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尾崎牛ハラミ8頭分を焼き続けた夜

今日は尾崎牛のハラミを8頭分焼いた。とにかく1時間の中で集中して焼き続ける。僕は単純作業が結構好きだ。単純作業は継続というリピートの連続だ。以前、らっきょうのコラムでも書いたが、単純作業を繰り返しリピートすることで閃きというのが生まれるからだ。逆に単純作業を単なる同じ風景の連続と捉えている人は単純作業の呪縛からなかなか乗り越えられないとも思っている。

単純作業というのは小さなビートの継続だ。その中に時々あれ、こんなビート重ねたらもっとかっこよくない?みたいな、そんな閃きが生まれる瞬間がある。肉を永遠に焼き続けていくのもそういう瞬間に出会える。もうかれこれ長いこと肉を焼き続けている、そしてプロになってからも5年ほど焼き続けているわけだ。当たり前だけど20年前の焼き方と今の焼き方は全く違う。それはテクニックとかそういう問題じゃなくて、単純作業の繰り返しで出会った閃きの数の違いだと思っている。

今日は妄想喫茶だった。パートナーの井崎さんが笑顔で「継続することが大事なんです」という。最初は面白そうだからなんかやってみますか?で始まったこの企画、どちらかが継続する意思を無くしたらすぐ終わってしまう企画だ。僕は肉を焼き続け、そして井崎さんはコーヒーを淹れ続ける。絵的にはかなりシュールである。おそらく彼もコーヒーを淹れ続けたことでみえた閃きの数が、他の人よりも多かったのだろう。だからこそ、冒頭の継続することの大切さを話してくれる。

WAGYUMAFIAの相方の堀江もそうだ、とにかくやり続けることを一番とする。大抵のものは「やり続けて、結局何があるの?」の答えを用意できない。ただしやり続けることで見えてくる確かな何かがある。明日は朝から朝食会、そして終わったらすぐに栃木の仙禽酒造に移動して成澤シェフとのおにぎりイベントだ。どちらも継続しつづけている「何か」である。仕事を終えて、このコラムに向き合う、ふと思うんだ。僕らのチャレンジを続けるためには、そのチャレンジを観続けてくれるサポーターがいる。だからこそ、僕らは継続することができるのだと。実にありがたい。

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