世のマンガ教室について荒ぶってること
お世話になっております。若林です。
以前お話しした通り、今度の27日、静岡県富士市で開かれる富士山紙フェア2019というイベントで、マンガ教室の講師をやることになっています。
事前予約されている受講者リストを見たのですが、下は小学3年生、上は29歳社会人まで、幅広い方がいらっしゃるそうです。
そんな人達に、僕から何を教えようか、この数日ずーっと考えていました。
というのも、僕は世の中のいわゆる漫画教室にめちゃめちゃ疑問があって、なんとか新しい方向性を見出せないかと思ってるからです。
世の中の漫画を教えてる職業の人、自分で漫画を描いてる人ほとんどいないんですよ。
漫画教室や漫画専門学校の講師って、昔漫画を描いてた人がほとんどで、現役で漫画を描いてる人がいても、同人作家か、いまいち実績の無い人ばかりなんです。
それも当然で、現役で実績のある人は自分の仕事で忙しいので、そんなことしてる暇は無いんですね。
現役で実績もあって講師をやってる人なんて、京都精華大学の講師で「こぐまのケーキ屋さん」を描いてるカメントツ先生くらいじゃないでしょうか。
なのでそういう人達が教えることって、精神論か、他人の漫画の分析論で、自分の経験から得た技術や知識を教えられる人がいないんです。
漫画の技術は日々更新されています。
昔描いてた人の教える技術が、どこまで当てになるでしょうか。
何より、昔一回描いてただけの人の技術には、再現性が無いじゃないですか。
現役で描いてる人でも、素質が疑わしいんです。
そういう人が描いた漫画を読むと、普段人に演出とか構成を教えてる人なのに自分でそれができてないんですよ。
こういう話をすると「一流のプレーヤ―が一流のトレーナーになれるとは限らない」みたいな話をされるんですけど、これも本質からずれてると思うんです。
何で漫画の話をしてるのに、スポーツの話にすり替えるのかと。
漫画とスポーツ、全然違うじゃないですか。
他のことに例えていいなら、料理や学問とかでもいいじゃないですか。
でも料理教室の先生が実はしばらく料理してなくて、他人のレシピを教えてるだけだったら。
英語の先生がしばらく英語なんて話してなくて、教科書に載ってることを話してるだけだったら。
……違和感しかないじゃないですか!!
でも漫画教室では、全然漫画を描いてない人が漫画の描き方を教えてるんですよ!!
でも漫画家は、資格が必要な職業でもなく、「実績」にも客観的な基準はありません。
最悪、全く描いたことの無い人だって講師になれるわけです。
そして教わる側も、講師にそんな高いレベルを求めてるわけじゃありません。
欲しいのは「環境」で、一緒にがんばる仲間と、サボり防止の課題と〆切、そして聞くとその気になれる程度の漫画理論があればいいんです。
なので今の漫画講師に求められてるのは、漫画の技術ではなく、コミュニティ運営能力なんじゃないかと僕は考えています。
これは漫画に限らず、他のいろんなビジネス系サロンにも言えることかもしれません。
…………どう思います??この現状??
漫画の技術って、作家さんによって考え方が違うので、作家の数だけ方法があるんだと思います。
しかも人によって合う・合わないがあるっぽいので、方法と個性のマッチングが上手くいかないと悩み続けることになります。
だったら環境だけ用意して、誰にでもわかる程度の知識の共有に専念するのが、実は正しいのかもしれません。
…………でもムカつく!!水素水をありがたがって飲んでる人を見てる時の気分!!
…………僕も水素水飲んで「朝の目覚めが良くなった気がする」とか言ったことあった!!ムカつく!!
僕は漫画専門学校出身ですけど、在学中何も結果を残せずに、大した技術も得られなかった人が「でもこの学校で仲間に出会えた」とか言ってるのを見て、「そのために授業料とか数百万円払ったの……??」って内心思いましたし。
ここ数年いろんな漫画のセミナーに参加してみて、参加者が「めちゃめちゃ勉強になった」って言いながら結局何にもなってないのを見る度に、「勉強が趣味なの……??」って思いますし。
そんな虚しいことしてて、あなた幸せなの??と。
そこで最初の話に戻ります。
じゃあ自分は今度のマンガ教室でどうするんだと。
いろいろ考えました。漫画業界の話とか、適当な漫画理論の話しようかとも考えました。
でもわざわざ静岡まで行く意味。
わざわざプロが教えに行く意味。
そしてそのプロが、わざわざ若林稔弥である意味。
僕はWEB漫画家として認知されていますけど、世の中的には「WEB漫画家=インスタントラブコメ作家」として認知されてるんじゃないかと思います。
だったら、実際に目の前でインスタントに漫画を描いて見せるのが、一番有意義なんじゃないかと。
そしてその場にいる受講者と一緒に漫画を作ったり、受講者の考えてきたネタを漫画にしてみようと。
僕の口先の漫画理論は、ネット上で散々喋ってきたので、知りたければURLを教えればいいだろうと。
これが受講者にとってどれだけ学びになるかはわかりませんけど、「実際に目の前でプロの技を見た」っていう経験はなかなか得られないですし、その辺の漫画教室ではまず無いでしょう。
こんな話を、マンガ教室の後ではなく前にするのは、もしこのマンガ教室が不評に終わったら、僕はこの話恥ずかしくてできないからです。
できたとしても、後からならいくらでも自己弁護できますし。美化もされるでしょう。
でも先にデカい口ふいとくことで、背水の陣的に、自分の覚悟を決めとこうと。
つまり、超燃えてるってわけです!!!!メラメラメラメラポメラニアン!!!!
とはいえ小心者でもあるので、不評だったらどうしようっていう気持ちもあります。
小学3年生の子に嫌われたら泣いちゃう。
あと朝早起きして新幹線に乗るんですけど、ちゃんと起きられるかしら。これが一番心配。
イベントから帰ってきたら、どんなことしたか報告しますね。成功するといいなー。
がんばります!!