ロス疑惑の因縁
いわゆる「ロス疑惑」は、1984年に『週刊文春』をはじめとするマスコミにより、
『保険金目当ての殺人であり、三浦はその黒幕である』との報道がなされたことから全国的に異様に盛り上がった劇場型事件です。
その後被疑者であった三浦氏は殺人においては無罪判決を勝ち取ったものの、この事件でおよそ13年も拘置所や刑務所に身柄をとられたのでした。
そして出所後、まさかと思われた事件が起きました。
2008年にサイパンで、アメリカ捜査当局に殺人罪とその共謀罪容疑で逮捕されたのです。
そしてロスアンゼルスに移送後、留置所で自殺(他殺説あり)し、61歳のうさんくさい生涯を終えました。
もちろん私は、自殺を信じていないのですが……。
彼がシロかクロか? 無実だったのか? ホントはやっぱりやっていたのか?
それは神のみぞ知ることになってしまいましたが、私にとっては、この事件に関連した"より衝撃的な事実"の方が、いまだに記憶にへばりついているのです。
それは1984年……民間人に対して過剰にプライバシーをあばく取材が平気で横行していた頃……当時の週刊誌に掲載された三浦和義氏のプライベート写真を撮影したカメラマンが、なんとその8年後の1992年3月に起きた、史上まれなる残虐極まりない「市川一家4人殺人事件」の被害者となり殺害されたことです。
事件カメラマンがさらにひどい事件に巻きこまれる……なんたる因縁でしょうか?
ちなみに家族4人を皆殺しにした犯人は当時未成年で、それ故に、少年法の極刑に関して誤った認識を持ち、刑事裁判自体もなめてかかっていたのですが、その無反省さも影響し、見事に死刑が言い渡され、その後死刑が確定しました。
未成年者としての死刑判決は、かの永山則夫以来だったのですから、まさに無知ほど恐ろしいものはなく、結果は大当たりだったといえます。
2015年の時点で東京拘置所に収監されており、再審請求中ですが、前科や反省のなさを理由に九分九厘死刑はくつがえらないと私は思っています。
重大な事件や人間の巡り合わせというものは、お化けや幽霊よりもずっと恐ろしいと、ふと思うのです。
それがきっと死霊と生霊の差で、そう考えると人生の意義はまんざら少なくはない気もするから不思議です。
何しろ、あっちの世界よりもこっちの世界の方が、力がある可能性も捨てきれないのですからね。