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労働日記|朝の銭湯と夏の光
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風呂屋に行った。弘明寺温泉、みうら湯。夏の日差しが眩しくて、露天風呂が日焼けサロンと化している。石で作られた丸いお風呂の中で、体を伸ばしていた。胸から下をふと見た時に、湯に光が差し込んできらきらと反射していて、自分の身体のことを綺麗だと思った。朝の露天風呂という気持ちのいい空間で、デジタルは介在せず、直線的な強い光と透明な湯が奇妙なほど噛み合っていた。
示唆的だなと思った。別に卑下してる訳じゃないけど、こんな身体でも綺麗に見えるのかと思って。どんなものでも適切な光を当てれば綺麗に見えるんじゃないか、とすら思える。
例えば、会社で働くのは地獄のようだったけど、ウィーンに行けば溌剌と息を吹き返すのかもしれない。こういうことはきっと誰にでも当てはまる。もしくは、ある人を適切な光の下で見ることが出来たら、その人の綺麗さが垣間見えるのかもしれない。その人に合った光の空間というものがあるんだとしたら、そして、その空間の中でしか正しくその人を見れないとしたら、それはすごく面白い。
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仕事でも恋愛でも、向き合うってことは、たとえ目には見えない、今はわからないとしても、その仕事をもしくはその人の「綺麗さ」を信じてみることじゃないかなと思う。今光が当たっているかは別にして、「綺麗さ」があると信じてみること。仕事がもっと良くなるはずだと信じてみる。話が通じる人だと信じてみる。その人にもできるはずだと信じてみる。それって賭けだよね。だって、保証も担保もないもの。そうやって賭けることを「信じる」と呼んでいる。
ウィーンに行けることに、哲学で飯が食えることに、ヘンミさんやティモンとまた会えることを信じている。信じている、人生の綺麗さを。
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