出版社や編集者に求めてること
お世話になっております。若林です。
SNSでは「出版社不要論」「編集者不要論」とかいろいろ見かけますね。
今は個人でいろいろできますし、そういう考え方の人が増えるのもわかるなーって思います。
ただ僕は出版社や編集者は「大きく売れるためには必要」だと思ってます。
僕にとって出版社は「出版代行サービス」みたいなものなんですよね。
全国の書店に本を届けられる。
印刷費を負担しなくて済む。
在庫リスクを負わなくて済む。
書店への営業も任せられる。
デザインの発注も任せられる。
会社が持ってる媒体で宣伝してもらえる。
これらのサービスを単行本価格の6割という手数料でお願いできるなら安いじゃんと。
これを自分で全部やろうと思ったら大変ですし、コストもかかります。便利。
僕が出版社に求めるものは基本これで、それ以外は厚意による付加価値だと思ってます。
僕が編集者に求めてるものは「客観性」です。
昔から漫画家と編集は二人三脚で漫画を作っていくイメージがありますね。
でも僕にとって二人三脚の相手は妻です。妻にネームを見せて全て判断します。
ただそれだと新鮮さが失われていくので、セカンドオピニオンとして編集さんの意見を取り入れています。
その時の編集さんの感性によって漫画に新しさが加わっていくのが、僕の楽しみです。
客観性といっても、別に世の中の平均的な見解とかを求めてるわけじゃありません。
編集さんも一人の人間なので、かたよった好みとかもありますし。
ただ僕じゃないというだけで僕からしたら客観ですし。
あとは一緒に仕事してて楽しければ、それで十分です。
僕が出版社と編集者に求めてるものはそんな感じです。
それ以外のことは個人でやった方が早いし確実です。
SNSでの発信は出版社より作家の方が強いので自分でやります。
制作コストは同人誌出したりFANBOXやったりして自分で賄ってます。
漫画の売り方も、企画の段階である程度自分で考えて、他人がイメージしやすいようにしています。
これらは別に無理してやってるわけではなく、やった方が得だし楽しいからやってます。
なので出版社とはWEBで自由に活動できるように最初に交渉してます。
それでも出版社と組まずにやったほうが気楽ですし、何より利率がいいですね。
ただ漫画が大人気になって手間が増えたら、結局出版社と組んだ方が楽になるだろうと思ってます。
そうじゃないなら、個人のほうが儲かるんじゃないでしょうか。
数千人の熱心な読者に支えてもらうっていうのもいいですよね。
10年前はそれを続けるのは難しいと思ってましたけど、ふたを開けたら10年やってる人もまあまあいますし。
自分で会社を立ち上げてる人もいますよね。普通に尊敬します。真似してみたい。
そんなわけで、僕は大きくやりたい時は出版社とやりますし、小さくやりたい時は個人でやりたいなって考えてます。