おおらかな時代
本格的な連続テレビアニメ番組が始まったのは「鉄腕アトム」が最初で、1963年の元旦スタートでした。
つまり久保研二が2歳半。
ということは、ちょうど"もの心"がついた時期に、日本人で最初にテレビアニメを享受し、創造的未来世界やSF的情緒に夢中になったのは、まさに私の世代だといえます。
文化人類学的に日本史をふりかえれば、昭和35年生まれの私は、モロに新人類と呼ばれるはずです。
その年の秋には「鉄人28 号」「狼少年ケン」「エイトマン」。
さらに翌年、「ゼロ戦はやと」「少年忍者 風のフジ丸」「ビッグX」と、立て続けに、テレビアニメがお茶の間に供給されました。
純真無垢な子供たちがそこから受けた影響は、清濁ごっちゃまぜで、とにかくはかりしれません。
そんな中、実はこっそり大人向けのアニメが放送されたことは、あまり後世の人には知られていません。
もしかすれば大人が隠したい黒い歴史なのかもしれませんが……。
「鉄腕アトム」のわずか3ヶ月あと。
それは小島功の原作を基に映像化された日本最古の大人向け深夜アニメ作品で、まさに日本漫画史上にひときわ異彩を放つ激レアアニメだったのです。
内容はなんと、まるで後年の久保研二を予言したような、「仙人たちの日常」を描いたお色気とギャグ満載の怪しいアニメ。
小島功 といえば、流麗で艶やかな美人画の第一人者で、カッパ黄桜のCMでも著名な漫画家です。
とにかくタイトルが凄い!
【仙人部落】といいます。
昔むかしの中国が舞台で、山奥にある萩の佐々並のような、仙人たちが住む桃源郷のおはなし。
そこのリーダーが、すべての仙術を究めた老子。
その若い弟子の一人が、3人の乙女仙人や年増仙人と「色恋沙汰」を繰り広げ、やがて師匠である老子をも巻き込んで大騒動に発展してしまうのですからおだやかではありません。
昔はおおらかでしたね。
世の中すべて、みんな人間の枠が今より何倍も大きかったような気がします。
テレビで普通にオッパイポロンと、出していましたから……。
もちろん、おおらかさの枠を縮めることが、それまでないがしろにされてきた様々な「人権問題」の改善につながった面は多々あります。それが世の中の流れだったのだとも思います。
いずれにせよ、専門に研究をしている社会学者でもない私がえらそうなことは言えませんから……私は私で、いろんな思いを抱きながら自己完結して、あと10 年か20 年か30 年か1年か知らんけど……大いに笑い楽しみ、マイペースでテキトーに天寿を自己消化していきたいと思います。
今後不幸にして私と関わりを持たざるをえない方々、そこんとこ、ヨロシク。