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【網膜裂孔】痛くも痒くもないのに左目に穴が空き、レーザーした話

2021年2月13日、私は網膜裂孔で左目にレーザー治療を受けました。専門知識もない一患者の体験談ですが、「網膜裂孔と診断を受けた方」「これからレーザー治療を受ける方」「気になる症状があって眼科に行こうか迷っている方」などのお役に少しでも立てれば…と思い、今回記事にすることにしました。なお、私は医師ではありませんので、気になる症状のある方は必ず眼科を受診してください。

突如現れた謎の白い光

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ある日、入浴中の出来事でした。シャンプーするために目を閉じていたら、突然正体不明の白い光がスーッと左目の瞼の上を横切っていく感覚があったのです。

1秒もしないうちに消えてしまいましたが、その後は目を開けていても寝ようとしてベッドに入っている時にも、何度も白い光が現れては消えるという現象を繰り返すようになりました。

不思議には思いましたが、もともと両目とも強度近視で特に左目の視力が弱かったので、「左目の眼球が変な動きをしているのかな?」ぐらいにしか考えませんでした。

光の正体は光視症(こうししょう)

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この時点では全く気づいていませんでしたが、謎の光の正体は光視症(こうししょう)でした。光視症とは暗い部屋に居たり、目に光が当たっていないのに突然光が見える症状のことです。

「稲妻のような光」「ピカッと光る症状」と記載されている資料もありますが、私の場合は「スーッと横切っていくような感覚」が多かったです。また、目を開けている時でも、閉じている時でも関係なく光が出現しました。

光視症が起きる理由は主に2つあり、

・睡眠不足やストレスなど脳に原因がある場合
・網膜裂孔または網膜剥離といった、目の病気が原因の場合

と言われています。そして、残念ながら私の場合は、後者でした。

検査の結果【網膜裂孔】と診断

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眼科を受診して「変な白い光が見える」と相談したところ、医師からは次のような回答がありました。「光が見えるのは光視症と言って、目に穴が空いている可能性がある。後で検査しましょう」

そして瞳孔を開く目薬を両目に差してもらい、検査したところ左目の横に穴が空いていることが分かり、【網膜裂孔】と診断されました。

※画像は眼科で撮ってもらった、実際の私の左目の写真です。

網膜裂孔って何?網膜剥離との違いは

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網膜裂孔とはその名の通り、眼球の奥にある網膜に亀裂が入り、穴が空いてしまった状態です。そして網膜に空いた穴を、「裂孔」と呼びます。

空いてしまった穴は自然に塞がることはなく、放置することで網膜剥離へと進行していきます。網膜剥離とは、裂孔の周囲から網膜が剥がれ、剥がれた部分が光を感じなくなってしまった状態なのだそうです。

網膜が剥がれるなんて、さぞ痛そうだ……と連想しがちですが、どういったわけか痛くも痒くもありません。そのため、なかなか眼科に足が向かず、発見が遅れてしまう方も少なくありません。

発症するのに年齢はあまり関係ない?

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網膜裂孔または網膜剥離と言うと、強度近視の中高年が発症するイメージが強いですが、実際はそうでもないようです。

診断を受けた日、医師がいくつかの症例を見せてくれましたが、若い方だとわずか15歳の女の子が発症していました。そのため、「自分はまだ若いから大丈夫」とは思わない方が良さそうです。

また目の周りをマッサージし過ぎたり、「うつ伏せ」など不適切な姿勢でホットアイマスクを使用したりすることで、両目とも網膜剥離になってしまった方もいるそうです。

なお、「どれぐらいならマッサージしても良いのか?」「うつ伏せじゃなければ、ホットアイマスクを使っても良いのか?」などといった点が気になる方は、最寄りの眼科にてご相談ください。

即日レーザーすることに

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診断を受けた後「今日やってあげるから」と医師に言われ、その日のうちにレーザーすることになりました。発症初期なら、レーザー網膜光凝固術という方法で、進行を食い止めることが出来るからです。

また、放置すると網膜剥離に進行し、本格的な手術をする必要があります。さらに一定以上の年齢になると進行も早くなってしまうので、レーザー治療を受けるのは早ければ早いほど良いのです。

事実、医師も「こういうの(治療)はすぐに受けないとダメ」と言っていました。

思っていたよりも重症だったらしい

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レーザー照射をするにあたり、同意書が必要だから家族を呼ぶように言われました。義母が来てくれましたが、いざレーザーをする段階になり、医師の顔色が変わったのが分かりました。思ったより穴が大きかったのです。

どうやら最初の見立てより7~8倍ほどの大きさだったらしく、網膜剥離寸前にまで進行しているとのことでした。そのため、

「今の状態だと2回目のレーザーをする可能性も高いし、手術する羽目になる可能性どちらも高い」

と告げられ、急に大変なことになったと恐怖を覚えました。

照射した回数はおよそ460回

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レーザーは座ったまま、台座の上に顎を乗せた状態で受けました。上下に目をこじ開け、そこに顕微鏡のような円筒形のレンズを嵌めて、照射していく形です。後ろから助手の方に抑えられ、動かないように拘束されたのを覚えています。

照射する直前に差してもらった目薬が麻酔の役割をしていたのか、痛みは全くありませんでした。そして照射した回数は、およそ460回。重症の方だと1,000回ぐらい照射することもあるとのことで、ちょうど私は軽症と重症の間ぐらいだったようです。

保険診療でも会計は3万円超え!

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レーザー照射、そして当日の診察代を含め、その日の会計はなんと3万1,590円でした。これは保険診療で、なおかつ3割負担の金額です。

なお、網膜裂孔のレーザー照射は医療保険の「日帰り手術」か何かで保険が下りる対象になるため、医療保険に入っている方は手続きすることをおすすめします。

1週間の療養生活

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外来診療でその日のうちに帰宅できましたが、思ったより状態が悪かったため、1週間の療養を指示されました。具体的には、

・1週間は仕事を休むこと

・家事も何もかも一切せず、1日中両目とも瞑って横になっていること

・食事・トイレ・入浴の時以外は、目を開けてはいけない

とのことでした。そのため仕事はもちろん休み、料理も掃除・洗濯も全て家族にやってもらう羽目になったのです。申し訳なさと、仕方ないという気持ちがない混ぜになりましたが、手術は避けたかったので療養に専念することにしました。

療養生活での制限は?

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基本的には上記の通りでしたが、

「寝る時の姿勢は仰向けか左が下(右を下にしてはいけない)」

「入浴はレーザー2日後から、2~3日おきに軽くシャワー(浴槽に浸かってはいけない)」

「顔は拭くだけ(洗顔してはいけない)」

などといった制限が設けられました。

こう書くと大変そうに見えますが、実はこれはまだまだほんの序の口。網膜剥離で手術した際は約10日~14日間入院することになり、手術法によっては網膜がくっつくまで1日中うつ伏せで休んでいる必要があるそうです。

また、網膜剝離はあくまで剥がれた網膜をくっつけるための手術です。手術をしても、失った視力までは戻りません。だからこそ、早期発見で軽症のうちに治療を受けることが、重要だと言えます。

見えてきた“回復の兆し”

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やがて1週間の療養が終わり、医師に指示された通りタクシーで来院しました。レーザーを受けた箇所は凝固するまで約3ヶ月の時間が必要で、その間はなるべく体を動かさない方が良いからです。

前回と同様、瞳孔を開く目薬を差し、さらに「またレーザーすることがあったらすぐ出来るように」と、もう1種類目薬を差してもらいました。何の目薬なのか説明は受けませんでしたが、恐らく麻酔だったと思います。

ドキドキしながら診察室に呼ばれ、診てもらったところ「進行が止まっているので、経過を観察しながら仕上げのレーザーをしよう」という話になりました。なお、この日の翌日から仕事は解禁になりました。

しばらくはタクシーで通院

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この日は帰りもタクシーで、しばらくは往復共にタクシーでするようにと指示を受けました。その後、運動も最初は部屋の中で足踏みするだけに留めるよう言われていましたが、やがて近所のスーパーへの買い出しまでは許可されました。

この他にもテレビの視聴や飲酒なども解禁され、だんだん日常生活へと戻っていきました。

現在も経過を観察中

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それでも治療はまだ終わっておらず、現在も2週間おきに眼科へ通って経過を観察しています。どういうことなのかと言うと、2回目の仕上げのレーザーを受けていないからです。

画像のように、網膜の手前には硝子体と呼ばれる部分があり、硝子体には水が含まれています。網膜に穴が空いたことで硝子体由来の水が裂孔内に溜まり、眼球内に水たまりが出来ている状態となりました。そして、その水が引くまではレーザーの照射ができないのです。

いつ水が引くのかは個人差がありますが、半年~2年ぐらいかかる場合もあるそうです。運動を控え、おとなしくしていれば引いてくるそうですが、油断するとまた水が溜まってきてしまうので注意が必要とのことでした。

現在も残る光視症や神経痛

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これを書いている時点でレーザーしてから1ヶ月を過ぎていますが、光視症は今でも残っています。また、左目の上の辺り(ちょうどレーザーを照射した部分)に、鈍痛を感じることもあります。

光視症がいつまで残るのかは分かりませんが、鈍痛の正体は疲れ目による神経痛(三叉神経痛)と説明を受けました。少しずつ痛みを感じる頻度は減ってきていますが、暇な時はなるべく目を閉じて横になっているのが良いとのことです。

「定期的に通っているから安心」だなんてトンデモない!

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もし、このノートを読んでいるあなたが、自分は定期的に眼科に通っているけれど、医師に何も言われないから大丈夫」と思っているなら、今すぐその考えを改めてください。

実は、網膜裂孔の診断を受ける2ヶ月以上前から、私は定期的に眼科に通っていました。しかしそれは、「網膜の病気かもしれない」と気がかりになったからではありません。

私が眼科に通っていた理由、それはモノが二重に見えるという全く別の症状が気になり、プリズム加工をしたメガネの処方箋を書いてもらうためだったのです。

処方箋を書いてもらうために通っている間にも光視症はありましたが、前述したように「強度近視だから、眼球が変な動きをしているのではないか?」としか思っていなかったので、診察中に話題になることすらありませんでした。

少しでも「おかしい」と思ったら必ず自己申告を

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医師は、限られた診療時間内で全ての外来患者を診察する必要があるため、非常に多忙です。また、超能力者でもありませんので、基本的には患者が自己申告した症状を中心に診る方がほとんどでしょう。

事実、私も「白い変な光が見える」と訴えるまで、医師から何も言われませんでした。そのため、少しでも気になる症状があったら、必ずそれを医師に伝えてください。

ふだん病院に行かない方にとっては、「眼科を受診する」ということ自体ハードルが高く感じてしまうかもしれません。しかし、痛くもかゆくもないその間にも、目の病気は静かに進行していきます。

だからどうか、少しでも気になったら、怖がらずに受診してください。「何でもなかったらどうしよう?」と思う方もいるかもしれませんが、それは大したことないと分かって良かった!という事実が残るだけです。このノートが今困っている誰かの役に立てれば、幸いです。



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