【ネタバレ感想】木原音瀬・ラブセメタリーから紐解く、多様性社会の危うさ

　先日ふとこの作品を数年ぶりに読み直そうと思ったのは、ひとえに懐かしいという気持ちからで、幼き頃の自分の写真を眺める気持ちと似ていた。 　しかし結果は、（何かにつけて意味づけを求めていた）あの頃の自分に見事に引きずり戻され、現在も当時と同様に手に負えなくなった思考の行き場を求めることになり、今パソコンの画面と対峙している。 　この作品は、行き場を無くした愛が朽ち果てる様、朽ち果てたその姿を描くと同時に、現代社会が謳う「多様性」の危うさ、それらに対するアンチテーゼを語ってい