エッセイ ゆとり世代
財布に久しぶりにお金が入ったので、気分がリッチになった。
普通 お金が入ったというと、予期せず儲かった。外貨が稼げた、となるのだろうが、私の場合は違う。
「えさきクリニック」に血圧の薬をもらいに行き、薬局で1万円札を崩したので、そのお釣りがガッポリと、財布に入っただけのことである。
でも、財布が分厚く、そして少し重たくなると、それだけでも、正直者の私のテンションは、嫌でもあがるのだ。
こんな時に不意に知人に会うときっと、
「なにか良いことがあったんですか?」
と、聞かれるに違いない。
それで、クレジットカードが使えないが、一部の商品が激安の、行きつけのディスカウント ドラッグストア で、普段はなんとなく買い控えている食材を、バブル気分で大人買いした。
焼きそば麺 15円、もやし19円、の店である。いつもは多くても、500円くらいしか使わない。
今回の買物で最大の贅沢は、クレージーソルト 498円と、無糖ブルーベリージャム、278円である。普段は買わない食品だ。
あとは定番の消耗品や常備品、非常食でもある、冷凍ミンチや王将の冷凍餃子も。これは水なし蓋なしで焼ける超優れもの。
青い買い物カゴ満載……いつもは数百円しか使わないので、"ドヤ顔"で、ドーンとレジに置いたのだった。
合計、2,949円。
この店でこんなに使ったのは初めてだった。
出来れば少しでも小銭を処理したい。
そこで、5千円札に、まず 5円玉と1円玉を4枚たして出し、10円玉4枚がなかったので、10円玉1枚を追加した。
すると店員が、
「えっ? この10円は何ですか?」
「ちょっとでも小銭を財布から減らしたいねん」
「えっ? えっ? 多いですよ」
そこで私が、
「とりあえず、その機械(レジについてる自動収納計算マシーン)に、入れてみたら?」
半信半疑のまま、店員が機械にガシャガシャと入れると、液晶画面にお釣りが、2,070円と表示された。
「すごい! ミラクルです」とビックリしてるので、
「あと30円あったらもっと美しかったのになあ」
「えっ? どうなるんですか?」
「そしたら、お釣りが、2,100円ちょうどやったんや」
「すごい、初めて知りました。そんな払い方」
そこで気がついた私が、
「じぶん(関西弁であなた)、算数苦手やったやろ?」
「はい、理科も苦手でした」
「社会は?」
「社会は一番嫌いな科目でした」
「ワシは社会とはいまだに、相性が悪いからな、お互い、頑張って生きていこな」
「ハイ!」 おしまい