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地方演劇を真面目に考える会 その6 【コロナの影響と地方劇団とは 編】

概要

2021年に和歌山市のクラブゲートと、オンラインで開催した「地方演劇を真面目に考える会」の記録です。以下のHPにて、開催した動画のアーカイブ、アンケートデータや、インタビュー動画をご覧になれます。ぜひご覧ください。

コロナの影響

このアンケートを取ったのが、2020年の年末頃で、コロナウイルスが騒がれ始めたのが、その年の頭ぐらい、深刻な状況になって、多くの舞台が中止になったりし、最初の非常事態宣言が出たのが5月という感じです。この時は、これほど長期にわたって影響が出るとは思いませんでしたが、舞台芸術はかなり深刻な影響を受けました。今はもっと厳しい状況の劇団も多いと思いますが、アンケートの結果をのせます。

 舞台公演の中止の情報がかなり出回り、公演活動ができず、これからどうなるんだろうかと思っている中でのアンケートですが、当然、活動を諦めずに、よくなればという希望をもった回答が一番多いのは幸いです。
しかし、活動を断念したも少しあり、あれから2年程経過しているのですが、かなりの数の劇団が活動を休止・解散を選んでいます。自身も、公演が2回中止、演劇祭も丁度企画していたものも白紙。まだ、この会をやるほどには元気でしたが、その後2年にも及ぶやりたくてもやれない状況はかなり辛かったです。
しかしながら、演劇はこれからも無くなることなく、人類が持つ、演じる楽しみが失われない限り、引き継がれていくのでしょう。

地元の劇団とは?

二つ目は地元の劇団とはなにか?を聞いてみました。今回のアンケートを取る中で、一番気になっていたものです。

複数回答あり。下は、単独の要素が選ばれた数。

 自分自身が、和歌山の劇団だと言ったことはないのですが、まわりからは、確実に和歌山の劇団だと言われます。もちろん、間違っていないのですが、その地域の劇団という定義は結構あやふやではあると思います。まあ、そんなことを気にしてもしょうがない気もするのですが、他の地域の人達はどう思っているのかを知りたくて、今アンケートを企画しました。
 今回は、人、拠点、主な公演場所の3つに焦点を絞ってみました。
 結果は主な公演場所を重要視する。逆に主なメンバーが地元の人間であるは、一番低い数値になりました。
 これは結構意外だなと思いましたが、大都市圏の郊外に拠点を構えて、公演はほぼ大都市圏でツアーをするという人気劇団もあるので、それはあまり、地元の人からすれば、地元の劇団とは感じにくいのかもしれません。
 ただ、メンバーが地元在住ではなく、拠点がなくてもても地元で公演してくれれば、地元の劇団であると感じる回答が多く、非大都市圏ではそんなパターンはそもそもなかなかないかもしれませんが、逆に大都市圏の人からすればそのパターンが多々あり、自分たちの演劇文化圏の仲間だと感じやすいのかもしれません。
 後、全て無くても地元の劇団だと感じるに、5件回答があったので、そもそも地域に分けるのもナンセンスだという考え方なのか? そもそも日本の劇団だよ?ということかもしれません。(実際、自分も和歌山の劇団と言いたくなくて、日本の劇団だと名乗ってる時期がありました。)
 やはり、公演場所こそが所属地域になるということは、誰に見てほしいのか? が演劇にとっては一番重要なことなのかもしれません。

コロナの影響と地元の劇団という事に対しての個人的見解

 今回は、コロナの影響と何をもって地域の劇団とするのか?を見てきました。コロナに関しては、改めて今、どういう状況なのかをきちんと調べてほしいところですが、非大都市圏の演劇文化はデータが取りにくく、表にでにくい。つまり、困っているかどうかもわからないという非常に厳しい状況だと思います。大規模な劇団や老舗の劇団には、全国的な統括団体があるようですが、小規模な劇団や、演劇をやりたい人には、孤立が深まり、やりたくてもできない状況が深刻化しているのではと思います。演劇は生死には、かかわらないかもしれませんが、人生には演劇が力になる時があります。その時に、地方に住んでるというだけでそれができないのはなんとも悲しいことです。演技を上手くする方法や、上手な演劇の見せ方を発展させるのも大事かもしれませんが、演劇をもっと気軽に楽しむ方法こそ、広まって、研究会されてほしいです。
 地域の劇団の定義については、自分の予想とは真逆で驚きました。常日頃、その時、その場所で、そこにいる人達に出来る最大限を意識して作品づくりをしていたので、何処に住んでいる誰が演劇をしているのかを一番に考えています。公演はそのついでぐらいの気持ち。
 しかし、どこで上演するのかは、劇団のモチベーションにも関わるとても重要な事かもしれません。頑張って作った作品を喜んでくれ、評価される。これはとても楽しいことです。どうしても観客数が都会より少なく、興味のある人も少ないのでしょうが、その人たちの顔を思い浮かべられることは人数の多さよりも素敵なことだなと思います。大都市圏の演劇にはない、地方で演劇をする魅力だと思います。

つづきます。
その7はコチラ

劇作家 松永恭昭謀(まつながひさあきはかりごと)

1982年生 和歌山市在住 劇団和可 代表
劇作家・演出家
劇団公式HP https://his19732002.wixsite.com/gekidankita

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