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「凍りのくじら」辻村深月 読了

本を読むのが昔から好きではなかった。
だが大学生時代、怠惰な生活を繰り返して時間を持て余していた際に、少しずつだが本を読む習慣ができた。

現在では休みの日に特に予定がなければ、本を読んでいたいと思うくらいには、心にゆとりが生まれつつある(気乗りすれば、だが)。

読んだ本を通して受け取った感情は言語化し、何処かに書き留めておかなければいけない。さも無いと、読後のこの高揚感や胸を焼かれるような葛藤は、遠い記憶の彼方に消え去り、本を読んだという事実さえ無かった事になりかねない。そのため、ひとまずこの場に記しておく事にする。

一つ忠告として、俺は高校時代までろくに活字に触れず、読書量も大して多くない凡人であることから、語彙の未熟さや読解力の浅さ等、至らぬ点が多々あることと思われるが、ご容赦願いたい。努力はします。


この本を最初手に取った時の感想は「(物理的に)重い、、」だった。今まで読んだ本の中では、恐らく最重量級のページ数。読破には相当な日数を要するかと思われたが、ものの数週間で読み切ってしまった。

結論、めちゃくちゃ読み易かった。キーとなるのは「ドラえもん」だ。
小学生時代、俺はドラえもんをかなり読んでいたし、映画版の大長編もあらかたの話は知っていたので、本に出てくる秘密道具はパッとイメージすることができた。(もちろん知らなくても内容は説明される)

元彼と元カノ、親と子ども、そして生と死。
物語は一貫して重苦しい雰囲気なのだが、要所で語られる「ドラえもん」の明るさが一層際立つ。ホッとさせてくれる。理帆子さん的に言えば、俺は「Sukoshi Fukanshou(少し・不感症)」かな。(自分で思い付いておいて、最低の個性だ)

だが物語でも語られるように、個性は変わっていくものだ。「少し」の部分が少しじゃ効かなくなることもあるし、全く違うものに生まれ変わることもある。

俺は気持ちをちゃんと言葉にする練習をしたくて、この読了感想回を書くことにしたのだ。不感症のままでいないように。答えを焦って、思っても無いことを言わないように。

優しさを知る人でなければ他人に優しくできないし、相手を傷つける言葉を知っている人でなければ、他人を傷付けないようには出来ない。本当の優しさ知ってる人は、その分、他人より傷付いているのだよなぁ。改めて気付かされた。

あとこれは余談だけど、
別所さんの脳内イメージ、誰かに似てるなぁとずっと考えてたんだけど、途中で気がついた。あれだ。めだかボックスの「球磨川禊」だ。

そう気づいた後から、俺は彼のことがすごく好きになった。

2023.6.18

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