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打ち切りする時の気持ちのこと

お世話になっております。若林です。

僕は2012年からプロとして活動していますが、今まで2度漫画を打ち切りで終わらせています。
その時の気持ちは作家さんによって様々だと思いますが、僕はちょっと複雑です。

売れなったことへの悔しさや悲しさもありますけど、終わらせられる安心感みたいなのもあります。
自分に対する失望感もありますし、次はもっと上手くやれるっていう謎の自信もあります。
焦る気持ちもありますけど、時間ができるから余裕もあります。
編集さんや出版社を恨む気持ちもありますし、逆に付き合ってくれた感謝の気持ちもあります。

つまり、正気じゃないです。

自分では自分のこと冷静だって思ってるんですけどね。
普通に非常事態なので、冷静になろうと思ってやっぱりちょっとおかしくなってると思います。

特に最初の連載がすべった時は、すごい無力感でしたね。
それまでずーっと評価されなくて、ようやく連載した漫画がすべったわけですからね。
自分の全てが否定された気分ですよ。

それでも連載はすぐには終わらなくて、ちゃんと最後まで描き切らないといけません。
この作業がめちゃめちゃかったるいんですよ。
ほとんど誰も読んでない漫画、ほとんどお金にならない漫画。
それをただ終わらせるためだけの作業。本当に憂鬱です。

ただこの時の僕は、「仕事だから」とか「読者が待ってるから」とか、そういうことはどうでもよくなってます。
「キャラを幸せにできるのは自分だけ」という一つの使命感だけで描いてます。
そこでやめたらキャラは生きることも死ぬこともできないので……。

物語もラストになると、そこで描けるものを全部出し切ることもできるので、ちょっと楽しさもあります。
キャラの物語を終わらせられると、約束を守ったような気分になります。
なんだかんだで「描いて良かった」という思い出にできます。

打ち切りになった漫画でも、「描かなきゃよかった」と思うようなものは一本もありません。

それに打ち切りになったような漫画でも、やっぱり読者はいるんですよね。
たまに「あの漫画読んでました」って言ってくれる人がいて、「描いて良かった」と嬉しくなります。

たぶんこれからも打ち切りすることがあるでしょうね。
もしかしたらいつか心が折れちゃうかもしれません。
その時もがんばりきれるか全然自信ないですけど、描ける限り描いていこうと思います。

※余談
打ち切りで終わった「恋するみちるお嬢様」も「僕はお姫様になれない」も、売れなかったけどめちゃめちゃ面白く描けたと思ってます!!
やっぱり若林は天才だな!!

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