小沢健二 ‘24ツアーMonochromatique モノクロマティック(5月8日の)ライブ 感想

5月8日の水曜日に小沢健二さんのライブ ‘24ツアーMonochromatique モノクロマティックを観ることができました。
色々なことを思った気がする、ので書いてみます。

小沢健二さんが、客席を多幸感に満ち溢れさせていた、いわゆる王子様と呼ばれていた時代がありました。しかしそれは小沢健二さん自身にとっては、もう黒歴史なのかもしれないなー、と自分は思っていました。
小沢健二さんはニコニコしながら歌ってキャーキャーいわれているイメージがありますが、ニコニコしながら歌っていたのは音楽活動全体から見ると短い期間ですし、音楽活動を一度ストップする前に出したシングルCD『春にして君を想う』のジャケット写真は、あえて不細工に写った写真を使っているように自分には見えました(勘ぐりすぎかもしれませんが)。

しかし、復活してくれたおかげで、自分は今回生まれて初めて小沢健二さんのライブを観ることができました。
読んでも全然ピンとこないかもしれませんが、まず会場のNHKホールではBOXが渡されます。そして客席につくと中に入っているホイッスルを組み立てなければいけません。自分はゴン太くんになった気分でした(工作下手の意)。

そしてライブが始まります。最初、席のせいか歌詞が聴き取りずらかったのですが、どんどん声が出てきます。途中、小沢健二さんの楽器としての声のあまりの太さにびっくりしました。
ぴょんぴょん飛び跳ねながらギターを弾き、いかりや長介のような「おいっす」という合図で、みんながホイッスルを吹く(これは今考えると「ホイッスル」と言ってたのを、ずっと「おいっす」だと自分だけが聞き違えていただけな気がしています笑)

3階から見るステージの小沢健二さんは、ライブ中、うさぎのカチューシャをずっと付けているのだと思っていました。しかし、カチューシャでなくて、うさぎのマスクをすっぽりかぶってライブをしていたのだと後から知りました。

なんとなく客席で多幸感に溢れながら、王子様というキャラクターの仮面を被ってニコニコ歌っていた時代と、小沢健二さんは上手く和解できたんだな、と思いました。昔は王子様というキャラクターの仮面だったものが、今はうさぎのマスクという物理的な仮面を付けている。そうすることで、あの頃のように、多幸感に満ち溢れるライブをすることが、また可能になったのかもしれないな、など思ったりしました。

仮面といっていますが、これは嘘とイコールということではありません。
観客の歌声に対して、小沢健二さんが涙ぐんでいるように声を詰まらせた瞬間がありました。あの瞬間、あのライブが嘘であるはずがないのです。

最後に「日常に帰ろう」という言葉と共に(現実へ帰ろうだったかも)カウントダウンが行われコンサートは終了しました。
客席に明かりが付き、みんな日常へと帰らされるのです。そして、きっと小沢健二さんも仮面を外して日常に帰っていくのだと思います。
ただし、確かにこれは夢でなく現実だったという証拠に、BOXというお土産をみんな渡されています。
あのライブは確かに夢(嘘)ではなく現実だったのです。
なーんてことを、ライブを観て思ったりしました。

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