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労働日記|こちら新年度、春です

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 朝、京急のアナウンスで電車が遅延していることを知って、ああ4月だもんな…と目を強く瞑った。映画観たり、海岸の方行ったりしよう、俺も仕事さぼりたい。とは言いつつ嫌なことはなく、職場で好きな人にも話しに行けてるし、つまんねーよー!と思いながら、excelと仲良くやっています。先生のあとをぴょこぴょこついて行くだけでも楽しい。いつも先生は「素晴らしいですね」と言ってくれる。エイリアンが好きなのだそう。今度電気羊を貸す、ふんわりした約束をした。

2
 ただ、過労はやっぱり良くない。生活が、人生が破壊されてしまうから。長時間労働はそれだけで悪だと思う。会社員は特に。春だから余計にそう思う。春は無理せず行こう、もっとなあなあでええんや。会社遅刻したって、何か間違えたって、周りと仲良くなれなくたって、なあなあや。電車が一時間に一本しかなかった所に住んでいれば、きっとそう思う。ここは五分に一本来るからね、焦っちゃうんだよな。

3
 何の話だっけ、そうだ、忙殺されて、自分の気持ちを見つめる時間もなくて、頭がぼうっとしながらがむしゃらにやっていると、後でふとした瞬間に、虚しさに襲われる。家に帰って、何やってたんだろう、、と抜け殻のようになる瞬間がある。その点、今日は虚しさを噛み締めながら、それでも働くことを選んで、自分の責任として引き受けて作業できた。人から指示を受けずに自分でやること、それと好きな人と話すのが何よりの癒しだね。のびのび働ける余裕があると、いつも忙殺されて「仕事なんて辞めてやる…!体もこんなに貧弱になってしまって、、」と泣きながら奮起するのとは違って、「惜しいな〜、、でも辞めてちゃんと勉強したいな、四六時中面白い人といたいもん!考えることが好きな人と話したいもん!」とフラットに欲が見えるようになる。友達とけらけら笑いながら、酔いつぶれたい。
 でも今日は楽しかったな。お昼にお喋り出来れば最高だったんだけどな、また話したいな。うむ、視座が高い人はこの会社にもいる。奇特な人。

4
 手紙は返ってこない。どこで何してんだよ、と毒付いてみるけれど、ポストにはちらしが入っているだけ。未練がましく待ってたのは俺だけだったのか〜と寂しく思った。映画のようなロマンチックな展開を期待しちゃってたんだな、あらら。もうそんなの吹き飛ばすくらい楽しむしかないっしょ〜と思いながらめそめそ泣いてもいる。やりたいことをやりたいようにやることでしか救われない気がしている。ねえティモン、どう思う?

5
 大阪で物理をやっていた友達、高校の時に好きだった人、中学からの知り合い、バレーサークルの同期、異様な雰囲気を醸していた先輩、、皆卒業して社会人になっていったり、新しい場所に身を移したりしている。社会人のつらさをわかって欲しいと思うのは、俺がつらかったんだから周りにもつらい思いをして欲しい、そうじゃないと自分が惨めで救われないから。ちげえだろ、たけうちよう!!!つらく思うのが社会人の当たり前であって欲しいと思うだなんて、あまりにも、あんまりだよ……やっぱり会社なんて辞めるべきだなあ、楽しくない時間が長過ぎた。もっとのびのび楽しんでいい、幸せになっていい。自分を大事に出来ずに、人のこと大事に出来る訳ないもん。違う違う、そうじゃ、そうじゃなくて、言いたかったことは、鮮烈を受けたってこと。皆羽ばたいていく。特にやまべさん。すごい人だ。俺なんて、こんな、こうしちゃいられない。頑張るとか頑張らないとかじゃなくて、生きようと思った。俺の人生をまっとうに生きようと思った、嘘をつかずに、自分に誠実な仕方で。

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 好きな人に話しかけに行って、つらさを一心に受けながら働いて、なるべく友達と会おう。早く帰って、早く寝よう。俺の場合、睡眠時間が足りないと死にたくなる。メールを送ったり、資金繰りを考えたりして、種を蒔いていよう。親の説得、だるいな…パワポでも用意していくか。憂鬱。
 蒔くっていいな。いい言葉の響きだ。オーストリア、待ってて。蒔いた種がジャックと豆の木みたいに巨大な蔓になって、俺を連れて行くから。

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建内 亮太
最後まで読んでくれてありがとう〜〜!