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初めての彼氏

高校1年生

化粧という手段を手に入れた私は、なんの技術もないままに、足し算だらけの顔面工事に勤しんでおりました。

施工から1ヶ月経った頃、中学生時代の友人15名ほどで催されたBBQに参加した際、「はるちゃんの眉毛、かっぱえびせんみたいだね」と言われたことは、鮮明に記憶しております。

今なら、それはどうもありがとうと眉を上げる余裕がありますが、当時は、しっかりショックを受けました。恥ずかしかったんです。

そんな羞恥心をバネに、試行錯誤を重ね、人並みの顔面制作技術を手に入れました。
そこで現れたのが、のちに初めての彼氏となる「ひとくん」でした。

別の高校に通っていた男友達から、「はるの写真を友人に見せたら紹介して欲しいと言われた」とメールが届き、なんとも言い表せない高揚感が舞い降りたことを記憶しております。

快諾すると、とんとん拍子に話が進み、私の実家の前まで会いにきてくれることに。
車庫に停められた母の愛車、フリードの前で、高鳴る鼓動をなんとかおさめようと意味もなくモバゲー(当時流行っていたSNS)を開いてみたり、昔の写真を見返してみたり。

しばらくすると、遠くから自転車が2台近づいてきました。見慣れた男友達と、「ひとくん」でした。

「ひとくん」は、大工さんのような格好をしており、髪の色はライオンよろしく金髪でした。
眉毛は細く、ライン状の剃り込みが入っています。

「ひとくん」は、俗に言う、田舎のヤンキーでした。

前記事に書かせていただいた通り、私は、進学校に通う、最近化粧を覚えた、ヤングコーンのように未熟フレッシュなヒヨッコ女子高生です。

驚きと、緊張と、動揺が入り混じった初対面。

ひとくんは、纏った雰囲気や鋭利な眉毛に反するような、とても柔らかい笑顔で、「可愛い」と伝えてくれました。

ヤングコーン女子高生の恋が、あっという間に始まった瞬間でした。

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