ストーリー・セラー

有川浩「ストーリー・セラー」

ネタバレなしです。

あらすじ

妻は複雑な考えをすればするほど自身の命を削ることになる「致死性脳劣化症」と言う奇病に罹る。
生きたければ小説家という仕事を辞めなければならない。
夫は「どんなひどいことになっても俺がいる。だから家に帰ろう」
妻は小説を書かないという選択を取ることができるのか。

残酷な運命を背負うことになった夫婦のお話。

概要

物語はSide:A、Side:Bの2つの話から構成されています。

この2つの話は彼女(妻)は書く側=小説家、彼(夫)は読む側=読者と言う設定は変わりません。

感想

読む手を止めてしまうのが惜しい。

10年前、当時中学生だった私に初めてそう思わせた作品でした。
久しぶりに読み返してみてページをめくる手の感覚が再び味わえただけで、読み返した価値はあったと思います。
変わらずにこの作品が面白かったことと、自分がまたこの作品を面白いと思えたことがとにかく嬉しかったです。

最近だとこう言った期限付きの恋、余命ものなどの切ない恋愛話は多くありますが、そのなかでも個人的にはこれが群を抜いて面白かったと言いたいです!

小説家が書く小説家の話。

作者がどういう思いで書いているのか、どんな熱意があるのか、どう向き合っているのかなどが垣間見える気がして、読む側の人間としては「こういう景色が見えているのか」としみじみ想像してしまいました。

現実と非現実の曖昧さがうまく混ざり合った作品で、きっと読み終わったあとこう言いたくなります。

「この話、どこまで本当なんですか?」と。

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