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カリブのバルバドスからやってきたカレースマッシュバーガー、いよいよ発売開始!

盟友ポールがやってきた。2019年に僕は神戸ビーフサミットという企画を開催した。そこに世界から集まったシェフの一人がポールだった。ドレッドヘアーでガタイがいい彼とは似つかず、性格はとても繊細だった。今から考えるとよくあれだけのシェフが集まったと感心するのだが、その中でもポールの料理は彼の料理を貫いていた。多くのシェフが帰ってから彼だけ延泊するというので、僕は彼と一緒に一日を過ごした。美術館を見に行って、お好み焼きを食べに行って、そしてグルグルと街を歩いた。寡黙で日本のアニメ好きのポール、僕が紹介したアンティークのなべちゃんともすっかり仲良しになり、僕らのファミリーとして欠かせない存在になっていったのだった。

僕らがシドニーのカジノにMASHI NO MASHIをオープンしたときに、寡黙なポールは一日だけ一緒に飲みに行こうと仕事終わりの僕を連れ出してくれた。寡黙の彼はバーに入ると目がキラキラして、知り合いとハイタッチしたりと別人のようなキャラクターに変わった。

「いいか、寿人。一軒一杯だぞ。」

そう言うと、バーをホッピングしながら実に20杯、その間に色々な話をした。今度はいつか料理を一緒にしたいねぇっとそんなことを話したのだ。パートナーの彼女と日本に立ち寄ってくれたのはそこから一年後のことだったと思う。彼女とセットのポールは初めてだったが、また彼の人となりを理解するようでいい時間だった。町寿司に一緒にいって、また東京の町を色々と旅した。心優しい彼は娘のために小さな人形をくれた、娘はその人形を「ポー」と呼んでいつも旅のパートナーとして連れて行った。そんな彼から、「寿人、オーストラリアを離れることにしたよ」との話しを聞いた、あれだけ気に入っていたのにと詳しく話を聞くと、再びニューヨークに戻るという。それも彼女と一緒だ。

古巣のMOMOFUKUの主ことデイヴィッド・チャンの代わりに就任するという、エグゼクティブシェフもコーポレートシェフも彼にリポートする、そんな立場に一度トライしてみたいと彼はそう言った。1ヶ月ほど時間があるという、だったら日本に遊びにおいでよと彼に伝えた。そこから数ヶ月、彼は僕の家に泊まって毎日料理の話をしている。実に真面目だ、とにかくメニューに向き合っている、そして手数もいるのに全部肝心なポイントは自分で仕込みたいという、仕込みながら考えている、そんなことを彼は言う。彼との3セッションは満員御礼だが、彼はそんな僕らにプレゼントを用意してくれた。それがカリビアンカレースマッシュバーガーだ、カリブにはインド文化と根強い繋がりがある、バルバドスにも3000人規模のインド人コミュニティが存在する。彼はそのスマッシュバーガーに、僕らの手製のらっきょと福神漬を添えた。ちょっとした日本のカレー文化へのウィットを忘れないところが礼儀正しい彼らしい。

彼のカリビアンカレースマッシュは、今日の正午からWAGYUMAFIA DISTRICTで楽しめる。ぜひ多くに彼のバルバドスの味を食べてもらいたい。もうこんなのやばいに決まってる。

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