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やっぱり初日にパリ協定離脱、でもそこには一理もある

いよいよ始まった、アメリカの第2次トランプ政権。大統領就任早々から40本を超える大統領令に署名し、初日からトランプカラー全開です。おそらく本人が打ち出したかったのは、前バイデン政権との決別でしょう。アメリカ・ファーストを常に公言しているトランプ大統領ですが、初日にやったことを見ていると前政権と俺は違うんだ、ということをアピールしたかったのだと思えました。そのことは、大統領令への署名をホワイトハウスの執務室ではなく支持者の前で行った点を見ても明らかです。

さて、ここからが本題です。トランプ大統領が署名した大統領令の中には、予想通りパリ協定からの離脱が含まれていました。これは第1次トランプ政権の時にも行ったことでしたが、次のバイデン政権がパリ協定への復帰をしたので、そこから再び離脱した形です。選挙運動中からそのことに言及していたので、就任早々に公約を果たしたということになります。

その他にもLGBTを含む社会的マイノリティの多様性・公平性・包括性を認めるプログラムであるDEIを終了する大統領令、WHO(世界保健機関)からの脱退を指示する大統領令にも署名しています。どれもトランプらしいなぁと感じるものばかりで、私個人として意外ではありませんでした。

環境保護に資する再生可能エネルギーの普及を目指すのは和上ホールディングスの主力事業なので、トランプがパリ協定から離脱するのはけしからんとなるべきところかもしれませんが、私はトランプ大統領の言い分にも一理があると思っています。

パリ協定は京都議定書の後継となる協定で、世界的な環境保護や気象変動阻止を目指す枠組みです。理念は崇高ですが、京都議定書から始まってパリ協定に至るまで、どんな成果があったのかというとかなり疑問符が付くからです。かつて、ヨーロッパは脱原発を掲げて「原発を使っている国は環境を破壊している」と非難していました。旧ソ連でチェルノブイリ原発事故があったことが理由のひとつだと思いますが、日本でも原発事故が起きると、その矛先は日本にも向けられました。

しかし、どうでしょう。ロシアによるウクライナ侵略によってロシアからのエネルギー供給が難しくなると、エネルギー確保に困ったEUは「原子力はグリーンエネルギー」と言い出したのです。あれだけ日本を非難しておいて、よく言えたもんだと思います。EUが言うように、原子力は発電時に二酸化炭素を排出しないので、地球温暖化を食い止める効果は期待できます。しかし、事故が起きた時にとんでもない環境破壊が起きることが問題だと言われてきたわけです。
とはいえ、今や原発は世界各国で起きた事故を教訓に、最高レベルにまで安全性が高められています。このことは、何度も起きた悲惨な航空機事故の教訓を得ながら飛行機の安全性が高められてきたのと同じです。完全なゼロリスクというのは不可能なので、少しでもリスクを低くしてメリットを最大化しようとする考え方です。EUは困ったら途端に手のひらを返してエネルギー確保に走ったというわけですが、これがまかり通るのであれば、トランプ大統領の言い分も通ることになると思います。

トランプ大統領は、就任演説で「化石燃料を、掘って、掘って、掘りまくる」と吠えました。多少表現が過激なのは、過度な主張をするリベラル勢力への嫌味もあったのでしょう。彼の言い分は、化石燃料が地球を温暖化させている科学的根拠がないから、というものです。EV(電気自動車)の推進政策をやめようとしているのも、EVを走らせるための電力を作るためには原発や火力発電所が必要だから意味がないじゃないか、というわけです。トンチンカンに見える主張だとマスコミはそんなところばかりを切り取って報道していますが、実はトランプ大統領の主張には一定の根拠や言い分があります。

もちろん、環境保護のための国際的枠組みはきわめて重要です。パリ協定が機能していないというのはトランプ大統領の言うとおりだと思いますが、だからといって国際的に何もしなくてよいわけではありません。トランプ大統領も、意義がある取り組みであってアメリカに利益があるのであれば、話に乗ってくるはずです。
ただ「環境にいいことだから言うことを聞け!」というだけでは人を説得できませんし、それだときれいごとを言っているだけで効果もないでしょう。 環境ビジネスは、環境保護に資することをするほどお金が儲かるビジネスモデルです。そうでなければベンチャー企業などが参入してくることはないですし、和上ホールディングスも会社を存続できなかったことでしょう。環境保護とビジネス的なメリット。この2つが両立する仕組みを確立してはじめて、地球環境保護は力強く前進するのです。トランプ大統領のメッセージには、私が以前から思っていることと似ている部分が多いと感じています。世界がそのメッセージを正確に受け取ってくれたらいいなと思いました。

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