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他人と比べちゃう時の気持ちの対処法のこと

お世話になっております。若林です。

先日Twitterで作家さんから相談のDMを頂きました。
以前僕がコラムの中で「自分自身とだけ向き合う」という話をしたことについてです。
その方はアプリで連載されていて、「常に他人の数字と比較されて順位付けされてしまい辛い」と。
自分の数字とだけ向き合えたらいいけど、どうしても他人が気になっちゃう時はどうしたらいいのかと。

それに対して僕はまあまあな長文で返したんですけど、あれですね、熱くなると話が長くなりがち!!
そういうことはここで書くべきだったなと思ったので、共有したいなと思います。

確かに、良くないと思ってても、他人と比べちゃうことありますよね。
特にアプリは雑誌よりいろんな数字が出てきますし。
順位付けされるのも疲れます。

僕も順位付けは好きじゃないです。
一時期はpixivで「いつも上位にいる人」みたいになってましたけど、あれだって良し悪しあります。
僕だって最初はランキングにも入らない程度の投稿者だったわけです。
それがある日たまたまランキングの底辺でも入れると、宝くじに当たったような気持ちで嬉しいわけです。
この時はまだ他人と比べてどうとか考えてません。底辺で人と比べてもドングリの背比べですし。
ただそれが常態化して上位に入るようになると、宝くじ気分ではなくなりますし、人とも比べ始めます。
そのうちランキングに入れなくなってくると「落ち目」とか言われるわけですよ!!ムカつく!!

最近よくある「次にくるマンガ大賞」みたいな賞レースも苦手です。
たまにノミネートの打診が来ることあるんですけど、最近は断るようにしてます。
ノミネートって一瞬嬉しいんですけど、他人と人気を競う勝負はそれ自体がストレスなんです。
それに賞レースって、大体その時その時の本命作品があるので、それには絶対勝てませんし。
その絶対勝てないレースの中で他人と優劣を付けられるのが、僕はめちゃめちゃ苦しいんです。
人によっては「ノミネートだけで嬉しい」「少しでも宣伝になれば」っていう気持ちで参加できるんでしょうね。
でも僕は「優劣を付けられて疲弊するくらいならそのレースに参加しない」っていう方を選んでます。

それでも「他人と比べてしまうこと」は自分の意志と関係無くやっちゃうことじゃないですか。
嫉妬しないようにしたってどうせします。
なので嫉妬することはもう受け入れて、その上で3つの考え方をするようにしています。

1つ目は、「自分より売れてる漫画の何が羨ましいのか?」です。
例えば「進撃の巨人」の諌山先生は、僕と一つしか歳が違わないんですよ。
それでこの差です。めちゃめちゃ羨ましいですよね。
でも「タイムマシンで過去に戻れたら、自分で進撃を描きたいか?」と考えたら、別に描きたくないんです。
結局、自分には自分の描きたいものがあるんですよ。
僕はあんな地獄みたいな話より、もっとハッピーな話が描きたいです。
そう考えてると、相手と自分の違いをだんだん認められるようになってくると思います。
それでも羨ましいのは、向こうが自分の何倍も売れてて、地位も名誉もあるからなんでしょう。
だったらそれは普通に「羨ましい」って思ってればいいんです。憧れは大事。

2つ目は「相手の漫画の何をバカにしているのか?」です。
嫉妬してる時って、基本的に相手をバカにするじゃないですか。
僕だって「進撃」読んで「こんな下手くそな絵で……」「気持ち悪い絵……」とか思いましたもん。
でもそれは、たぶん自分でもやろうと思えばできることを相手がやって成功してるからなんだろうなと。
つまり、自分でもできるかもしれないことなわけですね。

「どうして自分はやらなかったのか」→「作風と違うから」
「相手はどういう意図でやっているのか」→「目立たせるため?」
「同じ意図のことを自分ならどうやるか」→「きれいな絵でも違和感持たせて目立つように変な表情させよう」
とか考えてると、できることが見えてきます。

3つ目は、「今の自分の数字の意味とは?」です。
嫉妬してる時って、自分のできてないことを過大評価して、できてることを過小評価しがちだなと。
他人を見て「自分だってあれくらいできる……」と自分の能力を過大評価したり。
自分の出した結果を「自分にはこれくらいしかできない……」って過小評価したりするわけです。

でも例えば、自分の漫画を読んでる人が100人いるとするじゃないですか。
アプリやSNSの中で「100人」ってすごく少ない数字ですよね。下手したら「無」に等しい人数です。
でもこの100人は、読まない方が普通なのに、何かの理由で自分の漫画を読んでるわけです。
そんな特殊な状況について、普通に真面目に考えればいいと思うんですよ。

■「この人達は何を期待して読んでるのか?」
→「このジャンルが好きな人達なのかも」
→「同ジャンルの他作品に無い強みを活かそう」
■「作品のどこにグッときたのか?」
→「キャラの表情のアップかも」
→「だとしたらサムネイルで使いやすいような絵をどんどん入れよう」
■「何を楽しんでいるのるか?」
→「キャラの関係性萌えに反応してくれてる」
→「だったらそういうシーンをもっと入れよう」
■「逆に他の読者が離れた理由は何か?」
→「文字が多いからかも」
→「なら文字を減らそう」
■「ランキングではエロが強い」
→「自分の漫画にはエロ要素が無い」
→「この100人はエロを求めていない」
→「そういう読者は他にもいるだろう」
→「純真さをアピールしていこう」
など、いろいろできることが見えてきますね。


嫉妬してる時って、他人しか見えなくなっちゃうじゃないですか。
でも自分のやりたいこと・自分のできることが見つかると、人は前向きになれるんですよ。

(「人は」って言うと主語が大きいかしら。少なくとも「僕は」ってことで!!)

「自分自身と向き合う」っていうのはこういうことだと思います。
これで少しでも前向きになってくれればいいなあ……。

※相談者への返事では2つの考え方しか送ってなかったんですけど、今回書いてるうちに思い出しちゃったので追加しました。
やっぱり話が長くなりがち……!!

あと僕が「進撃の巨人」にこんなに嫉妬してるってことは内緒にしててくれよな!!
嫉妬はしてるけど尊敬もしてる!!

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