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地方演劇を真面目に考える会 その8 【地域社会との関わり方 中編】

概要

2021年に和歌山市のクラブゲートと、オンラインで開催した「地方演劇を真面目に考える会」の記録です。以下のHPにて、開催した動画のアーカイブ、アンケートデータや、インタビュー動画をご覧になれます。ぜひご覧ください。

文化行政やメセナなどの支援について

今回も、演劇団体と地域との関係についてのアンケートを見て行きます。とかく、金銭面や体制的に大都市圏よりも不利な立場に立たされがちな演劇団体ですが、行政などの支援があれば心強いものです。地域の文化行政やメセナなどの支援について聞きました。

その他の詳細は上部のリンク先のアンケート結果よりご覧いただけます。

 結果を見て、目ん玉飛び出るほど驚きました。かなりの割合の団体が、支援してもらったことがあるそうです。自分の経験では、この中では、支援してほしいが支援してもらえる先がない。でしたので、案外と、地域行政や支援体制は思ったより良好なのかもしれません。どこの都道府県であっても文化予算は各行政は持っています。また、企業も意外と文化支援をしている所も多くあります。ライバルが少ないと、そういうものがもらえるチャンスが多いのかもしれません。
一応、環境がいい県、良くない県でもデータを取ってみました。

ほとんど変わりませんでした。自分が演劇環境がかなり良くない県にいるので、認識がずれているのかもしれません。なんだか、演劇だけ不遇だなという感覚があったので、ひねてしょうもない認識違いを事を書いてきてるかもしれなくなって、急に恥ずかしくなりました。色々まちがってたらすいません。

地域とのかかわりで一番意識していること

二つ目は前回のメリットの部分と少し似ているのですが、自由に、地域との関りで一番意識していることを書いてもらいました。多少似ている回答はコチラで、まとめさせていただきました。

●劇団活動
宣伝活動 4
地域に根差した作品作り・活動 8
関係者自身が楽しめるようにする 2
スケジュール
次につながる活動。応援してもらえる劇団になること。
敢えて地域に迎合しない作劇方法
なんのための公演なのか明確にする
演劇を知らないことを前提に話をする。
井の中以外(世界)
稽古場の周辺を清潔に保つこと
いろいろなノウハウを共有すること
メンバー全員、劇団外でさまざまな趣味や仕事などを積極的に行ってもらっている。演劇だけの人にならないように注意している。
距離感
発信し続けること。
俺らがやらなければ誰がやる。(鹿児島で演劇活動している劇団は本当に少ないので……)
お仕事とご家庭に無理を強いない様にしつつ、芝居に向きあう時にはきちんと切り替えてもらうこと。

地域との関り
関係者への感謝 4
地域住民との関係性・交流 7
行政との関係性を良好にする 4
皆さんに楽しんで頂けること
他の団体との共生
迷惑をかけないこと
一般公募を通して地元との繋がりを維持している
特に意識していることは無いが、県庁所在地に生まれたメンバーはまるで方言が使えなかったり、祭事に明るくない。知らない範囲を題材にするとき、地元に在住しているからといって、不用意に文化を盗用してウケを狙わないようにしている。
社会の一部であることを常に意識する
地道な暮らしをしている人々としっかり向き合うこと。
演劇公演の時以外から、演劇行為だということ。ポスターやチラシ配りなどはもちろん、街と関わること、街を作ること、その中から演劇が生まれるということ。
その街を歩くこと
演劇を身近に感じてもらい、情熱があれば誰でもお芝居を作れるということを知ってほしい。

●その他
特になし 2
地域は特に意識していない 2

 いろいろな答えがあり、様々な活動方針があって、面白いなと思ってみていたのですが、演劇の作品のクオリティーを優先ゆる団体・観客や地元で演劇をやる意味を優先する劇団、日常生活と演劇の両立を優先する劇団、様々です。
個人的に、「不用意に文化を盗用しない」という言葉にはギクリとしました。その地域で演劇をやるからこそ、当たり前のようにそこにある文化をきちんと理解しているのか?というのは、大事なことだなと改めて思いました。
 ほかにも、大都市圏よりも、その地域で活動する意味や、人とのかかわりを大事にするのは、地方・地域で活動する劇団ならでわだと思います。

演劇以外の活動について

劇団と言っても、別に演劇だけでもなく、ほかになにをやってもいいのです。なので、演劇以外にもなにか活動をしているのかを聞いてみました。

 圧倒的に多いのは、「していない」で、もちろんそりゃそうかで、他の活動は他の団体でやればいいことかなと。ただ、演劇の歴史的認識として、政治運動との関りが強い劇団が多いという感じだったのですが、0だったのは、そうなのか~。という感想。
次回以降になると思うのですが、地域文化には演劇だけではなく、音楽や映画やダンスなど色々あるので、包括的な活動を行っている団体もそこそこあるようです。音楽やりつつ演劇もっていう団体もありそうですし、これからは、多ジャンルにわたった活動も増えてくるかもしれません。

劇団と地域とのかかわり方についての個人的見解

 今回は、こんな感じかなと思っていた自分の予想とかなり違って、驚きました。地域社会との関わり方において、何を重要視しているのかも、それぞれでとても参考になります。演劇だけに集中するのも大事ですが、どうしても規模が小さいので、行き詰りがちになってしまうので、地域の文化の一角という認識を持つと、たとて、非大都市圏であっても、文化活動としてやりやすくなるのかもしれません。そして、意外と文化行政や支援も探せば受けられることも多いようです。先輩などのそういったことを教えてもらえる場合はいいのですが、そういう関係がない場合は、多くの場合は、自分たちから調べてコンタクトを取っていかないと分からないが多いので、一度、地域の文化行政などについて調べてみてもいいかもしれません。

つづきます。
その9はコチラ

劇作家 松永恭昭謀(まつながひさあきはかりごと)

1982年生 和歌山市在住 劇団和可 代表
劇作家・演出家
劇団公式HP https://his19732002.wixsite.com/gekidankita

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