古いもの。
私は、古いものが好きです。
若いころは、中古には興味が無く、安い物には目がなく…。
しかし、時代を経ていつの間にか古いものに
安らぎを感じるようになりました。
家具も年代物の中古を買ったりします。
他人が使ったものなんて…と昔は思っていましたが、
昭和の初期以前に作られた家具は、
とても耐久性があり、そしてとても細密に作られています。
現代でも残存している家具は、持ち主に大切に使われていた証拠です。
時には、鍵が無くなっていたり、表面の塗装が剥げていたり
引き出しの底に子供が描いた落書きがあったりするのですが、
以前はこんな人がこんな風に使っていたのかな…
と想像するのも面白いのです。
そして私は、次はこんな感じで、後50年よろしくね!と。
人の手から、人の手へ。
それは形のある物だけじゃなく、伝統の技にも言えました。
以前、左官職人として働いていた話をさせていただいたのですが、
左官という職業は、機械化不可能と言われています。
歴史は古く、飛鳥時代には左官という職業が確立していたそうです。
古来からの技術は基本的に今も変わらず受け継いでいます。
「口頭伝承」という言葉を聞いた事があるでしょうか。
壁を塗る技は、人の感覚によるものが大きく、
文書として残すのは難しく、経験によって補うか、
師匠からの口づたえで弟子に受け継がれていきます。
それを口頭伝承というのですが、弟子はまたその弟子に…
と長い時代を伝わってきた古い職業と言えます。
長く在り続けるという事はとても難しく、
私の憧れでもあります。
長い時間に色々な物語があり、今の背景を知ると
古いものが魅力的に映ります。
もちろん、新しい変化、新しいものもとても魅力的です。
新しいものを生活に取り入れる時は、
長く使えるものか、それだけの背景があって自分が心躍るものかを
吟味するようにしています。
古いものも、新しいものも。
それをあわよくば次の世代に、大切に使ってもらえるように…。
最後まで読んでくださって、ありがとう。感謝。