三匹のこぶた その1〜4
三匹のこぶた その1
昔々、藁と木とレンガで家を作って暮らす仲のよい3匹の子豚たちがいました。
海の見える緩やかな高台に家を建てて、3匹で仲良く暮らしておりました。
あるとき、突然、大きな地震が丘を襲いました。
木の家とレンガの家は大地の揺れに耐え切れず倒れてしまいました。
丘には藁の家が残りました。(つづく)
三匹のこぶた その2
(その1)
レンガの家を建てたのは一番お姉さんのひー子、木の家は次女のふー子、そして藁の家を建てたのは三女のみー子です。
3人は普段からとても仲のよい姉妹で、お互いの苦手を助け合いながら暮らしていました。
ひー子はお姉さんらしくみんなをいつも見守っていました。ふー子はお姉さんを助けて3匹の調和を大事にしました。
みー子は末っ子だったのでちょっと変わっていたかもしれません。お姉さんたちがレンガと木の家を建てるのを見ながら「私は藁の家が一番と思うな、木はお風呂を沸かす時に使えばええし、レンガは火を焚く窯に使えばええ」、そう言いながら「藁は軽くて柔らかくて温かい。雨が降ってもきちんと編んでおけば濡れることはないもん」とひとりごとつぶやいていました。
2匹のお姉さんが汗をかきながら家を建てているときにも、そそくさと藁の家を編み上げて、弱々しい家ながらもひっそりと暮らし始めました。
地震は、忘れたころにやってきました。(つづく)
続 三匹のこぶた (その3)
地震は突然やってきました。今までに避難訓練を何度もおこなったにもかかわらず、この地震のときには何をどうしたら良いものやら、すっかり大事なことは忘れてしまっていました。
レンガの家を建てたひー子は、子どものころに物語を聞かされてレンガの家は狼にも吹き飛ばされない丈夫な家だと信じていました。
けれども、大きなゆれが前に後ろに右に左にとやってくると、レンガとレンガの間には亀裂が走り、屋根ががたがたと崩れ落ちました。
ふー子は木の家を建てました。木でできた家は、レンガのように頑丈ではなく、火事になれば燃えてなくなるのが怖いよ、と教わりました。でも、狼に飛ばされそうになっても、しっかり作っておけば頑張れると信じていました。
地震が来たときは揺れました。ぎしぎしと音をたてて揺れて、窓ガラスが割れました。そして柱が倒れて、家は大きく傾いたままになってしまいました。
みー子は、藁の家でいいと考えました。
狼がやってきたときには食べられるので心配をしながら暮らしていましたが、近所のみんなが力をあわせてお互いを守りあう工夫をして、仲良く助け合いながら暮らしていれば、怖いものなどないと信じていました。世の中の悪いものは、自分たちの知恵で防げると思いました。
でも、火事になったら燃えてしまうので、火の用心には注意しました。
地震のときは揺れましたが、藁の家には窓ガラスはありませんから心配なし。柱も無いので倒れません。大きな揺れのときには家の真ん中で天井を見て揺れが静まるのを待ちました。藁の家は船のようにゆうらゆうらと動いていましたが、天井も藁の壁もみんな大丈夫でした。
続 三匹のこぶた (その4)
この物語は、3匹のこぶたたちがある日、突然の地震に見舞われたときのお話です。続 3匹のこぶた (その3) から続いてきて、こんどは、第4話になります。
みー子は3番目のこぶただったので、小さいときからお姉さんのお下がりの服を着て、残り物のご馳走をいただいて大きくなりました。それが嫌だったことは1度もありませんでしたが、周りの豚さんたちは、みー子ちゃんは可哀想だといいました。
藁で家を建てているときにも、いろんな人がやってきて、みすぼらしい家を見ては不憫だといってくれました。でも、みー子は自信を持って、藁の家であっても雨は漏らないし強風が来ても飛んでいったりはしないのだと説明をしました。
雪が降っても大丈夫なように槙を燃やす暖炉を工夫しましたし、台風のときでも風の渦に巻き込まれないような森かげを選んで建てましたので、みんなが心配するような困難な目には遭いませんでした。
太陽の光を存分に受けてすくすく育つ野菜をたくさん作れる畑を耕し、森のせせらぎを縫って流れてくる美味しい水のお世話になって暮らしています。
地震がやってきたときは、うちの前の桜の木に吊ったハンモックでお昼寝をしていました。空が大きく回って、桜も大きく揺れて、藁の家がざわざわとしました。森の中からは鳥たちがばたばたと飛び立ち、谷のほうから木の家とレンガの家が次々と崩れる音が聞こえてきました。