マンガ教室でやってきたこと
お世話になっております。若林です。
お伝えしていた通り、静岡県富士市で開かれた富士山紙フェア2019で、マンガ教室をやってきました。
受講者は16人くらいいたかと思います。
上は30代から、下は小学3年生まで、幅広い年代の方に参加して頂きました。
今回はWEBで投稿することを前提とした「短いページ数の漫画の作り方」を教えました。
その中で取り扱ったことは大きく二つ。
「キャラの作り方」と「キャラを見せる漫画の作り方」です。
「キャラの作り方」では、キャラの見せ方ややり取りを考える上で必要な項目について話しました。
下の写真は僕が新幹線の中で適当に考えたやつです。
僕としては、このそれぞれの項目に好きな要素を入れていくと、自動で漫画が出来上がっていくんです。
でも他人がこれを見ても「何を入れていいかわからない」「思い浮かばない」という状況になるんですね。
なので「判断に迷った時の簡単な考え方」も合わせて用意したのですが、もしかしたら本番では説明し忘れたかも……。
これを元に「キャラを見せる漫画の作り方」を教えました。
ここでは「キャラ見せ」に特化した4コマ漫画の構成方法と、コマごとの演出方法について話しています。
上のキャラ表を元に実際に描いた漫画が下の写真です。
上のキャラ表を作った時点では、内容とかはあんまり考えてませんでした。
あらかじめ時間かけて考えた内容をそのまま描いても、説得力無いじゃないですか。
なのでその場で考えて描きました。大体5分くらいでしょうか。
まあまあな出来だと思います。僕はもうこのネタで連載いけます。
「面白いと思った人―??」って訊いたら、小学3年生も含めて全員手を挙げてくれました。勝利。
それから、会場にいる中学1年生女子をモデルにキャラを作って、漫画にしたりしました。
その子の私生活とか、好きな漫画のキャラとかを訊きながら、恋愛漫画のキャラを組み立てました。
その子は「鬼滅の刃」が好きだそうで、その中でも「ぜんいつ」っていうキャラが好きなんだとか。
じゃあその子がいつか二次創作でもする時のために、そのキャラとの夢漫画でも描こうじゃないかと。
僕はまあまあいい感じだと思いましたし、会場のみんなも面白いと言ってくれたんですけど、小学3年生に「あんまり……」って言われた時は膝から崩れるかと思いました。
大口叩いたくせに、目の前にいる小学生一人満足に楽しませることもできないのかと。
この日一番帰りたくなった瞬間でしたね。
それでもめげず、さらに他の人が考えたキャラで漫画を作って見せるというのもやりました。
自分で考えたキャラで漫画ができるのは当然なので、他人のキャラでもやろうじゃないかと。
この人はいろいろ考えすぎちゃう人で、典型的な「情報を整理できない人」って感じでした。
あと「自分の考えてることは複雑に違いない」と思い込むクセもあって、意思疎通も大変でした。
僕も内心「ダメかも……」と思ってました。
それでもなんとか情報を聞き出して、整理して、できたキャラ表が上の写真です。
この段階で、僕も本人も、どんな話ができるのか、どう形にすればいいのか、想像できてません。
どうでしょう。
僕はね、やはり若林、天才だと思いましたよ!!
小学3年生でさえ「面白い」って言ってましたからね!!
しかもこの4コマ、ギャグじゃないんですよ。切ない感じで落としてます。
「4コマ漫画=ギャグ」というイメージを払拭するいい例になったと思います。
この4コマを描く前は、みんな僕が教えてる内容に半信半疑だったんですよ。
「僕に漫画を描いて欲しい人ー??」って訊いても一人しか手を挙げませんでしたし。
でもこの4コマを描いた後は、一斉に手が挙がりました。尊敬された瞬間を見ましたよ。
さらにこの4コマを見て、さっきの中1女子が「私も思いついたので描いていいですか」と言ってくれて。
みんなが見てる前で、しかもプロも見てる前で、自分の漫画描くなんて、めっちゃ度胸あるじゃん!!と。
画面構成ができてないっていうのはあるんですけど、やろうとしてることはわかります。
「小さい子が一生懸命仕事してるけど、ドジで目が離せなくて、それを見守ってる俺、やれやれ。」
みたいな感じだと思います。
僕もびっくりしましたけど、ちゃんとキャラを見せる4コマになってるんですよ。
彼女は将来プロになるかもしれませんね。
それを見て、他の受講生達も刺激されたみたいで、みんな一生懸命漫画を描いてくれてました。
後は受講生の漫画を添削しながら、細かい演出方法を説明したり、質問に答えたり。
それを見ていた富士市の職員さんも興奮するほど白熱した講義になりました。
今回僕が教えた内容は、数ある漫画理論の一つで、人によって向き・不向きがあるだろうと思います。
ただ、わざわざ僕が来たのに、一般的な方法論を紹介してもしょうがないので、僕の漫画理論を教えてみました。
僕自身は元々ヒロユキ先生の理論を受け継いでいるので、再現性はあるはずです。
あとはいかに多くの人に理解できる言語や考え方に落とし込むかでした。
教えてる中で「この言葉は誤解を生むな」とか「ここは考え方を用意しないと止まっちゃうな」とか、いろいろ反省点も見つかりました。
次こういうことをやる機会があったら、もう少し上手に教えられるんじゃないかと思います。
とにかく楽しい講義でした。来年も呼んで欲しいですし、なんなら別の町にも呼ばれたい。
※追伸
ちなみに僕に面と向かって「あんまり面白くなかった」と言った小学3年生!!
めっちゃ面白い漫画を描いてくれたんですよ!!
中学生女子二人によるコメディ漫画だそうです。
デカくて元気な方と小さくて元気な方というキャラ設定です。
「ポプテピピック」の風を感じますよね!!
わかりにくいかもしれませんけど、中学生がファミレスで忘年会して散々食べた後、財布の中に60円しか無かったっていう話です。
中学生が忘年会に行くっていう漫画を小学3年生が描くっていうのが最高にかわいいですよね。
あとこの漫画、カラーなんですよ!!
WEB漫画はカラーの方が目立つっていうのをちゃんと理解してる!!賢い!!
あと1コマ目、僕はよく「ナレーション→台詞」っていう描き方をしますけど、この子は「台詞→ナレーション」にしたんですね。
これ、個人的にめちゃめちゃ新しいので、今度パクります!!
これは身体測定の話なんですけど、1コマ目、デカいほうが500cmなんですよ。
この時点でもう面白いじゃないですか!!
2コマ目、小さいほうは自分の身長の低さを気にしてるんですけど、150cmあるんですよ。
中学生で150cmなら全然小さくないじゃないですか!!なのに10トンの石が落ちるほどショックウケてるんです!!面白すぎる!!
3コマ目、背の低さを気にしてる小さいほうに、デカいほうが「そんなことで泣く……?」って思ってるんですけど、4コマ目は小さいほうが「あ!今そんなことで泣く?って思ったでしょ??」って心を読むっていうオチなんですね。
ちょっとすごくないですか??小学3年生でこんな人間のやり取りが描けるのかと!!
この子からしたら、そりゃ僕の漫画なんてつまらなかったろうなと。完全に敗北ですよ。
ぜひ将来プロになって会いたいですね。