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7/2(土)「檻の中のライオンinわかやま」感想レポ

「『おりライ』の楾(はんどう)先生を和歌山に呼びました。ぜひ大学生にも宣伝してください!」

知り合いから連絡を受けたのは、二か月前のことだった。

私と「檻の中のライオン」との出会いは、2019年の冬だった。
そのころの私は社会問題について学び始めたばかりで、右も左もよく分からないまま、先輩に勧められて「おりライ」の講演会を見に行った。
そこで怒涛の勢いで憲法を解説する、楾先生のマシンガントークに圧倒された。それが出会いだった。

檻の中のライオン』とは、権力者をライオン、檻を憲法に例え、檻(=憲法)がどのように、どんな理念でライオン(=権力者)を縛っているかを解説した本だ。

もう結構売れている本なので、中身について私が話すことは特にない。
……ないんだけれど、「会場にやって来る人よりも、会場に来ない人に知ってほしい(By楾先生)」とのことだったので、こうしてレポを書いている次第である。本当にその通りで、会場に来る奴は大体すでに憲法のことをよく学んでいる、という矛盾が各所で起きている(笑)。



さて、戦後この国の政治と言えば、日本国憲法の上で衝突するのが(一応革新も保守も関係なく)ルールだった。
しかし今、特にここ10年ほどで、日本政治において「場外乱闘」状態が続いている。つまり、日本国憲法という土俵の上で政治をする(それが嫌なら先に憲法を変える)必要があるところを、完全に土俵の外で、憲法違反しながら政治する事態が起きているのだ。楾先生の関心もおそらくそこにあるのだろう。

日本国憲法は、「改憲V.S.護憲」のイデオロギーの対立として語られることが多い。改憲したいと言えば「お前は右翼か、自民党か」と言われ、憲法は守るべきだと言えば「お前は左翼か、共産党か」という話になる。そんなわけで、最近ではもう憲法の話を持ち出しただけで「こいつは偏っているに違いない」ということになってしまう。

が、ここで楾先生の意見を聞いてほしい。
質問タイムで、私はこんなことを先生に聞いてみたのだ。

「最近ロシアのウクライナ侵攻があってから、9条ばかり取りざたされています。でも自民党の改憲草案は、むしろそれ以外でもヤバいところがあると思うんです。憲法が個人の幸せを守るためにあるとすれば、楾先生は何が一番『こりゃヤバいな』と思いますか?」

楾先生は「緊急事態条項ですかね。立憲民主主義を一時的にやめよう、って話ですから」と答えてくれた。でもそのあとで、こんなことをおっしゃった。
「でも改憲しようとか改憲やめろとか、今もうそれ以前の問題で、ライオンさんが完全に檻から出てその辺ウロウロしちゃってますからね。要求されているのに臨時国会を開かずに夏休み(53条違反)とか、国会開かないくせに予備費で予算勝手に決める(83条・86条の例外である87条を無理やり適用)とか、大臣の『お答えを差し控えます』(63条違反)とか。そもそも国会議員が国会しないで何の仕事してんですか?」
楾先生は、前に並べた本を指さして言う。

現政権の憲法違反だけで本が1冊できちゃいました

そんな現政権の憲法違反を色とりどりそろえた本、『檻を壊すライオン』。私もその場で購入させていただいた。
定められたルール、それも「私たち一人ひとりを守るために作られた」ルールを、変えずに破って暴走する人たちに、私たちは政治を任せていていいのだろうか。
「いやいや、せめてルールは守らないと投票しませんよ!」
と意思表明することが大事なんじゃないか。

参院選、投票日が近づいている。
ややこしい話だからと避けないで、憲法の話をしたいものだ。


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