なつのおもいで
さて、いきなりだが爆弾を投下する
私は先生に水着を盗まれたことがある
私が1番意味がわからないと思っている
最後にその水着を着たのは
高校1年生の補習だった
プールの授業をひとつ休む度
25mずつ加算されていく仕組みになっていて
休んだ回数×25mを
放課後の補習に泳ぎ
それで今年度のプールは終わりとなる
私は友人とその補習に参加し
ダラダラと話しながら歩いてその距離を消費した
かなり話が盛り上がってしまい
私の友人は最後の生徒になった
更衣室で制服に着替える
担当の先生の所へ行き
終わったことを伝え
荷物を持って帰宅した
するとその夜
ちょっと!水着無いんだけど!
忘れてきたんじゃないの!?
買わなきゃいけなくなるんだから探してきて!
と母に言われた
指定の水着は上下がわかれており
下だけがなかった
荷物をチラ見した時に
上の水着が見えたため
確認せずに帰ってきてしまったので
私も忘れてきたのだろうと思い
後日探しに行ったが見つかることはなかった
来年水着を買わなければ
また母に嫌味を言われるだろうと憂鬱だった
その年の3月11日
東日本大震災に伴う
原発事故の影響により
私の通う高校では
プールの授業は廃止となった
そのため
水着の事などすっかり忘れ
高校生活を満喫していた
卒業の時
私はお世話になった先生に手紙を書いていた
手紙を渡しに職員室に行くと
とある先生がいない事に気づく
他の先生に聞くと
最近休職したらしい
手紙を書いた旨を伝えると
その先生が仲介してくれて
住所を教えてもらった
手紙を出し
返事が来た
その先生は
1年生の時に体育を教えてくれていた先生だ
非常に気さくで
廊下で会えば必ず話した
私のことを友達が呼ぶのと同じ愛称で呼んでくれて
いつも笑顔で大好きな先生だった
先生からの手紙にはLINEのIDが書いてあり
すぐにLINEを送った
先生が休職している理由は
うつ病だった
私の中にある先生の印象からは
とても想像できなかったが
震災以降、生徒たちをこの状況からどう救うか
今までしてきた指導や関わり方ではいけないと
思い詰めての結果だったらしい
そんな連絡を取る中で
先生のメンタルが不安定なのが文面からも読み取れるようになった
突然薬の写真を送ってきたり
まあ要はメンヘラである
これはいかん
と私の本能が叫ぶ
その先生は結婚しており娘もいる
年齢はアラフォーである
あ、なんか
キショいかも
気づいた時には遅かった
嫁も娘も分かってくれないのに
君は分かってくれるんだね☺️
好きになってしまいます
水着をとったのは僕です
ちょっと待て
流石に私の中の相席食堂が騒ぐ
なんでだよと
結論を言えば
それ以降先生の連絡に返信することはなく
地元から離れた大学に進学することになっていたので
家族にもこのことは伝えず
なかったことにした
変わったことといえば
高校生の私にとって
親の次に身近な存在である大人は学校の先生であり
その先生にまさか自分がそういう対象として見られていたことがショックであると同時に
初めて大人に裏切られたという経験は
私をさらにドライな人間に成長させた
その先生は
未だに高校の教師をしているらしいが
どうか
その先生をニュースで見るようなことにならないよう祈っている
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