エッセイ オムライス
私が子供の頃、
阪急電車は、梅田終点で、今よりずっと先。
阪急百貨店の真ん前まで、プラットホームがありました。
一方、阪神電車は、福島を越えたあたりから、地下にもぐり、東京ディズニーランドのカリブの海賊みたいな雰囲気で、今と同じ場所まで進みました。
そのプラットホームのすぐ横に、阪神百貨店、地下1階の、フードコーナーがあったのです。
百貨店の上の方の階にある飲食街は、お値段が張りますが、地下フードコーナーは、お手軽です。
よって、私は、そこでしか、食べた覚えがありません。
ガラスごしに、オムライスの玉子を器用にまく職人をみて、ほれぼれしました。
大人になったら、自分もあんなふうに、フライパンを振れるのだろうかと、わくわくしました。
私にとっての、百貨店での食事の記憶は、地下のオムライスしかありません。
さて、先日、山口ではいまだに「ちまきや」 と、呼ばれる某百貨店? に、行く機会がありました。
この、「?」マークが、肩書きの微妙さを暗示しております。決して「百貨」ではないということ。
そこで、なんと、上の方の階、おそらく最上階のレストランで、食事をしました。
めちゃくちゃ新鮮でした。
食材ではありません。"私の感覚"が、であります。
百貨店ですよ。
腐っても鯛というよりは、腐ったイワシ、という感じの百貨店ですが、それでも、やっぱり百貨店は百貨店です。
財布の中身と贅沢の罪悪感とで、心臓がドキドキせず、ごく平常心でランチを食べました。 もちろん、数名の大人のお友達といっしょに。
百貨店ですよ……ほんとうに、私も偉くなったもんだと思いました。
なんか、相手がどんどん、時代とともにへりくだってきたような気もしますが……。
さて、会計をすませて、ふとショーケースを見ました。
それが、この写真です。
単純ですが、ちょっとした知恵です。
案外、おこちゃまは、喜ぶにちがいありません。
でも、オムライスのタマゴまくとこを、見せてあげたら、おこちゃま、この数倍喜ぶと思うんですが……。
いらん、おせっかいですな。 すんまへん。