![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/36633545/rectangle_large_type_2_4fd52fc0f3b9d7d6da6d522eb169db45.png?width=1200)
筒美京平を偲ぶ 東京ららばい
筒美京平を偲んで、彼が作曲した曲をいくつかとりあげてみたいと思います。
もちろん、私が口出しをするのは、原則
、歌詞が中心になると思いますが。
第一弾は、「東京ららばい」。
中原理恵のヒット曲で、作詞は、松本隆です。1978年、私が18 歳の時の歌です。
この歌詞は、都会の情景を表現する作詞として、非常にテクニカルで、さすが松本隆、と、彼の才能に惚れ惚れする一品です。
でだしは、
♪ 「午前3時の東京湾(ベイ)は、
港の店のライトで揺れる」
冒頭の設定、見事な情景描写です。
これが2番になると、こう相対します。
♪「午前6時の山手通り
シャワーの水で涙を洗う」
この歌…タイトルの「東京ららばい」のテーマは、まさに、大都会の【ないものねだりの子守唄】です。
決めの歌詞は、1番が、
「地下や高層ビルがあり、星に手が届くが、触れ合う愛がない」
そして2番が、
「夢や明日がなくて、さらに人生は戻れない。それを【あなたもツイてない】につなげます。
最後は、
「部屋があって、窓があって、タワーは見えるのに、幸せが見えない」と、駄目押し。
ただし一点。
この歌詞のエンディングは、
♪「だから死ぬまで、ないものねだりの子守唄」 なのですが、
私ならここは、
「だからあしたも、ないものねだりの子守唄」にしますね。
「死ぬまで」は、ドギツすぎます。
さて、40年前から、多くの人は気づいていたのです。これは決して、松本隆のフィクションにとどまりません。
養老さんなどは、都会で仕事をする人は、半強制的にでも、数年ごとに田舎と参勤交代をすべきだと、言い続けています。私もまったく同感です。
【東京ららばい】という流行歌を聴いて歌った人のうち、何人がそのことに気づいたでしょうか? そして、実際に危機感を抱き、自分の人生を操作したでしょうか?
歌は世に連れ、世は歌に連れといいますが、この歌が生まれたあとも、首都圏集中現象は継続しました。
歌や歌詞から、何を感じ、そしてそれをどれほど自分の人生や魂に食い込ませるか?
もちろん、リスクも伴いますが、私は、非常に大切なことだと思います。
だから私は、今でも、真剣に歌を書いているし、そしてその反面、抽象度が高くてゆるい地方都市に住んでいるのです。