オリエンタルラジオが吉本興業を退社することについて
2020年も暮れに差し掛かり、面白いニュースが飛び込んできた。
オリエンタルラジオの中田さんと藤森さんがそろって吉本興業を退社するようだ。
ツイッターやヤフーニュースのコメントでは
「信じられない、驚きだ」「藤森は中田に引きずられたんだ」「吉本興業崩壊か?」「まだオリエンタルラジオって活動してたんだ」
などと様々な意見がありました。
だけど、noteやSNSを多用し、チェックしているような皆様は驚いている人はあんまりいないのではないかと思います。
もともとオリエンタルラジオさんは、一般的に言われている「芸人」さんの枠組みを大きく逸して活動されていたからです。
特に中田さんのYOUTUBE展開は素晴らしかった。彼のチャンネルをまだ見たことがないという皆様。是非一度見て欲しい。
文学のこと、歴史のこと、宗教のこと、政治のこと。
正誤を指摘する人もいるのだが、「知る」「触れる」きっかけとしての存在感は他が追従できる余地がないほど、素晴らしい。
それだけ学ぶことへのハングリーさ。そして実践に移す行動力は頭が下がる。真似しろと言われてもなかなか難しい。
「円満退社なのか?どうか?」などこれから週刊誌が一斉にネタにするでしょう。
もうその時点で時代外れだ。
ただ、興味深かったのは同じ吉本出身で、もはや一般的に言われる「芸人」を大きく逸脱しているキングコングの西野亮廣さんと舵の切り方が異なったところだ。
これには当たり前だが性格の違いがある。
とはいえ、僕は二人とも実際にお会いして話をしたことがまだないので何とも言えないのだが、二人の著書や話していることを聞いている中で推測すると「このあたりの違いかな」は推察することができるので、ちょっとお話してみる。
① 西野さんは抒情的。中田さんは合理的。
「嫌われる勇気」という本を皆さんは読んでいるだろうか。3年ほど前にベストセラーになった本で、心理学者アドラーの教えを分かり易く解説した本だ。
もちろん、西野さんも中田さんも読んでいるし、中田さんは解説までしている。
二人の共通点は「嫌われていること」だ。
西野さんも著書の中で「めちゃめちゃ叩かれた」「アイツと付き合うな」と陰で言われていたと書いているし、中田さんの好感度もけして高くない。(特に女性に)。傲慢だと言われたり、独善的だと言われたりし続けている。
二人の違いは自分に向けられた批判の「使い方」の違いだ。
中田さんは気にしていない。アドラーの教えの通りに、「すべての悩みは人間関係なのだ」「他者評価では自分の人生を生きられない」「課題の分離をすべき」をあっさりと素直に実践している。だからとても合理的に映る。
取り入れたいと思うことは、取り入れる。意見が食い違う意見はにっこり笑って聞かない。あるいは距離を置く。
だから吉本興業を退社する理由としては、自分たちへの干渉が強くなったからだろうと思う。シンガポールに移住することを決めていた中田さんとスケジュール組が難しくなり、管理やマネジメントが難しくなる吉本興業と合うわけがない。
だから話し合って、必要であればきっちり「吉本興業案件」としての仕事を続けていくんだろうと思う。
一方の西野さんは、抒情的。
彼を批判したのは吉本のメンバーが数多いと思う。一般的にいう「芸人」さん達が彼を名指して批判し、バッシングしてきた。
中田さんは、無視したが、彼は無視できない性格だ。批判を批判として受け止めている。「悲しかった」という表現をして。
彼はそれをも肥やしにして作品を産み出そうとしてきている。
今上映しているプペルこそ、その時に生まれたものだったりする。
自分をたたいた人間を咎めず、「なぜそんなことしたんやろ」と考える。
ちょっと凄みすら感じる。
② 西野さんの戦略的思考と中田さんの合理的思考
これも憶測でしかないので恐縮なのだが、もうひとつの違いについて話してみる。
西野さんは「わざと」吉本に所属する道を選んでいる。
これは、幻冬舎にいる箕輪厚介さんから学んだのかもしれないが、吉本興業に所属しているということで、やれる範囲が広がるのだ。いわば「吉本興業」というツールを使った活動を行えるメリットがある。
だからこそ、西野さんは今現在「株式会社NISHINO」の代表取締役として吉本興業の仕事などしなくても活動は出来るのだけど、
自分の活動を大きく広げていくためにも吉本興業という組織に所属していることで守られたり、影響力を持つことが出来たりすることができるメリットを戦略的にとっているのだ。
また、吉本に新たに所属したいと志望してくる若手芸人さんたちのカリスマになりつつある昨今、わりと「良い関係」なのではないかと思っています。多少悪口言っても目をつぶってもらえると思うし。
一方の中田さんは違う。個人主義だ。「自分で考え、自分で決める」人だ。
よく考えてみてください。本当に相手が必要だと思うのであれば、「再雇用」することだって組織としたら出来るのだ。
会社だってそう。
一度退社したからって言って、もう二度と復職できないと考えるのはおかしいのだ。(まあ、気分的に良くないこともあるかもしれないけど)
そういう点では非常に合理的な思考といえる。
このように、オリエンタルラジオの退社には今後の組織への属し方への提言という意味では大きな一面のある出来事だと思う。
・・・え?藤森さんはって?
シンゴちゃんは無敵だからよいのです。
埋もれてしまっている宝石がたくさんあるように思います。文化だったり、製品の場合もあるけれど一番は人間の可能性です。見つけて、発信してよりよい世界を共に生きましょう。