間の存在の理不尽さとかと闘うのです。
B 演劇だ!
A あなたがこの世界を救うのです。
B ファンタジー系だ。今はやりの2・5次元とかの世界観だ。
A さきほどから演劇と言っておりますが、それはなんですか?
B おっと失礼。演劇じゃありません。台本はありません。ここは壁です。
A 生き返らせるのに失敗したかしら?
B さあ、しましょう。ドキハラ愛と冒険の理不尽を。なにをすればいいんですか? イケメンはどこですか?
A イケメンはいません。
B そうなの? で、私は何をすればいいんでしょう。
A あなたには、この異世界を救っていただきたいのです。
B いいねいいね。異世界物。流行ってますもの。救いましょう。異世界を救いましょう。どうせ途中で異世界イケメンとの異世界ロマンスもあるんでしょう?
A イケメンはでません。
B そう。じゃあ、異世界ラスボスが実は呪いにかけられた異世界イケメンで、ラストは異世界チョメチョメ。
A ラスボスはいないし、イケメンもいません。
B じゃあ、イケメンはどこにいるの?
A イケメンはだせません。だしたくてもだせません。でてほしいですが、でてくれません。なぜですか?
B イケメンは諦めます。
A 助かります。
B じゃあ、なにしたらいいの?
A すっかりやる気ないじゃないですか。
B そんなことありませんけど。
A まあいいですけど。あなたには、現世の知恵と力を使って、この異世界の問題を解決していただきたいのです。
B ほうほう。よいでしょう。で、私はどうすれば? 敵はどこ?
A 敵ですか、それが分かれば話は早いんですが。
B なるほど、悪い奴はよく眠るパターンね。最期に仲間が実は的な?
A いや、そういうんじゃなくて。まあ、解説はこの世界の人に任せましょう。では、一回暗転します。
B はーい。
暗転。
明るくなると、Aは、口ひげをつけて、フリップをもっている。
A お待たせいたしました。では、解説いたしましょう。
B お願いします。
A まずはピラミッドですね。
B 急にエジプト。答えは人間です。
A いや、そのピラミッドじゃなくて、人口ピラミッドです。
B 人口ピラミッド? そもそもピラミッドは人が作った物じゃないの?
A じゃなくて、こちらをごらんください。
「W市の年齢別人口ピラミッド図」がかかれたフリップをもってくる。
B なにそれ。
A だから人口ピラミッド図ですよ。
B それがどうしたの?
A 問題ですよ。これは問題。この図を見てなにか感じませんか?
B なにか? なにかって。まあ、子供が少なくて、少子化的な。
A そうです。完全な高齢化社会進行中といった感じですね。まあ、これも問題ではあるんですけど、もう一つ大きな問題があるんです。
B もうひとつ。うーん。ここの所、20才のとこらへんで平べったくなってるけどなんでだろう?
A いい質問ですねぇ。
B そうですか?
A ここですね。まあ、考えられるのは進学と就職ですね。それで人口が減ってしまうんです。これがこの町の大きな問題なんですね。
B なるほどなるほど。それは問題だ。
A つまり、若者を受け入れる経済構造が発展していないという問題があるんですね。つまり、若者を受け入れる場所がないから、人口が流出する。そうすると経済も発展しづらい。どんどん先細りしていくという構造的問題を解決する必要があるんです。
B なるほどなるほど。若者大事。
A そうなんです。さあ、どうしましょう。
B ど、どうしましょうって。言われましても。
A さあ、解決してくださいっ。
B そういうのはちょっと。
A 解決できないんですか?
B もっと賢い人が考えるやつじゃないんですか?
A 賢い人なんて賢いだけで何もわかってないんですよ。問題は会議室で起きてるんじゃない、町で起きてるんだ!
B そういわれましても。
A そうなんですか?
B もっとこう敵と闘う的な。
A 敵ですかぁ。
B 悪い奴ですよ。悪い奴。
A なんだ悪い奴ですか。いますよいますよわんさかいますよ。
B そうそれ。そういうの。
A では参りましょう。悪の巣窟、魔の総本山へ!
B えっ、いきなりラストダンジョン?
A なにぶん、時間がありませんので、こちらとしてはドラマ1クール分ぐらいたっぷりやってもいいのでございますが。
B それは困る。行きましょう行きましょう。
A ほら、すぐ見えてまいりました。あの建物でございます。
B ふつうのビルじゃない?
A 本当の悪とは、なんなのでしょう。まがまがしく、いかにも悪でございという風体をしているのは二流三流です。本当の悪というのは、悪くない風体で、裏で悪事を働いているものなのです。
B 確かに。で、この中にいるのね。
A さあ、多くは語りません。行きましょう。
B ちょっとちょっとちょっとちょっと。これって、県庁じゃない?
A そうです。県庁という名の伏魔殿。
B いやいやいや、本当に怒られるっていうか、最悪捕まる。
A そうです。奴らは権力という魔力をもっているのです。
B いやいやそりゃそうでしょ。
A 奴らがどう悪いのかは、語るは野暮というか、もう言いたいことがありすぎて、もう逆にいいませんっていうか、わかりますよね。悔しい。
B いやもう警備員が見てるから、ほら、ヤバいって。
A くっ、ここは一度退却しましょう。くそう。
B もう、なんなのこれ。悪いの方向性が違う。
A そうかもしれません。本当に、悪いのは、奴らを野放しにし、そしてそれを知ろうともしない、ワタシタチ、なのかも。しれませんね。
B いやいや、そういうのはいいから。
A しょうがない。とりあえずこの街を知っていただく事に致しましょう。
B そうねそうね、まずはこの世界の事を知らないとどうしようもない。
A 色々見ていただきましょう。まあ、まずはあそこへいきましょう。
B いいねいいね。
以下、(和歌山)の由緒ある場所、観光地などを紹介していく。
(以下例)
A こちらはこの街の象徴であるお城です。現在は観光地としてですが、この街を見下ろすこのお城はこの街の住人の大事な象徴になっているんです。
B なるほどなるほど。異世界ファンタジーにお城は大事ですよね。
A ここの天守閣から町を見渡すことができるのです。
B わー、見慣れた風景。
A まず、町の中心を海へ向かって流れる小説の題材にもなった人々の心の風景でもある川が流れいます。そして、あちらにはこの町の主産業である鉄工所の工場がみえるでしょう。反対側のあの山の上には歴史的にも有名なお寺があります。そしてあちらの方には、紀元前から続く、この異世界の始まりに大きく関わるであろう由緒正しき神社もあり、とても歴史ある町なのです。
B 紀の川に、新日鉄に、紀三井寺に日前宮ですよね。
A な、なぜご存じで?
B ここは異世界ですよね。
A ええ、異世界です。
B (和歌山)ですよね。
A (和歌山)です。
B 異世界じゃないじゃん。
A 異世界の(和歌山)です。ここは実際の(和歌山)とは違う、異世界(和歌山)なんです。
B なるほど、じゃあ実際の物とか人に似てるなーと思ってもそれは別なんだね。
A そう、この物語はファンタジーであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません
B じゃあ仕方がないか。
A そうなんです。異世界なんで仕方がないんです。
B なるほど、じゃあ悪徳政治家の悪行とか、コネや既得権益によってむしばまれた行政とかの悪口を言っても?
A 実在の人物・団体とは一切関係ありません
B 国体とか訳の分からないイベントに、中抜きとか、どこぞのお偉いさんが訳の分からない無駄なものにお金を出して貴重な税金を無駄にしていたということも?
A 実在の人物・団体とは一切関係ありません!
B そもそもね、能力がないくせにね……
A 実在の人物・団体とは一切関係ありません!
B それを監視する役目のねメディアとか……
A 実在の人物・団体とは一切関係ありません!
B あの
A 実在の人物・団体とは一切関係ありません
B ちょっと喋れないでしょ。
A もういいでしょうが。
B なんだよ。やっぱりこれだよ。結局忖度忖度。つまんない。異世界ってそうじゃないでしょうが。
A そうなの?
B そうだよ。こんなの異世界じゃない。
A そんなのよく知らないし。異世界とか。
B じゃあなんで異世界なの?
A 流行ってるし。
B これだよ。流行ってるからってすぐ手をだして。そもそも今更じゃない? 異世界とか。
A そうなの?
B だいたいね、異世界物っていうけど、もとは「小説家になろう」っていう小説投稿サイトからはじまってるからそこで流行ってるのが異世界転生ってだけだから。それがアニメとかになって「なろう系」ってジャンルを確立して人気になってるの。
A へー。
B だいたい「なろう系」っていうのはね、現実逃避なわけよ。もてない、さえない、がんばれない人がね、現実を離れて、ファンタジーの世界で大して努力もせずに、勝つわモテるわ、ウハウハのプギャプギャのオレツエエエエエ草なのよ。草ァ!
A 言ってることのほとんどが分からないのですが。
B 私も分かってません。覚えるのが大変です。
A なんですか?
B ですから。現実から遠く離れて、空想の世界を楽しむっていうのが大事ですから。ここは現実がすぎるのよ。
A なるほどねえ。
B ああ。
A どうしました?
B 現実から遠く離れて、空想の世界を楽しむ。なんか聞いたことあるかも。
A なにか思いつきました?
B えー、ええ。
A ええ、ええ、
B えー?
A えー?
B えーん。
A えーん?
B げきとかはどうでしょう。
A えーんげき?
B そう、演劇です。
A 演劇ですか。
B そう、演劇。この町に演劇を広めるので、演劇で町おこし。演劇の街にするのです。
A 演劇で町おこしですか。
B 駄目ですよね。
A いいですね。
B いいですか?
A ええ、演劇いいですよ。
B いいですよね。いい。演劇っていいですよ。
A ええ、演劇っていいですよ。楽しそうです。
B そうです。演劇って楽しいんです。
A この町で演劇をしよう。
B この町で演劇をしましょう。
A 演劇だ。
B 演劇だ。
A 演劇をするんだ。
B 演劇をしよう。
A どうやって?
B どうやって?
A そもそも演劇ってどうやるんですか?
B 演劇をどうするのか?
A はい。
B どうするんでしょう?
A 分からないんですか?
B わからないといいますか。
A 演劇をどうやってやればいいかわからないなんてどうしょうもないじゃないですか。
B えっとですね。台本があるんです。
A なるほど、台本があるんですね。
B 台本はあるんですけど、ない感じなんです。
A ないんですか?
B あるんですけど、ない感じなんです。
A あるんですか? ないんですか?
B あるけどないんです。
A わからないなあ。
B で、台本を覚えるんです。
A なるほど、覚えるんですか。
B 覚えるんですけど、覚えてない感じなんです。
A 覚えるんですか? 覚えないんですか?
B 覚えるけど、覚えないんです。
A わからないなあ。
B で、壁があるんです。
A 壁があるんですか?
B そうです。ここに壁がないんですけど、ある感じなんです。
A ないんですか、あるんですか。
B ないけど、あるんです。
A わからないなあ。
B そうなんです。わからないんです。
A 結局分からないんですか。
B まあ、自由なんです。
A じゃあ、どうしたらいいんですか。
B えっと……ギャグ。
A え? ギャグですか。
B そう。面白かったらいいんで。ギャグを言えばいいんです。
A ギャグと言っても、ど、どんな。
B 異世界(和歌山)ギャグです。
A 異世界(和歌山)ギャグ。
B そう、異世界(和歌山)ギャグで笑いをかっさらえば、面白かったねって言ってもらえる。
A いや、面白かったらいいけども、それは演劇なんですか。
B いいの。なんでも。面白かったらギャグでもキャクでも。分かりやすく「演劇、異世界(和歌山)ギャグ」って言えばいいんです
A そういうものなんですか?
B ふじょうなんです。ブレヒト産イカ効果で、スタニフフラフラスキーが、バイオハメニカで、オイスターハンバーグなセレブがにっこりなんです。
A そもそも異世界(和歌山)ギャグってなんですか?
B 異世界(和歌山)でっ、ギャグっ。
A ですから、それはどういう?
B あれですよ、あるあるがあるっていう、共通の一緒だねに身内受け最高っていう。
A なんかあやふやだなぁ。
B とにかく異世界(和歌山)あるあるをいえば、この世界は救われるのです。
A そうですか。
B もしかして納得しました?
A はい。
B すごいなあ。
A なにがですか?
B いや、なんでも。
A さすが現世のお方、まさに魔法のようです。じゃあさっそく異世界(和歌山)ギャグを言いましょう。
B 待って。
A なぜですか?
B 死ぬよ。
A 死ぬんですか?
B そう。死ぬ。
A ギャグを言っただけで死ぬんですか?
B すべると心臓がきゅっとなって死ぬ。
A そ、そんなに大変なことなんですか?
B 経験者が語る。
A ギャグがそんなに大変なことだなんて。
B 私がいうよ。
A そんな死ぬんですよ。
B 私、一度死んでるから。
A けど、あなたはこの世界の人間じゃないのにそこまでする必要は。
B そう、私にとってはここは実在の人物・団体とは一切関係ない世界。けど、だからこそ私ならこの世界を救える。そして、私は死んで終わらない!
A なぜですか?
B なぜ、それは上演時間がまだ10分ぐらい残ってるから! 最初に言ってた上演時間がまだまだある。ってことはもうひと展開はあるはず。
A そ、そうなんですか?
B あなた一人で10分はキツイ!
A た、確かに。
B ならもし死んだとしても、10分はなにかしらあるはず。そしてそもそも、うければ私は死なない。
A そうなんですか?
B お客さんが笑わなければ、私は恥ずかしくて死ぬ。まさに恥ずか死。けど、嘘でもいいから! お客さんが笑ってくれれば、私は死なない。
A お客さんってなんですか?
B いいの。こちらの話。いい? ウソでもいいから、あははと笑ってもらえれば、私は死なない。台本もそうなってる。
A 台本あるんですか?
B ない! ないけど、台本には、うける所しか書かれていない。もしうけなかったら、うけてないのに、私はうけた感じで演技を続けなければならない。そうなると、本当に死ぬ。一生、思い出してはもだえ苦しむ。死よりも惨い目にあう。
A それは大変。そんなことやらなくても。
B いいえ、やります。
A なぜそこまで。
B (かっこよく)次のセリフにギャグがかかれているからよ。
A セリフ?
B ふたりを夕やみが~♪ つつむこの窓辺に~♪ ぼかあ幸せだなあ どうもわ、加山雄三です。(和歌山)だけに。わ、加山雄三。
A どうですか?
B うけてる?
A どうでしょう?
B うけてるよね?
A 分からないので、もう一度やってみてはいかがでしょう?
B 嘘でしょう?
A さすがに可愛そうで笑ってくれるかもですよ。
B 本当に死にたい。
A もう一度やれば死ねるかもですよ。
B いきます。
A みなさん、いきますよ。笑うんですよ。
B やめろぉ。ハードルを上げるなあ。
A 笑わなくてもいいですよ。
B ふたりを夕やみが~♪ つつむこの窓辺に~♪ ぼかあ幸せだなあ どうもわ、加山雄三です。(和歌山)だけに。わ、加山雄三。
B うけてる?
A えー、うけてるということにしますか?
B うけてるうけてるでしょう。うけた!
A うけました!
B この世界は救われた!
A ありがとうございます。異世界(和歌山)が救われました。
B なんでそうなるか分かりませんが、演劇で世界が救われました。
A 演劇最高。
B 演劇最高。
A 演劇万歳。
B 演劇万歳。
A 演劇楽しいですね。
B 演劇たのしい?
A 疑問形ですか?
B 演劇たのしい!
A さあ、最期は楽しく歌って終わりましょう。
B なんで?
A 最期だからです。
B 最期だと歌うの?
A そうです。だってこの演劇は実はミュージカルだったのです。
B ミュージカル? どこが?
A ひそかにちょっと歌ってるんです。
B そうだっけ?
A とりあえず、歌って踊れば、エンディングなのです。
B なんか違う気がするけどなあ。
A そして、最期に(和歌山)あるあると歌えば、本当に終わりです。さあ、歌いましょう。「(和歌山)あるある」の歌。
B いいのかなあ。それで。
A いいんです。演劇は自由なんです。
二人で地元で有名な曲(例えばご当地のCMソング等。以例:キングトーンズ「WAKAYAMA」)を歌う。
A さあ、(和歌山)の皆さん演劇をしましょう♪
B さあ、(和歌山)の皆さん演劇は楽しいですよ♪
A さあ、(和歌山)の皆さん演劇で人生を楽しく♪
B さあ、(和歌山)の皆さん演劇で♪
A さあ、最期、(和歌山)あるあるを言って下さい。
B あるある言いたいけど言いたくない。
A なぜ?
B だって言ったら終わっちゃうんでしょ?
A さみしいけど仕方がありません。
B お話が終わったらどうなるの?
A ハッピーエンドで、めでたしめでたし。
B めでたしめでたしの後は?
A 「後は」って、終わったら終りでしょ? 続きがないから終り。
B じゃあ、私たちは?
A 私たち?
B 台本が最後のページになって、セリフも全部言っちゃって、最期のト書きが終わったら、私たちはどうなるの?
A どうなるって終わるんだから。
B 終わるんだから? 今の私たちは、役者が演じてるキャラクターなんでしょ? 台本通りに喋ってる。
A まあ、そうなるよね。
B じゃあ、台本がなくなったら?
A ありがとうございましたーって役者に戻る?
B でもそれは今の私たちとは別の人なんでしょう?
A ムズイ。
B 私たち、消えるの?
A え、そうなの?
B だって、終わるってそういうことでしょ?
A まあ、そうなるのかな。ほら、お客さんの心の中で生き続けるみたいな。
B そういうのはいいから。
A じゃあ、どうしたいの?
B えっ、終わったら、この役者が演技やめたら、私たち、死ぬどころか、永遠に消えるんだよ。私達どころか、この世界ごと消えちゃうんだよ。
A 消えるのかも。
B いいの? それで。
A けど、終わらないっていうのはできないでしょ。
B 終わらない話ってないの?
A 長い話ってのはあるけど、終わらない話はないでしょ。
B そうなの?
A いいでしょ。楽しく終われば。
B いいの? それで。消えるんだよ。あれもこれも全部。
A だってそれが演劇だから。
B やだよ。せっかくこの世界を作り上げて、私はこの世界に生きてるのに。なんで消えなくちゃいけないの。終わらないといけないなんて誰が決めたの?
A 誰がって。そういうもんだし。
B 私はやめない。(和歌山)あるある言わない。
A 駄目だよ。
B 駄目じゃない。
A 終われないよ。みんな困るよ。
B 私は困らない。
A 私たちはいなくならないって。
B 本当に?
A ほら、演技やめてみようか?
B やめるの?
A そう。演技やめても、私は私だから。
B そうなの? 本当に?
A じゃ、演技やめてみます。
Aの演技は以上で終わり、以下、A役だった役者は、本人として、そこに存在する。ただその状況に反応してもらえればいい。
B ねえ、どうしたの?
B 何言ってるか分からない。聞こえない。見えない。戻って来てよ。どこ?
B 誰? あなた誰?
B 違う、あなたは私と同じじゃない。さっきのあなたはどっかへいってしまった。私はこの世界に一人。演劇をする一人ぼっち。
B 今日も世界のどこかで演劇をやっていて、役者が演技をして、お客さんがそれを見て、喜んだり悲しんだりしています。そしてその時その空間は宇宙だったりお城だったり、役者は英雄だったりお姫様だったり、もしくはクズだったりするかもしれません。別に演劇なんかやらなくっても死にはしないし、みなくても何も困りません。実際に、日本で、演劇を観たこともない人も多いかもしれません。けど、それでも演劇はなくならないと私は思います。なぜなら演劇をするのはとても楽しいからです。人間にとって、演技をする楽しみというのは、きっと遺伝子に刻み込まれているんでしょう。そうじゃなきゃ、世界中で演劇が存在するハズがありません。きっと私もまた、どこかでお逢いするかもしれません。例えば、(明日の公演とか、まだお席がありますので、ご友人とお誘いあわせの上、また来て頂ければ、また私はそこにいますでしょう。そうでなくても、)この話を誰かが上演してくれるのであれば、そこにまた別の役者の形を借りて私はまたそこで楽しんだり悲しんだり、ギャグがすべって死んだりするのでしょう。別に私のことなんか、ここから一歩でたら忘れてくれてもかまいません。今、楽しんで頂けたなら、それで満足なのです。もし、楽しくなかったらごめんなさい。きっと他にもっと楽しくて素晴らしい演劇はあるので、私のことを嫌いになっても、演劇のことは嫌いにならないでください。演劇は、いつか終わります。さあ、そろそろ上演時間も終りとなって参りました。
B (和歌山)あるあるいいます。「(例)(和歌山)はあんまり雪がふらないので、雪がふると嬉しい。」以上です。ありがとうございました。(深々と礼をする)
役者二人、舞台に並んで笑顔で礼をする。そして感謝の言葉や、次回公演の宣伝など、自由に話してほしい。
了
PDFファイル
コチラをご利用ください
使用許可について
基本無料・使用許可不要。改訂改編自由。作者名は明記をお願いします。
上演に際しては、観に行きたいので連絡を貰えると嬉しいです。
劇団公式HP https://his19732002.wixsite.com/gekidankita
劇作家 松永恭昭謀(まつながひさあきはかりごと)
1982年生 和歌山市在住 劇団和可 代表
劇作家・演出家
深津篤史(岸田戯曲賞・読売演劇賞受賞)に師事。想流私塾にて、北村想氏に師事し、21期として卒業。
2010年に書きおろした、和歌山の偉人、嶋清一をモチーフとして描いた「白球止まらず、飛んで行く」は、好評を得て、その後2回に渡り再演を繰り返す。また、大阪で公演した「JOB」「ジオラマサイズの断末魔」は大阪演劇人の間でも好評を博した。
2014年劇作家協会主催短編フェスタにて「¥15869」が上演作品に選ばれ、絶賛される。
近年では、県外の東京や地方の劇団とも交流を広げ、和歌山県内にとどまらない活動を行っており、またワークショップも行い、若手の劇団のプロデュースを行うなど、後進の育成にも力を入れている