【創作】「リュウと空人」を書き終えて
私のファンタジー作品群のひとつとして執筆を続けていた「リュウと空人」が完結しましたので、振り返ってみました。
この作品は、翼を持ち、空を自由に駆る空人が主人公の物語「空と風と、愛の詩」の第一部です。
本記事では物語の中身にがっつり触れますので、もしよければ先に本編をお読みいただけると幸いです。
また、作品群「Elements World」については自己紹介を兼ねた記事にまとめていますので、こちらもよければご覧ください。
空人とリズナについて
空人は、本作の舞台となっているヨダ大陸では特殊な存在で、背中に生えた翼によって空を飛ぶことが出来ます。
その美しい外見とは裏腹に、熱い闘志を持った武骨な一族で、直情的で頑固な立ち振る舞いによって、同じ空を活動の場とするリュウと正面衝突することに…。
彼らは自らの命よりも一族の尊厳を守ることを優先します。
そんな空人の生き方に疑問を感じつつも、流れに身を委ねることしかできずに苦悩する首長の娘リズナ。彼女の心情や行動を中心に物語は進行します。
私の作品は、こうした女性中心の展開が多くなると思います。
それは、「圧倒的強者である主人公」が力で他を制す、という展開をあまり好んでいないのもありますし、芯の強さを持った女性が好きというのもあります。
力はあくまで手段の一つとして考え、少し脇によけてもらって、そうではない面、思い悩み決断したり、覚悟を決めて行動したり、といった描写をうまく主軸にできればいいなと考えています。
そういう意味で、リズナは典型的な私好みのキャラですね。
中立を貫く美の神
美の神アステラは、空人の暮らす湖畔に居を構えていますので、空人にとって非常に身近な存在です。
神とはいえ、大きな支配力があるかというとそうではありません。
むしろ、彼女は一歩も二歩も引いた存在で、空人たちの自治に対して意見することもほぼなく、彼らの意思を尊重しています。
立場的には原則中立で、特定の種族に肩入れすることはありません。とはいえ、間違いなくアステラは空人を愛しています。
大陸の住人に芸術を伝え普及させるのが彼女の責務ですが、その対象が空人中心になっているのは明白な事実。
故に、空人がリュウとの戦いで命を落とすことには非常に心を痛めています。現実問題として彼女が出来ることがほぼないというのも背景としてはありますね。
個人的には、アステラは尊さと危うさの象徴と位置付けています。
他二人の上級神とは違い、彼女はこれという自衛手段も持ち合わせていません。これは自他ともに認めるところで、実際に作中でリズナはアステラの身を案じ、避難を進言しています。
ただ、なかなかそれを受け入れないところに彼女の強い意思を感じますね。
今後も一貫して、アステラは危うい存在になると思います。
リュウという存在
ファンタジー作品にとって、ドラゴンというのは特別な存在だと思います。
多くの作品に登場し、ほとんどの場合、最強の生物としての地位を確立しています。
その圧倒的な存在感は他を圧倒するものでしょう。
本作でもその例に漏れず、「リュウ」として、ドラゴンを登場させています。
ただちょっと面白い点として、彼らが元々はこの世界の住人ではなかった、という設定をつけました。
これにより、異世界の存在を明示しているわけですが、作品全体を通してこの設定が非常に重要になってきます。
自分の中ではドラゴンには孤高のイメージがあります。
個体が巨大なのもありますが、あまり群れで暮らす生き物ではないのかも…?と思いつつ、今作では集団で暮らす設定にしました。
神話の世界などでは悪として扱われることも多いドラゴンですが、単純に悪としてしまうのは嫌で、苦しい境遇を背負って思い悩む姿を描きました。
もう、ドラゴンらしいドラゴンとしてリュウが活躍する場はないかもしれませんが、サマナドラについてはこのあとも重要な存在となります。
第二部について
第二部についてはすでに構想は固まっていますが、公開はかなり先になると思います。
時系列的には第一部から少し経過はするものの、旧暦と呼ばれる少し古い時代の出来事となります。基本的には登場人物もそのままです。
本作品群は、全体の構想に沿う形で少しずつエピソードを付け足しながら物語の全体像を明らかにしていくスタイルで進めていますが、そんな中でも空人の一連のストーリーはかなり初期段階でイメージが出来上がっていました。それくらい、空人は、個人的に思い入れのある、この世界観を代表する種族です。
空を自由に飛びたい、という夢は、誰しも一度は抱いたことがあるのではないでしょうか?それを間接的に実現できる空人は、私にとっても、書いていて楽しい存在ですね。
本作には「空と風と、愛の詩」というタイトルがついていますが、第二部では「愛の詩」という部分がより強調されることになると思います。
楽しみながら書くことを意識して頑張ります。