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去り難き人生
古い洋画を観ると、羨ましくて仕方がないほどの素敵な人物が、素晴らしい時間に存在しています。
でも、多くの俳優も監督も、すでに亡くなっています。
「人生とは、去り難きもの」
たしかにそのとおりだと思います。
それほど、魅力的で素晴らしい。
星野仙一さんも亡くなりました。
たいがい、普通では味わえないダイナミックに美味しい人生を送ったはずです。
お金に支配されず、一緒に戦った常に信頼できる人間がまわりに絡む人生は、何ものにも替えることができない宝です。
それは、経済界……たとえばトヨタの社長程度では到達できない異次元なのです。
これまた、星野さんが羨ましくて仕方がありません。
でも、星野さんが野球一筋……野球のことだけを考えていた膨大な時間に、私は、本を読みペンを持ち、映画を見て音楽を聴き、歌詞を書いて、人と語らい、あとは1人深く深く、自分だけの湖底をさまよっていました。
その間に、関学の同級生はみんな偉くなり。いっしょに音楽をしていた友人らも、その多くが大物になりました。
もちろん、勝ち負けの問題ではありません。
それにまだ完全には終わっていません。
兵庫県の尼崎の下町に生まれ、風光明媚な甲山の麓で恵まれた教育を受けた久保研二が、今、本州の西端に根を張っています。
それは、魂の声が山口を求めたからです。
岡山でも北海道でも沖縄でも鹿児島でも東京でもホーチミンでもニューヨークでもなく、山口を求めたからです。その選択に妥協はありませんでした。
蓮舫なら2番に甘んじるでしょうが、私は、自らの欲望に対する選択は1番でなければ我慢ならない性格なのです。
わからない人には決してわからないでしょうが、私は、知っています。
ただ、ほとんどの人類が私を羨ましく思わない事実も、よ〜く理解をしています。
つまり私にとって、事実なんてものたいした意味を持たないのです。
はっきりしていること。
それは、人生は去り難きものだという、今のこの実感だけなのです。