【第44回読書会】『エレンディラ』vol.1
昨日は読書会を行いました。いやあ、楽しかったです。ご参加くださった8名のみなさん、ありがとうございました。
今回の課題本はガルシア・マルケス著『エレンディラ』です。選書を迷っていたら、参加者の方がおすすめしてくださいました。ただし、青空文庫とかにはないので、こちらの本をそれぞれ購入していただきました。
今日は初日ということで、今まで読んだガルシア・マルケスの作品の思い出などを語ってもらいました。ほとんど知らなかったという人から、大学時代のスペイン語学科の授業で読んだという人までさまざま。
そんななか最初に収録されている『大きな翼のある、ひどく年取った男』と3番目の『この世でいちばん美しい水死人』を音読しました。
『大きな翼のある、ひどく年取った男』
あらすじは、ペラーヨとエリセンダ夫婦のところに羽の生えたお年寄りが舞い降りてくるところから始まります。そして、この人は天使だということになります。天使というにはあまりに年をとしすぎていて、醜い男をみて、人は様々な反応を示します。天使は夫婦の生活を少しばかり変えてしまった挙句、最後には「天」に帰っていくというお話です。
どこか「かぐや姫」に似ていると思ったのはわたしだけでしょうか。
このような感想をいただいたように、まさに絵が浮かび上がってくるような描写でした。
その描写をするための語彙がまた、ぎっしりと短い短編小説に込められていて、ただ文字を追うのが楽しいと思えました。
「天使だらけの地獄」という表現がおもしろいと言ってくださった参加者の方もおられましたが、本当に言葉で遊んで、おもしろがっているような感覚が伝わってきてこちらも笑ってしまうのでした。
そしてさらに笑ってしまうのが、以下の作品です。
『この世でいちばん美しい水死人』
あらすじは、ある海沿いの村に水死体があがるところから始まります。その水死体は海藻などが付着していたのですが、それを取り除いてみると、なんとすごくものすごい美しい男性だったのです。村の女たちはうっとりとし、「エステーバン」と名付けて、立派なお葬式をあげます。のちに、その村は「エステーバン」の村として有名になったというお話です。
これは本当におもしろかったです。
というのも、この水死人があまりにも美しいので、村の女たちは夫がなんだかつまらない男にみえるという記述がありましたが、その気持ちはわからなくもないけど、夫と死人を比べるなんて、ちょっと夫がかわいそうという意見が出ました。
また、誰かが「エステーバン」と名付けるところも名シーンです。もちろん他の意見も出たのですが、最終的に「エステーバン」で落ち着くところも妙なリアルさがあります。
最後には、エステーバンの葬式が終わって数年後に村の沖に豪華客船が現れ、船のガイドは「あそこがこの世でいちばん美しい水死人のエステーバンの村ですよ」とお客に告げるシーンで終わっていて読後感もさわやかです。
読んだあと、参加者の皆さんがいろんな箇所を突っ込んでくれて、涙がでるほど笑ってしまいました。
一人での読書では味わえない面白さ
読書会史上、最高に笑ったと思います。多分、一人で読んでいてはわからなかったおもしろさが読書会で読むことでより味わえたと思います。
また、自分が親しんできた物語を知らない誰かが読んだ時、どんな感想を持つだろう?と思うし、それを聞くことができるのも読書会の醍醐味だなあと思いました。
次回は3月5日19時JSTからです!
主催者は20:00でぬけますが、次回は『失われた時の海』をやります。というわけで、早速ずれ込みが決定しましたが、まあいいか〜。
では、また!
サポートよろしくお願いいたします。 サポートいただけたら、大好きな映画をみて、 感想を書こうと思います。