エッセイ 強盗とヘビ
ドキュメンタリー映像で、キングコブラの生態を学んでいた。
夫婦になったばかりのキングコブラの縄張りを荒らして、夫を追っ払った強盗が、妻に迫り寄る。
ところが妻は既に妊娠しており、冷たくこれを拒否する。
それでもしつこくつきまとっていた強盗が、なんと一転、こともあろうにこの妻を殺害したのである。
一件、強盗殺人である。
ところが、キングコブラの主食はヘビである。
強盗は、本能で、後先考えずに、そのメスを頭から食べるのだが、妊娠しているメスは太すぎて食べきれない。
強盗は、進退極まり、また時間をかけて全部吐き出し、遺体をその場に遺棄したまま立ち去るのであった。
心底、性根が腐った悪い奴としか言いようがない。
さて憤慨していた私は、そのあとのCMでもっと憤慨した。
実はこのCM、バックでスタジオ見学のおばさんとかをイメージした「え〜」とか「お〜っ」とかの声が効果音として流れるのだが、「奥様は魔女」のような、グッドタイミングではなく、微妙にタイミングがずれているのである。
わざとそうしているのか?
もしもそうなら、やらせがあまりにいやらしい。
どうせ安のの制作会社を使ったのであろうが、視聴者をバカにしすぎである。
普段はそこまで憤慨しない。
これももちろん、悪いヘビのせいである。
アダムとイブのエピソードを思いだし、なんとなく、聖書の記述を、見直したのであった。