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人とあうよりもひとりで考え事をするのほうが好きだ。そうやって比較できる環境があったこと、今となっては恵まれていたと思う。私はひとりでいる時間が限られていたからこそ、その時間が好きだったのだ。人と話すことも好きだけど、その時間があるからこそひとりでいるのが好きだったのだ。 夜になると不安になって、人と話したくなる。でも、スマホを開いても気軽に電話したり用もなくメッセージを送れるような友達はいないのだということに気付いて、またスマホを閉じる。大切な友達ほど、気軽にメッセージを送

    • 社会の一部

      大学に進学するのがあたりまえという風潮のある学校にいたから、教室に満ちていた「大学どうしよう」という思いの大抵は「高偏差値で社会的に評判のいい大学の中から、いかに自分が学びたい学問を見つけて、そこに向かってどう力を注いでいくのか」という問いであった。それは「そこに行く努力ができるのか」「そこにたどり着く頭のよさを兼ね備えているのか」という、常に「あなた自身は」という視点で語られていた。 「落ちたらどうしよう」という思いは常にあったが、それはただ単に「今までの私の努力が認めら

      • 弱さと自己PR

        自己PR と聞くだけで、つい「バイバイ、今日は用事があるんだ」って言って距離を置きたくなってしまう。だって、自己PRって自分のいいところとか強みとかを見つけ出して堂々と言わなくちゃいけないから。「自分でいいところがわからないのなら、他人はあなたのいいところなんてわからない」、こんなふうに言われたこともあった。ないものを一生懸命捻り出して、飾り立てる、虚しくて独りよがりな感じがしてしまう。 しかし、この前の大学の授業で「胡散臭いプレゼンをする」という課題の発表をした時に、教授

        • 「どうしても」のベースにあるもの

          何かに執着した瞬間、私は強烈に「自分」を感じる。身近なようで最も遠い存在。近すぎて、知った気になっている存在。正体不明の謎な存在。そんな「自分」から沸いてくる欲を追い求めている時、私はまわりの人たちを知らない間に遠ざけて、大切にしているはずの何かを失っている気がする。 高校生までは、欠けているものを埋めるために何かを得ようとしていた。でも、高校を卒業して、統一された評価基準のない場所で、形のない未来を前に、何かを得ようとすることは何かを失うこととイコールの関係にあるように感

          社会的距離と感情

          見せなくてはいけないものがあってお客さんに近づいた。隣に並んでスマホの画面を見せようとした。お客さんは、慌ててマスクをした口元を手でおさえて一歩下がった。そして言った。「離れて」と。冷静に考えれば、これはとても自然なことで、ある意味において正しい行動だ。なのに、なぜ私はこんなに「いやな」気持ちになったのだろう。 今、世の中では「社会的距離」という言葉が力を持っていて、コロナの感染拡大を防ぐために、人と人との距離を2メートルあけようということになっている。私にとって「距離」と

          社会的距離と感情

          マスクギャップから考えること

          ギャップ萌え、という言葉がある。冷たいと思っていた人が実は優しかったり、頼りないと思っていた人が助けてくれたり、普段とは違う一面を目撃した時に、「おぉ〜」ってなる現象。 このギャップ萌えに似た現象が、私のまわりで多く観測されたのは、「ニューノーマル」が始まった今年の夏だった。そしてそんな「ギャップ」というものを、なんだかなあと考え込んでしまった今年の秋の私の頭をここで整頓しておきたい。 このご時世、どこへいくにもマスクが必需品だ。「はじめまして」の挨拶もマスクのままで交わ

          マスクギャップから考えること

          がんばる理由になりたい

          「あの子がいるから」という感情の領域に私は属したい。恋人や親友のように「あなたと私」という唯一絶対の強いつながりが欲しいのではなくて、心の隅のふわふわぼんやりしている場所で寄り添っていたい。 誰かにとっての「あの子ががんばっているから自分もがんばれる」という存在になりたい。私がいるから、明日も仕事行こうと思えるとか、私ががんばっているから、ちょっと動いてみようとか。弱くなってしまった時に、私のことが脳にちらついて、背中を押すような存在に。些細なことでいいから、私の知らないと

          がんばる理由になりたい

          働いて感じたあれこれ

          初めてのアルバイト。暇だし社会勉強でもするか、と思って始めた。気づいたら楽しくなっていて、はじめて知ることも多くて、せっかくだから今感じていることを文章にして残しておこうと思った。 自覚ある迷子になる「何かわからないことない?」バイトを始めたばかりの頃、こう聞かれることが多かった。でも、私はなにも答えられなかった。だって、なにがわからないのかが全くわからなかったから。そして、何がわからないのかがわからない、ということにすら気づいていなかったから。法律も知らず地図も持たず、見

          働いて感じたあれこれ