小包をおくるためにハワイへ行った
12月に会社の仲間とハワイに行った。
ハワイでいちばん楽しかったのは、一緒に旅行に行ったみんなと離れて、ひとり地元の郵便局へ出かけたことだ。
ハワイへ旅行に行く少し前に、ドイツに住んでいる友人からサプライズでクリスマスプレゼントを送ってもらったので、お返しにハワイからサプライズプレゼントを贈ることにしたのだ。
みんながオリジナルサンダルを作っているあいだに、ハワイで買ったタオルやパンケーキの粉を詰めたプレゼントボックスを手にいそいそと地元の郵便局へ出かけた。
ホテルのメールセンターでは国際便を受け付けていないということだったので、最寄りの郵便局を教えてもらって、ハワイでのはじめてのおつかいとなったのだ。
季節は12月のクリスマスシーズン。それなのにさんさんと太陽がふりそそいでいる。クリスマスプレゼントを手にサングラスをかけて歩いているのが不思議な気分だった。
何度か地元の人に道を尋ねながら郵便局にたどり着くと、5人ほど先客が並んでいた。
そこは、小さなオフィスビルの中二階にあって、廊下に受付用の小さな出窓がひとつあるだけの郵便局だった。
出窓にはぐるりと緑の針葉樹の葉がまきつけられていて、ところどころに松ぼっくりやオーナメントが飾り付けられていた。窓の中には白髪のおじさんがひとり、たんたんとお客さんの列を相手にしていた。
まるでサンタの出張所みたいなちいさなちいさな郵便局に並んで地元の人のおしゃべりを聞いていると、ハワイに住んでいるような気持ちになった。
わたしの持ち物は、小包とサイフとケイタイだけ。ガイドブックも冷房対策用の上着もスコール用の雨傘も、旅行グッズはぜんぶホテルに置いてきた。
しかも行き先は郵便局。パンケーキを食べに行くわけでも、インスタ映えスポットに行くわけでもない。自由だ。
みんなで行く旅行が不自由なわけじゃないの。とっても楽しいんだけど、たったひとりで心のそこからやりたいと思っていたことをやれたとき、わたしはとても自由を感じる。
そういえば、ハワイに行く前からハワイからドイツの友人に贈り物をするのをいちばん楽しみにしていたのだ。
旅の終わりに、今回の旅行に連れていってくれたマネージャーに「どこがいちばん楽しかった?」と聞かれて郵便局と答えたらガッカリしたようなツッコミたいような複雑な表情をしていた。
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