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労働日記|黒い九月
朝起きると途方もない憂鬱に襲われて、眩暈がする。仕事なんて、会社なんてやめてしまおうか、やめてしまえばいい。重い足で会社までペダルを漕ぐ。そもそも先輩の穴を俺が埋められる訳がない。一時間に一回はため息をついてしまうほど仕事が片付かない今日この頃である。
若手で集まって麻雀大会をするのを楽しみにしていた先輩とそこに新入社員の歓迎会をぶち込む先輩。ペアーズで友達を見つけた俺とその友達にいいねを送る先輩。この大変な時に他部署の方々が新しいシステムについて教えに来てくれることになった。ありがたいことだ。
先輩方は親戚と言ってよく、良い意味で閉じられた共同体のメンバー同士でもある。運命共同体であり、このメンバーでやっていくしかないという絡みつくような連帯がある。それは決して心地のいいものとは言えないけれど、この連帯に大事な場面で救われてきた。
*
燃え尽きた身体でぐったり家に帰ってくるとき、このために生きている、と思える。身体をすり減らし、魂を燃やしているような感覚。これを充実感と呼んでいる。生かされていることを感じる。癖のある強面ベテラン社員をいなし、やさしい若手の先輩に助けてもらいながら、取引先と何とか協力して仕事をこなしていく。この面倒くささ、しがらみが仕事に張り合いをもたらしている。このように感じるとき、会社員も悪くないと思ってしまう。
本当は、もっと血が踊るようなことで燃え尽きたいけれど。でも燃え尽きれる、という点ではこの仕事も同じだ。燃え尽きたいといつも願っている。この両肩からオオワシのような、ウイングガンダム・ゼロカスタムみたいなバサリと広がる翼が背中から生えてこないかなと思っている。翼でどこかへ飛んで行きたいと思っている。
(おわり)
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