仕事
私の仕事の多くは、思考です。
他の人が見たら、さぼっているようにしか見えません。
そうです。昔から下手な考え休みに似たり と、申します。
原稿の内容や、作詞や、講演の筋書きや、ラジオのネタや、ギャグや…えっとせっとら……。
場合によれば、社会主義でも共産主義でもない、次世代の経済主義や、地球規模の平和の夢想にふけります。
人生とは何か? 人間はどこから来てどこに行くのか? 魂が震えている時は脳みそは居眠りしてるのか?
とにかくいろんなことを頭の中で考えるのです。
時には、湯船につかりながら。
時には、食事中、沢庵をかじりながら。
時には、藤山寛美の丁稚みたいに口を開けたまま……。
父親がデイサービスに行っている間が、思考を深める最大のチャンスです。
デイサービスから戻ってくるなりテレビのスイッチがはいり、くだらないバラエティー番組が、大きな音で流れます。
最悪のケースは、さんまの声が聞こえる時です。
秋刀魚は大好物ですが、明石家さんまと上田正樹には強烈なアレルギーがあります。ほんまに蕁麻疹が出るのです。
テレビが鳴り出すと、思考が止まるどころか逆行しだすので、大慌てで布団に潜って夕食の支度をする時間になるまで、ひたすら我慢して寝ます。
こんなことが精神衛生国際学会上、身体にいいわけがありません。
夕食後も、父は一晩中アホなテレビを見ます。
父が実際に見てるのか、寝てるのか、ボケてるのか、仮死状態なのか、それはわかりません。興味もありません。
この時ばかりは、永遠の眠りについて欲しいと、心底思います。
隣接する音楽堂に逃げると言う手が、あるにはあるのですが、この時期はどうしても、寝床の直近で仕事をしたくなるのが人情なのです。
人類に残された、貴重な帰巣本能の名残に違いありません。
ここ数日、ほんまに寒いです。
雪もしんしんと降り積もります。
けれども、それでも、京都に住んでいたときの寒さに比べたらマシです。
20歳の頃、白川通りの「なか卯」の牛丼と、はいからうどんが何故あんなにおいしかったのか、今からはどうしても想像できません。
きっと私の舌は35年の歳月を経てそれなりに成長したに違いありません。
それにしても、寒いわ〜。
布団から出した手がかじかんで、ノートに字がかけません。
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